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自治体法務の備忘録 このページをアンテナに追加 RSSフィード

このblogは、自治体改革の凄まじい流れ中で、自治体がその役割を手探りで拡大している状況を、独自条例の制定の動向等の紹介やそれに対する指摘、そしてそこから展開される政策法務論という点からつたない内容を書き留ようという試みです。(平日の更新は深夜のみに行っています。)

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08/02/27(水)

[]民営化に関する期待 民営化に関する期待を含むブックマーク 民営化に関する期待のブックマークコメント

 国が自治体の窓口業務に関する市場化テストの対象を提示したことを受けて、kinkinさんが民営化に関する期待について、日本欧米における違いについてご意見を掲載されていました。

 行革の中での民営化の話になると、私はいつも日本欧米民主主義歴史の違いを想起します。

 少なくとも私がイギリスで接する機会のある労働者階級の庶民は、官をそれほど信頼していないというか、官に対して期待していない印象を受けます。

http://blogs.yahoo.co.jp/kinkin_kankon/33171267.html

 kinkinさんは続けて「日本の歴史においては、庶民層による革命がなかったことが原因ではないか」とご指摘されており、私自身もささやか歴史的知識から漠然と同様の感想を持つものではありますが、関連して思いだしたのが、以前にお聞きした中邨章明治大学大学院長のご講演の内容でした。

 ほぼ同じ内容のご講演が掲載されている書籍から引用してみます。

行政に携わっておられる職員の皆さんが一つだけ理解されていないことがあります。それは、自分のしている仕事レベルがいったい世界のどれぐらいのレベルにあるのか、ほとんど認識されていないことです。日本自治体世界で一番だと私は思っています。もっとも活動の幅が広くて活動の量も多い。これが日本自治体であります。

(略)

 日本では何か事が起こると、例えば昨日のように大雨で床上浸水をしたりすると、「行政はいったいどうなっているんだ!」となる。これが日本人の最初の反応です。しかし、アメリカではそんなことはありません。最初から自治体を相手にしていないので、「NPOでやろう。自治体に行ったってしょうがない。ブッシュを相手にしてもだめだ」となるわけです。

(8〜9頁)

 逆に言えば、上記のkinkinさんがご指摘の内容に基づく、市民行政への信頼が、行政の質的量的充実を要請していると行って良いかも知れません。

 ご講演の内容は、行政職員を対象にした上記の「つかみ」から

 確かにわが国の地方行政は非常に素晴らしい中身を持っています。しかし、将来ということになると今までのようにはいかないだろうと思います。

(14頁)

と、今後の地方行政のあり方にお話しが展開するのですが、何よりも官民のあり方について、相互の意識の改革が無ければ、増大するばかりの行政需要に限りあるリソースで対処することは不可能であるのは事実でしょう。

 いずれにせよ、行政民営化の流れは、単に行政の効率化や、ましてやNPOへの下請けを意図するものではなく、成熟した社会必然であろうことは、認識の一つとしてあって良いかとは思います。

 もちろん、理念のない民営化万能論を支持するものではありません。為念。

kinkin_kankonkinkin_kankon 2008/02/27 22:26 取り上げていただいてありがとうございます。
日本の行政サービスのレベルはイギリスよりは高いと言えます。
そして、税負担と享受する行政サービスの質を欧米先進国と比べた場合、日本の税負担の低さとそのサービスの質の高さが指摘されています。
そうなると、欧米から輸入した日本における行革とは何か、ということになります。
その答えが更なる効率化では陳腐ですから、私も答えを探していましたが、「成熟した社会の必然であろうことは、認識の一つ」という観察は秀逸だと思います。
非常に勉強になりました。
今後ともよろしくお願いいたします。

hachiro86hachiro86 2008/02/28 00:46 横レス失礼します。

「市民の行政への信頼」というのは、言い換えれば「依存」なのかもしれませんね。多分その裏には、町内会等の地域コミュニティの弱体化も関係しているような気がします。互助的な地縁組織がなくなってきているということですね。地域解体のツケを行政が(ということは、つまり住民の税金で)払わされているということでしょうか。

ただ、正直いうと、欧米ということでひっくるめてしまうのもちょっと乱暴かな、と感じます。アレクシス・ド・トクヴィルは「大革命と旧体制」という本の中で、アメリカとフランスを比較して同じような指摘をしています(時代はだいぶ違いますが・・・)。トクヴィルの挙げている例を引きますと、大きな木が倒れてて道が通れなくなっているとする。フランスだったら(たぶん今の日本でも)「この木をどかしてくれ!」と行政に言いに行くが、アメリカだったらみんなで協力して木をどかすだろう、という話です。イギリスはどうなのか分かりませんが、アメリカに近いのかもしれませんね。

自助努力によるか行政に頼るかという違いには、国民のメンタリティや地域コミュニティの緊密さなど、いろんな要因がからんでいて一筋縄ではいかないという気がします。もちろん、それを受けて行政がなんでもやってしまったら財政がもちません。ただ、現状はそれに近い状態なのかもしれませんね。

ちなみに、近年はそういうアメリカ型のコミュニティが衰退しているという議論もありますね(パットナム「孤独なボウリング」)。ご参考まで。

yo-koyo-ko 2008/02/28 21:17 傷つきやすかったんですね…フッ(笑)
以後気をつけます。

kei-zukei-zu 2008/02/29 22:50 >kinkinさん
 ご存じのとおり、官僚機構というのは、勝手に複雑になってしまうものですが、これは「官」ばかりの習性ではなかろうな、と、全国で8,000人規模の民間会社に勤務していた経験から思うのです。
 自治体の場合は、地域に密着すべきその特性から、組織の大きさの適正なバランスを常に模索する必要はあろうな、と感じるところです。
>hachio86さん
 なるほど、ご指摘のとおり、ヨーロッパでも、ドイツはまた違う反応が有りそうですな。
 日本人のメンタリティって不思議で、正義の味方にしても、例えば水戸黄門とか「天下の副将軍」じゃないですか。
 戦後、アメリカの影響で個人主義が浸透する一方で、個人主義ゆえの相互の尊重が根付かなかったのは不幸と言わざるをえませんが、アメリカでも地域コミュニティが崩れているとは、ねえ。
>yo-koさん
 ご存じのくせに(うふ