自治体法務の備忘録(Old) このページをアンテナに追加 RSSフィード

このblogは、自治体改革の凄まじい流れ中で、自治体がその役割を手探りで拡大している状況を、独自条例の制定の動向等の紹介やそれに対する指摘、そしてそこから展開される政策法務論という点からつたない内容を書き留ようという試みです。(平日の更新は深夜のみに行っています。)

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12/05/18(金)

[][]「利用料金」と行政処分 「利用料金」と行政処分 - 自治体法務の備忘録(Old) を含むブックマーク 「利用料金」と行政処分 - 自治体法務の備忘録(Old) のブックマークコメント

 洋々亭さんのところの掲示板から

その収入に対して、課税されますか?それとも、いくら設けても、公設民営のためや次への事業展開のため、課税されないのでしょうか?

http://www.hi-ho.ne.jp/tomita/yybbs/#38338

 指定管理者による管理場合、公の目的のために設置された施設の利用と、それに伴う料金の支払いについて、理解が混乱しやすいように思えます

 そもそも、「公の施設の使用」と「使用料の賦課」or「利用料金の支払」は一体ではなく、パラレル概念であることに注意が必要です。

 市民会館などの施設使用は、一般に申請に基づき利用が許可されます。ここで「利用の許可」は「申請に基づく処分」であるわけです。

 それに対し「使用料の賦課」は、上記の許可が行われた際に、行政庁から一方的に行われる行為です。したがって「不利益処分」になります

 怪訝な御顔ですね。「使用料は申請に基づくものじゃないの?」そう聞きたそうなご様子。

 でも、ちょっと事例を考えてみてください。教育財産の利用許可は教育委員会が行うのに対し、それに伴う使用料の賦課首長が行うでしょう?それぞれの行政処分が別個であることは、処分庁が違うことから明らかです。

 さて、「利用料金」制度は、使用に伴う料金について、指定管理者収入にさせようとするものです。

 利用料金は、条例にその内容が定められてはいても、「公法上の債権」ではなく指定管理者の「私法上の債権」です。自治法の規定に基づいて、条例徴収の根拠とその額の上限について定められているにすぎない。

 現に、「利用料金」が納付されない場合は、役所指定管理者自力執行を行うことはできず、民事訴訟法上の手続きによることになります*1

 したがって、ちょっと脱線ますが、減免の取り扱いについても、「使用料の減免」が一般に「申請に基づく処分」であるのに対し、「利用料金の減免」はそもそも行政処分ではありません。

利用料金については、使用料に見合うものではありますが、使用料とは異なり、その収入指定管理者帰属し、その債権性格も私法上の債権であると解されることから、その減免についても、公権力の行使の問題ではなく(後略)

指定管理者制度のすべて 改訂版」(第一法規)155頁

 ややこしいのは、ちょっと戻って、利用料金の根拠のなる「使用の許可」自体行政処分であることです。

 複雑なようですが、指定管理者制度自体が「使用許可に関する行政処分民間に行わせる」ことを眼目に置いたものであることに留意してください*2

 このように分解すると、「利用料金」として指定管理者が入手する利益について、税務上、通常の「売り上げ」と特に異なる取り扱う必要がないことの理由が見えてきます

*1:「使用料」の場合は、地方税法の滞納処分の例により処分することが可能です。

*2:逆に言えば、指定管理者行政処分を行わせない場合は、通常の業務委託と大した差異がないことになります

DR_GDR_G 2012/05/19 21:35 というか、使用料って法人税法でいう収益事業(不動産貸付業)であって原則課税だけど、地方自治体等が法人税非課税だけなのではないかと。

kei-zukei-zu 2012/05/19 22:12 >地方自治体等が法人税非課税だけなのではないかと
なるほど
自治体に、消費税について(結果的に)税がかからない仕組みについても、そのうち詳しく書きたく思ってます

09/10/27(火)

[]指定管理者取り消し理由の4割 経営困難から 指定管理者取り消し理由の4割 経営困難から  - 自治体法務の備忘録(Old) を含むブックマーク 指定管理者取り消し理由の4割 経営困難から  - 自治体法務の備忘録(Old) のブックマークコメント

