第12話「家出の先」


家出した二人は、小さな家を見つけ、

ひとまずその家で宿をとる。




「この家、誰か住んでない?」

「大丈夫だろ、
ホコリっぽいし随分使ってないと思う・・・」




「それならいいけど・・・・」

「お、冷蔵庫まだ使えるぞ!」





「(・・・・・・)」

「(この家・・・・・)」






「(ベット、一つしかない・・・・)」

「(い、一緒に・・・・寝るのかな・・・?)」







「しかもバスタブ、外だし・・・・」

「これじゃ、丸見えじゃない・・・・・」




「風呂、入りたいのか?」

「えっ!!い、いや、でも・・・・外じゃさ・・・・」




「周り畑しかないし、誰もいないだろ。
俺も家ん中いるし、入りたきゃ入れよ」

「・・・・・・・・・」





「・・・・ま、いっか・・・・」ジャー

「覗いたら、ぶん殴ってやる!!」








「・・・・・・・・」

「ベット、一つしかないのか・・・・・」






「寝袋、持ってくりゃあ良かったな・・・。
アレの方が寝心地いいんだよな・・・」





「はぁ・・・、それにしてもアイツまで
ついてくるなんて・・・・」

「どーゆうつもりなんだ?」





「ふぁぁ〜〜〜、
明日聞いてみるか・・・・」

「夜中歩き通しだったから、ねみ〜・・・・」



「ZZzzz・・・・・」

ギルバートはパッチに引き取られてすぐ学校に行かされ、
いきなり引っ越しし、家出したその足でここまで来たので
二日近く寝ていなかった・・・・。












「はぁ〜、なんか外でお風呂に入ると、
解放感があって気持ちいいな〜〜♪」

「ちょっとお風呂汚いけど・・・・」





ザバッ

「ふぅ〜、出る時がちょっと勇気いるのよね・・・・」





「だ、誰も見てないでしょうね・・・・」








「ふぁ〜〜、眠い・・・・・」

「もう寝よ〜〜・・・・」




「って、そーだった・・・・
ベット、一つしかなかったんだ・・・・」

「ど、どーしよ・・・・
寝袋持ってこれば良かったな・・・」





カチャ

「あれ、電気が消えてる。
ギルバート、もう寝てるのかな?」






「・・・・・・・」




トサ・・・

「い、いいよね、
横に寝ても・・・・」





「あたしだって、ベットで寝たいんだもん!」

「後で文句言わないでよね!」



「ふぅ〜、おやすみ〜〜・・・・」

「ZZzzz・・・・・」




「zzz・・・・」

こうして二人は、
家出した先で背中合わせに寝たのだった・・・。











一方、パッチ宅




「オ父様!オ父様!!」

「起キテ クダサイヨ!
かせりんガ・・・!」




「うるせーなぁ・・・・ぐーぐー」

「かせりんト、ぎるばーとガ〜〜〜〜!!」








駆ケ落チ シタンデスッテバーーー!!!




「むにゃむにゃ・・・・」



ティムは二人の後を追って行き、
とりあえずパッチに報告しようと戻ってきたのだが、
ぐっすり寝ているパッチには、
ティムの叫びは届くことはなかった・・・・。































「・・・・ん・・・・」









うわっ!!!!!




ガバッ






うわっ!うわーーーーー!!!」バタンッ

キャーーー!キャーーー!!





