復興担当相・松本龍の辞任

支持率が低迷するなか、菅首相自然エネルギーを軸に国民との対話を主張し、政権の座にとどまる強い意向を明らかにした。またこの脱原発依存を小泉元首相の郵政改革を模した、シングルイシューとして解散総選挙に打って出るのではないかという憶測も出始めた。しかし、11年6月28日民主党両院議員総会では、こうした菅の方針が強い反発を招き、菅おろしが再燃する。

6月20日になって東日本大震災復興基本法が、ようやく国会で成立した。6月27日菅はこの基本法に基づいて復興全般を担う大臣に松本龍防災担当相に兼務させ、原発事故担当には内閣府特命担当相として細野豪志を充てた。しかし、スタッフが十分に揃っていたわけでも法的権限も明確ではなく、最も肝心な復興庁ができていないことから、現場の復興作業は大幅に遅れたままであった。

7月3日松本が岩手県庁で達増拓也知事に会った際、いきなりサッカーボールを知事に向かって蹴り「キックオフだ」と言ってみたり、会談では「知恵を出したところは助けるが、知恵を出さないところは助けない」と被災地の人々の感情を逆なでする発言をした。さらに同日、宮城県庁で村井嘉浩知事と会談した際、応接室で待つ松本より知事が1分強、後から入室したことを咎め

「お客さんが来る時は自分が入ってから呼べ、いいか。長幼の序を判っている自衛隊ならそんなことするぞ、わかった」と発言しマスコミから猛烈な批判を浴び、7月5日松本は辞任する。自己の無能を隠すために敢えて虚勢を張る政治家は多い。こういう人間失格ともいうべきバカの存在は、世の常であり自民党も例外ではない。失言・暴言を繰返す石原伸晃もそうだ!

彼は院内の廊下で女性記者が名刺を差し出したところ「無礼だろ!」とその名刺を叩き落したという。偉そうに!お前ら何様だ!結局、松本は12年の総選挙で俳優の菅原文太まで動員したが、選挙区の福岡一区では3位、比例区でも復活ならず落選した。尚、松本も仙石由人と同様、社会党から民主党への流れ者であった。

原発の再稼働に尽力していた海江田万里経産相に水を差すように、11年7月6日菅は衆院予算委員会で再稼働について突然新しい指針を出し、ストレステストを行うことを関係閣僚に指示した。菅の発言に対して7月12日の全国知事会議では、政府の対応が場当たり的であるという批判が続出した。

そんななか、玄海原発の再稼働を巡る説明会に、九州電力が子会社等に再稼働賛成メールを送るよう要請していたことが明らかになった。後に国が主催した原子力シンポジウムに、原子力安全・保安院の要請を受けた東北、東京、中部、四国、九州電力は参加者の動員をしていたなど、「原子力村」が一体となって「やらせ」を行っていたことも発覚した。

7月13日菅は記者会見で「脱原発」を表明。しかし火力発電を増やすことに伴うCO2排出量増加をどう対策するか具体的方策はなかった。またこの時期、福島県内の私立幼稚園では約2千人の園児が、退園したり県外に移るなど、小さな子供を持つ親に大きな不安感を与えていることも明らかになった。


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