 利用者サービスの向上や運営の効率を期待して、公の施設指定管理者制度を導入する自治体が増えているが、総務省が、都道府県政令指定都市、市区町村で、今年4月1日現在での導入状況をまとめたところ、導入施設が7万施設を超えていることが分かった。一方で、指定取り消しケースの4割近くが指定管理者経営困難などによるものであることも分かった。

http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2009&d=1027&f=politics_1027_001.shtml

 ニュースソースとなった、総務省報道資料は以下のとおり。

【公の施設指定管理者制度の導入状況等に関する調査結果】http://www.soumu.go.jp/main_content/000041705.pdf

 なお、法規担当の前は施設管理に携われていたというD-lizさんのご指摘が興味深い。

 今になって冷静に考えてみると、指定管理者制度って、小泉‐竹中改革の真っ最中制度よ?まさにNPMの代表例よ?「今までと同じコストで今までより質の高いサービスを提供する」⇒×。「今までより低いコストで今までと同等のサービスを提供する」⇒○って解釈しなきゃダメだったんじゃないの?

http://d.hatena.ne.jp/D-liz/20091010/1255191532

 指定管理者制度を利用した、地域における官民共同の運営も確かに見受けられますが、経営困難な指定管理者の少なくない存在は、確かに「安かろう悪かろう」という制度運用の負の側面が表出してきているのかもしれませんね。

 制度の開始から5年が経過して、その運用に当たっては、改めてその意味と効果的な利用が検討されるべきでしょう。

D-lizD-liz 2009/10/28 00:42  はじめまして。当ブログに触れていただき恐縮です。
 指定管理者制度導入の頃は、「民間活力を導入した創意工夫で、公の施設の管理は今よりずっと良くなる」みたいな、根拠のない楽観論の風潮があったように記憶しているんですよね。公募しても指定管理者の成り手が現れない事態や、指定管理者が途中で撤退する事態等、行政にとって都合の悪い事態に対する心の備えが欠けていたように思います。自分自身の反省でもありますが。

kei-zukei-zu 2009/10/28 22:57  コメントありがとうございます。
 結局、「指定管理者制度」もツールのひとつであり、その運用に当たっては個別の政策的判断を行っていくべきなのでしょうね。
 その裏付けのためにも、自らの勉強の必要性をますます感じるところです(^^

08/12/15(月)

[]指定管理者制度の導入効果 指定管理者制度の導入効果 - 自治体法務の備忘録(Old) を含むブックマーク 指定管理者制度の導入効果 - 自治体法務の備忘録(Old) のブックマークコメント

 内閣府のサイトに「政策課題分析シリーズ」として、以下の資料の掲載がありました。

指定管理者制度の導入効果−施設の支出と収入にどの程度の効果があるのか−】http://www5.cao.go.jp/keizai3/2008/1210seisakukadai03-0.pdf

 サイトのトップはこちら→http://www5.cao.go.jp/keizai3/seisakukadai.html

曽野田欣也曽野田欣也 2008/12/16 01:04 kinkinこと曽野田欣也です。

> つらかった、ねぇ(涙目)

持つべきものは、(例規担当やってる)友ですなぁ。

kei-zukei-zu 2008/12/16 23:25 お互いに、せいぜい「健闘の価値」があって欲しいですなw

08/11/10(月)

[][][]指定管理者再選定のポイント 指定管理者再選定のポイント  - 自治体法務の備忘録(Old) を含むブックマーク 指定管理者再選定のポイント  - 自治体法務の備忘録(Old) のブックマークコメント

tihoujitiさんがご紹介されていた(http://d.hatena.ne.jp/tihoujiti/20081106#p3)、「<地方自治職員研修>臨時増刊号(87号)指定管理者 再選定のポイント」(http://www.koshokuken.co.jp/)が手元に届きましたので、早速、森幸二氏による「第6章 法的観点から見た指定管理者制度運用上の諸問題と解決策」に目を通しました。

 当市の指定管理者制度の導入当時のことを思い出すと、実は今でもいささかの息苦しさを覚えます総務省からの具体的な運用指針が示されない中で、条例の整備のほかに、協定の位置付けや具体的な施設の運営方針について、指定管理者制度導入の担当職員と、当時は随分と頭を悩ませたものでした。