「い、イヤァ〜〜〜〜ッ!!!!」

「何見てんの!何の夢見てんのアタシッ!!!
お、お、恐ろし過ぎるわーーー!!!!」








・・・ガチャ




「な、なんだ?どうした!?」

「あ・・・・・」



「何かあったのか!?」

「あ・・う・・・、
な、なんでも・・・ないよ・・・」





「なんでもないって・・・・
すげー叫んでなかったか?」

「う、うん・・・・
ちょっと恐ろしい夢見ちゃって・・・・」



「なんだ夢かよ、ふぁ〜〜〜ぁ・・・」

「お、起こしちゃってごめん・・・・」



「いいよ、慣れない事したから
不安だったんだろ」

「そ、そうかな・・・・」



「・・・ね、寝よっか」

「あぁ・・・」









ギシ・・・

「ふあぁあぁ・・・」




「(ど、どうしよう・・・・・
もしまた、あんな夢見たら・・・・・)」




「スーースーーー・・・・」

「・・・・・・」




「(あたし、どーしたのかな・・・一体・・・)」

「(あんな夢見るなんて・・・・・
カルロスくんと付き合ってても、あんな・・・・)」





「(うわ、思い出しちゃったよ〜〜〜〜!!)」

「(う〜〜〜〜、考えちゃダメだ!寝よ寝よ!)」






カセリンは、妄想少女にレベルアップした。
























ジュージュー




「ZZzzz・・・・・・・ん・・・・」





「・・・・・なんか、いい匂いする・・・」





「よっと!」

カセリンがパンケーキを焼いている匂いだった。





ジュージュー

「〜〜〜♪」



「・・・・・・・・」




「・・・・な、何やってんの?」



「あ、ギルバート起きたの?
おはよー」

「お、おう・・・・」



「今パンケーキ焼いてるから、待っててね♪」

「あ、うん・・・」





ギルバートは見慣れない光景に
戸惑っていた・・・・。

誰かが家で料理をしてる場面なんて、
今まで見たコトがなかったからだ。






「さ、出来たよ♪」

「お、おう」














な、なにぃ〜〜〜〜!!





「カセリンとギルバートが駆け落ちしただぁ〜〜〜〜!??」




「なに言ってんだよ、お前はー!!」

「ホ、本当デスヨ!
昨日ノ夜、二人デ出テ行カレタノデスヨ!!」




「はぁ〜?
なんでだよ、なんで駆け落ちしたんだよー!!」

「俺がいつ、二人の仲を引き裂こうとしたよ?
てか、あいつら付き合ってたのか!?」





「ソレハ、分カリマセンガ・・・・
デハ、二人ガ 付キ合ッテルトシタラ 認メマスカ?」

「え・・・・?
認めるって・・・そりゃ・・・・、
は、反対するかな・・・」




「反対スルノデスカ?」

「え・・・、だ、だって、
カセリンにはまだ早いだろ?なっ!」




「かせりんハ、確カ かるろすトイウ同級生ト
付キ合ッテ イタはずデスガ」

「はぁ?カルロス?
誰だソレ、俺はしらんぞ!」



「なんだよ、カセリンいつの間に・・・・・
てか、なんでお前そんな事知ってんの」

「随分前カラ 二人ガ会ッテル所ヲ、
ヨク見カケマシタガ・・・」


「え・・・・、し、しらない・・・」




「アレ、じゃあなんでギルバートと駆け落ちしたんだ?」
「かるろすトイウ彼トハ 別レタノデショウ。」

「わ、別れ・・・・
ってことは、今彼がギルバートって事か?」
「デショウネ。」



「モシヤ、オ父様ニ反対サレルト思イ、
早々ニ駆ケ落チシタノデハ・・・!?」

「んなワケねーだろ。
お前頭のネジ、イカレてんじゃねーの?」




「(カセリンは最近何考えてんのかよくわかんねーけど、
ギルバートはそんな奴じゃねぇだろ)」

「オ父様、二人ヲ迎エニ行カレナイノデスカ?」




「勝手に出て行ったんだ、勝手に帰ってくんだろ」

「随分ト冷タイノデスネ・・・・
今頃、何処デ ドウシテイルノカ
心配ジャナイノデスカ?」



「ギルバートが一緒なんだ、
大丈夫だろ」

「ソウデスカ・・・・」




ティムには、パッチが何を考えて
大丈夫と言っているのかわからなかった・・・。

「人間ノ脳ハ 計リ知レナイ・・・・」


「何言ってんだ、お前」