第22話「縛られた少年」


ドン家







「ただいま・・・・。」

「おかえり、ギルバート・・・」





「・・・・・・・・」

「・・・・・・・・」





ギルバートは何事もなかったかのように帰って来た・・・・。








「お、フィッシュ・アンド・チップス!
俺好きなんだよな〜〜♪」

「・・・・・・・・・」





「・・・・あのさ、ギルバート」

「ん、なんだよ?」




「さっきの人、誰・・・?」

「・・・・・・・・」







「もしかして、父親・・・だったりして・・・・」

「そうだよ・・・・。」







「・・・・・・・・・そ、そっかぁ〜・・・・」




「ギ、ギルバート・・・
家に帰ったり・・・・するの?」

「しないよ」




「そうだよね、もうあたし達の家族だもんね・・・・!」
「うん・・・・・」





ガタ・・・・





「・・・・・・・・」




「(なんだろう・・・・、嫌な予感がする・・・・)」

「(本当の父親が現れるとか・・・・、
何かの本で読んだ気がする・・・・)」






「(その後は必ず・・・・、
主人公がいなくなっちゃうんだよね・・・・・)」








ガタ・・・・・







ガチャガチャ・・・・





「ギルバートさ・・・・、
どこにも行かないよね・・・・?」






「は?何言ってんだよ・・・・」





「ここにいるでしょ?
本当の家族の所に帰らないよね・・・・?」

「帰らないって言っただろ・・・・」



「だって・・・・」





「・・・・・・・」

「お前、本の読み過ぎじゃね?」






「だって、なんか不安なんだもん・・・・・」

「うおっ」





「な、何・・・・ちょ・・・・!」ドキドキ








「行かないって言ってよ・・・・」












「バカ、やめろって・・・・!
おっさんに見られたらどーすんだよ・・・・」

「パパ、まだ帰ってこないもん・・・・」



「だからってなぁ〜・・・・」





「(いきなり引っ付くなよ・・・・!
ドキドキすんだろうが・・・!!)」

「ギルバート、冷たいよ〜〜〜〜!」



「つ、冷たくねぇよ・・・・
放せって・・・・」




「いいじゃんいいじゃん、くっつきたいんだよ〜〜〜!!」

「うっ・・・・・」










「(この状況はマズい・・・!!)」

「(死ぬ!マジで死んでしまう!!)」






(・・・おっさん、早く帰ってきてくれ・・・・!!)


















なんとかカセリンの誘惑に耐え抜いたギルバートは・・・・・





そそくさと寝てしまった・・・・。












パッチも仕事から帰ってきて、寝静まった深夜・・・・






「ZZzzzz・・・・」






むく・・・・





ギルバートは静かに起き出した・・・・












「・・・・・おっさん、
よくしてもらったのに・・・・ごめんな・・・・。」












おっさんに引き取ってもらってから、
嬉しい事ばかりだった・・・・。







カチャ・・・・







俺のベット用意してくれて嬉しかった・・・






クリスマスの夜、探しに来てくれて嬉しかった・・・・








「・・・・・・・・・」









今まで感じた事のない感情があった・・・・・









「・・・・・・・・・外、寒そうだな・・・・」












だから、壊させない・・・・・








カチャ・・・・









この家族だけは、アイツに手は出させない・・・・!







「・・・・・・・・」














「・・・・・フィニー・・・・・・」








「ZZzzz・・・・・」







「・・・・・・」

「世話になったな・・・・・」













いっぱい言いたい事はあるけれど、全て呑み込み・・・・





ギルバートは静かにドン家を出て行った・・・・。
















「・・・ワゥ?」






「クゥ〜ン・・・・
(にーちゃん、こんな夜中にどこ行くんじゃろ)」









フィニーはギルバートの後をつけて行った・・・・。






「パパ・・・・!」

「ZZzz〜・・・」


「パパ起きてよ!!早く!!」




「んん〜?カセリン・・・・?」

「パパ・・・・、ギルバートの本当の父親が現れたよ・・・・」




「・・・・・え?な、なんだ、いきなり・・・・」

「・・・・・・・・・・おいカセリン、今の話・・・・本当か?」





「・・・・・・うん。
ギルバート、今・・・家を出てったよ・・・」

「・・・・・本当の家に帰ったのかも・・・・、
帰らないって言ってたのに・・・・」




「バカ言えっ!実の息子を売る父親だぞ!?
アイツが帰るワケねーだろ!!」

「でも、出てったもん!
あたし、後をつけてくる・・・・!!」



「ちょ・・・、一人じゃ危ねぇだろっ!
俺も行くよ!!」















「パパ、もっとスピード落として!!
見つかっちゃうでしょ!!」

「バカ!そんなに離れたら見失っちまうだろ!!」




「あ、あそこ・・・!
あれ、フィニーじゃない?」

「え〜?違う犬だろ・・・・」



「フィニーだよ!!」






ギルバートを尾行しているのだが、


車の中は賑やかだった・・・・。






















「・・・・・・・・」






「ワフッ・・・」








「・・・・ほら、フィニーだよ・・・」



「確かに・・・・フィニーっぽいな・・・・
それより、ギルバートの奴どこ行くんだ?」






「こっちにギルバートの家があるのかも・・・・」

「はーん、そんならどんな奴が父親なのか拝んでやる!」















「・・・・もう、戻れないかもしれない・・・・」






「もう二度と会えないかもしれない・・・・・」





「でも、離れていても・・・・・
例え捕まって刑務所に入る事になっても・・・・・
俺は大丈夫だ・・・・!」









「アイツさえいなくなれば・・・・・」







「アイツさえ、この世からいなくなれば・・・・!」





ギルバートは、父親の住む家に向かっていた・・・・。













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今回、ポーズ使わせて頂きました。
普段使わないんですけどね、
ちょっと表現したかった所があったので・・・w
配布してくれている方、どうもありがとうございました。