 この点、同記事の結びの文章である

 地方分権とは理念や観念ではなく、個別の法的権限が束となって、都道府県や基礎自治体である市町村に以上されることを意味する。

 地方分権による近接性、補完性を活かすためには自治体職員による一層の政策法務能力(法に使われるのではなく、法を使う能力)の獲得が必要となる。

 指定管理者制度の創設はその試金石であり、これを適法かつ戦略的に活用して、立法者(国)が意図した効果を超える成果を住民福祉の充実と自治体財政の健全化において実現していかなければならない。

という著者のお言葉に大いに頷かされるところです。

08/09/16(火)

[]パブリックビジネス研究会 研究成果最終報告 パブリックビジネス研究会 研究成果最終報告 - 自治体法務の備忘録(Old) を含むブックマーク パブリックビジネス研究会 研究成果最終報告 - 自治体法務の備忘録(Old) のブックマークコメント

 拙blogでも以前に何度かご紹介させていただきました、三菱総研の取組みについて、その最終報告が掲載されていました。

多くの自治体においては、2008年度、指定管理者の再指定に向けた公募が実施される予定です。そのため、本研究会では、2008年1月に全国の自治体を対象として「自治体PPP導入に関するアンケート調査」を実施し、公募条件に改善傾向が見られることや審査体制に課題が残っていることなどがわかりました。

(略)

○ 参考資料1 自治体PPPアンケート調査結果[PDF 304KB]

○ 参考資料2 自治体PPPランキングについて[PDF 256KB]

○ 参考資料3 指定管理者制度に係る第五次提言[PDF 380KB]

○ 参考資料4 市場化テスト(民間提案制度)に係る提言[PDF 316KB]

○ 参考資料5 指定管理者議会(仮称)設立趣意書[PDF 300KB

http://www.mri.co.jp/PRESS/2008/pr080904_rmu01.html

 初回の指定が期限切れを迎えて、再度の公募を実施する公の施設が多いとして、評価の高い指定管理者については再公募の際にインセンティブを与えることを、北九州市の事例を引いて提案するなどの記載があります

 同研究所「パブリックビジネス研究会」のトップページはこちら→http://www.p-business-net.com/index.html

08/06/12(木)

[]指定管理者の取消訴訟 指定管理者の取消訴訟 - 自治体法務の備忘録(Old) を含むブックマーク 指定管理者の取消訴訟 - 自治体法務の備忘録(Old) のブックマークコメント

 指定管理者管理を任せる施設で使用される各種通知に記載されるべき教示の文言について、人に聞かれました。

 えっと、処分の主体が指定管理者である場合において、不服の申立ては上級官庁として首長が審査請求で受けるとして、訴訟の提起は…あれ?

 随分前に頭で汗をかいた記憶はあるのですが、とりあえずググってみると、洋々亭さんのところの掲示板で投稿が

 指定管理者が行った処分に係る被告適格は、当該指定管理者にあります

 処分庁・裁決庁が国または公共団体に所属しない場合(11条2項)とは、処分権限を委任された指定機関(指定法人等)が処分をした場合に、当該指定法人等が行政庁として被告適格を有する場合が典型として想定される。すなわち、民間法人(法人の設立根拠上、行政主体ではなく、通常の民事法上の法人と解釈されるもの)が、行政上の事務を行う局面で処分権限を有する場合に、当該法人を被告とすることになる。指定法人が行う事務が帰属する行政主体は何かという詮索は必要ない。

「解説 改正行政事件訴訟法」(弘文堂)108ページ

 また、行政処分に係る不服申立て先(行政不服審査法のジャンル)と行政訴訟の被告適格(行政事件訴訟法のジャンル)は別のものです。

建築基準法が定める指定確認検査機関として民間業者が建築確認を行う場合(建築基準法6の2)には、当該民間業者を被告として建築確認の取消訴訟を提起していくことになる。

「詳解 改正行政事件訴訟法」(第一法規)151ページ

 上記の例の不服申立は、自治体の建築審査会に審査請求を行う形で行われます。上記のとおり、建築審査会に被告適格はありません。

【建築基準法】

(不服申立て)

