自治体法務の備忘録

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条項を全部改正して移動

第5条 ○○○○○○○   第6条 ○○○○○○○
第6条 ○○○○○○○ ⇒ 第7条 △△△△△△△
第7条 ○○○○○○○   第8条 ○○○○○○○

 というように、ある条を繰り下げるとともに、その条を全部改正する場合はどうするか?
 この時、

 第7条を第8条とする。
 第6条を次のように改め、同条を第7条とする。
第●条 △△△△△△△
 第5条を第6条とする。

 というような改正手法が許されるか否かということと、上記●には「6」を入れるか「7」を入れるのか、という疑義が有る。法律例では●の所には「6」が入るものがあって、個人的にはそっちが正解だと思う。でも分かり辛いとも思うんだが。
http://d.hatena.ne.jp/tihoujiti/20070316#p1

 条項を全部改正した上で動かすって、一般的には行わないのではないでしょうか。

 第4条以下の条名をずらせて、第3条と第4条との間に、1条入れるとともに、従前の第4条を全部改めたいというような場合にはどうするか。こういう場合は、

 第5条を第6条とし、第4条を次のように改める。
 (……)
第5条 大蔵大臣は、……
 第3条の次に次の1条を加える。
 (……)
第4条 都道府県知事は、……

というようにする。
 また、5項ある第○条の中の第1項と第2項の間に1項入れ、従前の第2項を一部改め、第3項を全部改め、第5項を削ろうというような場合は、

 第○条中第5項を削り、第4項を第5項とし、第3項を次のように改める。
4 ……
 第○条(または同条)第2項中「……」「……」に改め、同項を同条第3項とし、同条第1項の次に次の1項を加える。
2 ……

などとする。
「法令作成の常識」林修三(日本評論社)98〜99頁※引用に当たって、読みやすく表示を編集しています。

【参考】washitaさんがご掲載の記事→http://d.hatena.ne.jp/washita/20051122/p1
 また、定評ある石毛参考書では、以下のように記載あります。

 例えば、8条からなる本則の第8条を第9条に、第7条を第8条に繰り下げ、第6条を全部改めて第7条に繰り下げ、第5条を第6条に繰り下げ、新たな第5条を追加する場合には、どのようにするのか。次の例に示すような改正の方式をとるのが原則である。


 第8条を第9条とし、第7条を第8条とし、第6条の次に次の1条を加える。
 (……)
第7条 ……
 第6条を削り、第5条を第6条とし、第4条の次に次の1条を加える。
 (……)
第5条 ……

※例は、第8条、第7条を繰り下げ、第7条を加えるとして、第6条を全部改めた後のものを書き、第6条を削り、第5条を繰り下げ、新たに第5条を追加するものである。
自治体法務実務のための法制執務詳解」石毛正純(ぎょうせい)386頁※引用に当たって、読みやすく表示を編集しています。

 私自身はと言えば、最近はこの書き方をすることが多いかな。
 とはいえ、慣例によるローカルルールもありそうです。

 第5条中「……」を「……」に改め、同条を第6条とする。
 第4条を次のように改める。
 (……)
第4条 ……
 第4条を第5条とし、第3条第2項を次のように改める。
2 ……
 第3条を第4条とし、第2条を第3条とし、第1条の次に次の1条を加える。
 (……)
第2条 ……

「公用文作成の手びき 第4次改訂版」(千葉県)171頁※引用に当たって、読みやすく表示を編集しています。

 washitaさんがご指摘の「2度引き」を明記していますね。
 まあ、どうやったって溶け込むから良いんですよ(そんな自分の仕事を否定するような

条中の語句の改正と条の移動

 上記にご紹介したtihoujitiさんの記事の中で、また、このようなご指摘をされています。

第5条 ○○○○○○○   第6条 ○○○○○○○
第6条 ○◎◎◎○○○ ⇒ 第7条 ○△△△○○○
第7条 ○○○○○○○   第8条 ○○○○○○○

 としたい時は、

 第7条を第8条とする。
 第6条中「◎◎◎」を「△△△」に改め、同条を第7条とする。
 第5条を第6条とする。
 とする。

http://d.hatena.ne.jp/tihoujiti/20070316#p1

 条中の語句の改正と条の移動を併せて行う場合に、どこまで文章がつなげられるか、というのは、なかなか悩ましいものがあって、hoti-akさんは、条が削除されて繰り上げられる場合についてのご説明に続けられて、条を繰り下げる場合に触れて以下のようにご指摘されています。

 これによると、第8条から第10条までを1条ずつ繰り下げる場合で、第9条の語句を改める必要があるときには、

第10条を第11条とし、第9条中「○○」を「××」に改め、同条を第10条とし、第8条を第9条とする。

ということになるが、法令では、「第10条を第11条とする。」と区切っている例もある。条の移動の後に語句の改めをするのが座りが悪いということだろうか。
http://d.hatena.ne.jp/hoti-ak/20061014#1160754179

 私自身はといえば、最近はご指摘の例で言えば

 第7条を第8条とする。
 第6条中「◎◎◎」を「△△△」に改め、同条を第7条とし、第5条を第6条とする。

と書くことが多いかな。これは、「実質的な改正を行う条」の前後に「移動を行うだけの条」をつなげられると解すると、

 第7条を第8条とし、第6条中「◎◎◎」を「△△△」に改め、同条を第7条とし、第5条を第6条とし、第4条中「◆◆◆」を「☆☆☆」に改め、同条を第5条とし、第3条を第2条とし〜

と際限なく続けてしまえる懸念があるためです。
 まあ、ここらへんになると、うちの役所のでもこだわりのある人間は10人といないんじゃないかな。
 なお、改行の判断基準については、クレステック社が掲載している法制執務情報がとても参考になります。
http://lawinfo.crestec.jp/jititaihoumu/houseisitumu/honsoku/attachments/kaigyo.htm