ヘッジファンド

投資銀行と並ぶ金融資本主義のもう一人の主役が、ヘッジファンド(私的な投資組合)である。東京の一等地の売れ残りの殆どが、OO投資組合といった名義になっている。これを追及するとケイマン諸島の本部に辿り着く。誰が持ち主かわからない状況なのだ。ヘッジファンドの数は推定で3千〜4千。資金規模は30兆〜40兆円である。

そのヘッジファンドに出資している人は、マフィアやヤクザではない。世の中で一番「まとも」と思われる人達である。例えばカリフォルニアの退職教職員組合とか、ハーバードの大学基金等々である。

これは村上ファンドもそうだった。06年6月5日同ファンドの村上世彰インサイダー取引容疑で逮捕勾留された。同月20日、この村上ファンドに当時の日銀総裁福井俊彦が1千万円を出資し約6年間で、05年末時点の運用資産残高が2,231万円に達していたことを明らかにした。ひと騒動になった。

彼等は投資銀行がそうだったように、大きなレバレッジをかけている。ヘッジファンドレバレッジを何倍かけているかは機密中の機密だから本当のところはわからない。しかし、98年に有名なヘッジファンド・LTCMが破綻したとき、16倍のレバレッジがかかっていたことが判明している。彼等のレバレッジを10倍とした場合、300兆〜400兆円のお金を動かしていることになる。

しかし、事はこれだけでは収まらない。商品先物取引やCDOなどデリバティブの取引は、証拠金の10倍まで取引ができるのである。例えば「原油を買った」「トウモロコシを買った」という先物取引では、1億円の証拠金を入れれば、原油やトウモロコシを10億円まで買えてしまう。ということは、300兆〜400兆円のお金を3千兆〜4千兆円として動かしていることになるのである。

あるとき、この3千兆〜4千兆円が一気に原油に流れる。すると原油価格はアッという間に1バレル140ドルになってしまう。サッと引くとアッというまに70ドルになってしまう。こんなことが起る原因は、ヘッジファンドが「虚のお金」を動かしているからなのである。

米国を主体とするヘッジファンドは、通貨の空売りで97年7月タイをはじめインドネシア、韓国などの通貨を意図的に暴落させて国家滅亡の危機にまで追込んだ。アジア通貨危機である。このときは、ヘッジファンドが各国政府の為替介入を打ち負かしたというのだから、どうにもならない。見かねた米政府がヘッジファンドへの規制を強化する姿勢を見せたため、かなり大人しくなったというのだが----


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