第九十四条 建築基準法令規定による特定行政庁、建築主事若しくは建築監視員又は指定確認検査機関の処分又はこれに係る不作為に不服がある者は、行政不服審査法第三条第二項に規定する処分庁又は不作為庁が(略)指定確認検査機関である場合にあつては当該処分又は不作為に係る建築物又は工作物について第六条第一項(第八十七条第一項、第八十七条の二又は第八十八条第一項若しくは第二項において準用する場合を含む。)の規定による確認をする権限を有する建築主事が置かれた市町村又は都道府県の建築審査会に対して審査請求をすることができる。

 公の施設の使用に係る不服申立ては、直営の場合は、市長への異議申立てを経た上で県知事への審査請求が可能ですが、ご承知のとおり、県知事には市の公の施設の使用に係る被告適格はありません。

 ご参考まで、指定管理者の被告適格について、東京都が規則における教示事項として定めた事例をご紹介します

(参考)指定管理者がこの様式を交付する場合は、教示文2中「東京都を被告として(訴訟において東京都を代表する者は東京都知事となります。)とある部分には、指定管理者の名称及び当該指定管理者を被告とすべき旨を記載すること。」

自治体担当者のための主要法令トピックス第57版(2005年8月号)17ページ」

http://www.hi-ho.ne.jp/cgi-bin/user/tomita/yyregi-html.cgi?mode=past&pastlog=5&subno=543

 そうそう、そうだよね、と思って投稿者を見ると

3年前の俺でしたorz

 物忘れは歳のせいもあるかもしれないが、こうも細々といろいろなことをやっているとね。

08/06/11(水)

[][]re:公の施設でコスプレ大会・続 re:公の施設でコスプレ大会・続 - 自治体法務の備忘録(Old) を含むブックマーク re:公の施設でコスプレ大会・続 - 自治体法務の備忘録(Old) のブックマークコメント

 昨日ご紹介した、「ハイジの村」のコスプレ大会の中止について、sawadyさんにトラックバックいただきました。

「ある程度の規制はやむを得ない」という話がありますが、個人的には意外に思ったのは自分が北海道の人間だからでしょうか。というのも、北海道には寒軍べくたあというイベントサークルがありまして、ここが色々なところで同じようなコスプレイベントを行っています。その会場は同じような札幌市の指定管理者管理施設である札幌市生涯学習センターちえりあや札幌市男女共同参画センターエルプラザ、屋外だと札幌芸術の森なんかでもイベントをやっていたりして、間違いなくコスプレイベントが生涯学習や男女共同参画とは違うような気がするのは目に見えていますが。

http://d.hatena.ne.jp/sawady/20080611/1213175780

 「ハイジの村」のニュース記事をググって見たところ、指定管理者の導入2年目にして黒字転換が達成された旨の記事がありました。

 北杜市明野町浅尾の県フラワーセンター・ハイジの村の2007年度の売上高が約3億6200万円となり、指定管理者制度導入から2年目の単年度収支で約300万円の黒字となった。県が県農業振興公社に委託運営していた3年前は、年間約1億9000万円の運営費に県費を投じていた施設民間のノウハウで集客やコスト削減を図り、黒字経営を実現させた。

http://www.sannichi.co.jp/local/news/2008/06/05/15.html

 上記記事ではコスト削減がその要因として大きく取り上げられていますが、集客事業の一つであったコスプレ大会が中止されるとすれば、積極的な事業の運営に水を差しかねないのではないかといささか不安であるところ。

 とはいえ、事業をなんでも認めるとすれば、目的をもって設置される公の施設意味が問われることにもなりかねず、なかなか難しい問題です。

 結局は、当該自治体の判断によるしかありませんが、中止を巡る報道の中には、以下のような記述もありましたので、ご紹介しておきましょう。

【人気コスプレ大会、県に苦言の電話1本で中止…山梨・ハイジの村】

 東北公益文科大の出井信夫教授(公共経営論)は「著しく公序良俗に反するのでなければ、中止は過剰反応ではないか」と指摘している。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080606-OYT1T00510.htm?from=navr