ビットとアトムの読書目録 RSSフィード

2015-02-28

[]『いちえふ 福島第一原子力発電所労働記』0463

福島第一原発の現場作業員として2度にわたって実務をおこなった漫画家による、とてもリアルな「いちえふ」の現実が描かれています。

著者の立場はナチュラルで、原発事故の収束作業は誰かがやらなければいけないという現実に自分で身を置いて、自分が体験し、見聞きしたことを(もちろん多方面への配慮をした上で)ストレートに描いているように思います。

そこには反原発とか東電擁護というような「立場」による目線はなく、あくまで福島の土地と人々に寄り添った視点からの描写になっていて、とても心に迫るものがあります。こういう題材に漫画の絵がどれだけの力を持ち得るか。思い知らされたように思います。

著者が体験したそれぞれのことが凄すぎて、引用すらできませんが、とにかく多重の下請け構造のなかで、労働条件としても賃金にしてもとても厳しい環境で働いている方々には敬意を覚えます。そしてやはり線量が高い場所での労働の現実の描写。規定の線量(20msv)を超えたらもう働きたくともその年度は働けない現実。そんななかでも少しづつ着実に収束に向かっての作業はすすんでいます。

ちょうど汚染水の海洋流出のニュースが流れてきて、なんという隠蔽体質と思いながらも、これまでと違った見方をしている自分に気付いたりします。この漫画は今こそ、読むべき作品だと思います。

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2015-02-14

[]『世界文学を読みほどく スタンダールからピンチョンまで』0462


読んでいない本の解説を読んでしまって、しまったと思いつつ、池澤さんの視点から世界文学をみるとこうなるのか!という驚きにみちた1冊でした。

本作は、京都大学での連続講義を書籍化したものということで、話し言葉でわかりやすくまとめられています。

俎上にあげられている作品は下記。

パルム僧院スタンダール

アンナ・カレーニナトルストイ

カラマーゾフの兄弟ドストエフスキー

魔の山トーマス・マン

ユリシーズジョイス

白鯨メルヴィル

『アブサロム・アブサロム!』フォークナー

ハックルベリ・フィンの冒険』トウェイン

百年の孤独ガルシアマルケス

『競売ナンバー49の叫び』ピンチョン

『静かな大地』池澤夏樹

正直言って、情けないほど読んでいないのですが、文芸評論的な視点ではなくて、あくまで創作者の視点で作品の構造や成り立ちを語っているのが面白いと思いました。

小説という形を読み解くと神話的な起源かゴシップ的な起源かその混合として発展してきて、『ユリシーズ』と『失われた時を求めて』でほぼ完成した、という話や、『白鯨』が百科事典的・ディレクトリ的な構造で記述された極めて近代的な作品、という解釈はとても新鮮でした。

フォークナーピンチョンガルシアマルケスなどは実際に読んでいないので何とも言えないのですが、非常に雑なくくり方をすると、総括の章ににあるように、もはや世界は断片化していて「大きな物語」で表現しきれる時代では無くなったということを、いろいろな世代や地域の物語を見ていく中で、文学が取り得る立場の変化として池澤さんは表明している、ということになろうかと思います。

その象徴として、カート・ヴォネガットが『スローターハウス5』に書いた「人生について知るべきことはすべて、フョードル・ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』の中にある、と彼はいうのだった。そしてこう付け加えた、だけどもうそれだけじゃ足りないんだ」という言葉を、何度も引き合いに出しているのでしょう。

採り上げた作品の中で自作の『静かな大地』は、どちらかというと創作論として話しているのですが、最近読んだばかりだったので作者解説的に読めてとても得をした気分です、

カラマーゾフ積ん読◯年なんですが、やっぱり死ぬまでに読まないといけないですかね.....

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2015-02-01

[]『オリガ・モリソヴナの反語法』0461

ようやく電子書籍化されたので読みました。

ウワサ通りの素晴らしい作品。

米原さんの唯一の小説とのことですが、確かにこの世界はエッセイではなくフィクションでしか表現できないかも。

過去幾つものエッセイで描かれてきたプラハソビエト学校をスタートして、1930年代のモスクワや、過酷な強制収容所生活の描写、そして伝説のダンス教師を巡る謎解きの鮮やかさが幾重にも作品の面白さを構成しています。

そして単に面白いだけではなく、なかなか窺い知ることのできない、スターリン時代以降のロシアの人々が直面した苦難が、虚実を取り混ぜる形で描かれていてとても興味をかき立てられます。

しかし、ロシア人の名前は覚えにくいというか馴染みがなさ過ぎて、読んでいていて人間関係が混乱してきますね。

これは再読必須かも。

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2015-01-23

[]『本棚にもルールがある』0460

HONZを主催している成毛さんの本棚論。論というよりもノウハウの開陳というべきか。

本棚を(1)新鮮な本棚、(2)メインの本棚、(3)タワーの本棚の3つで管理してそれぞれの構成や役割を解説していますが、なるほど、と思う反面、そんなの勝手にやればいいじゃん、と思わずにもいられない。本棚の作りや棚のサイズまで決められてもねえ。

でも、意外に自分も成毛さんのルールに近い管理をしていたりして。

「新鮮な本棚」とメインのジャンル別の本棚については、私は電子書籍アプリの本棚でほぼ実践しています。

リアルな本棚は、いまは部屋の奥深く眠っているので新陳代謝が止まってしまっているのが残念。

HONZのセレクションといい、成毛さん関連は最近はいちばん読書の参考になっています。

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2015-01-19

[]『電力と国家』0459

電力の鬼・松永安左エ門の評伝の様でもあるが、電力を国家管理しようと画策する官僚軍部と戦った人々を礼参しているのが本書の特徴。

確かに戦前戦中戦後にかけては、ファシズム的なものと戦う企業人の矜持を福沢諭吉の精神と結びつけて語るのは正しいのかもしれませんが、今となってはこれらのことが全て裏目に出ているようにも思えます。いや、裏返した人がいるのでしょう。

本書では、そこのところを小林一三平岩外四ロックオンしています。

とにかく、いまの電力会社の形態にどういう経緯でたどり着いているのか、そこに絡んだ松永やGHQ吉田茂などさまざまな戦後の組織や個人の思惑と行動、結末がよくわかった。

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2015-01-18

[]『1949年大東亜共栄圏―自主防衛への終わらざる戦い―』0458

占領下で再軍備をもくろむ旧日本軍幹部や参謀たちが、中国国民党GHQと絡みながらどう暗躍し、その目論みが潰えていったのか?

今日まで繋がる台湾との関係や、自衛隊の成り立ちの根源がわかる1冊です。

敗戦後残留した日本軍中国国民党と共同で共産党と戦う義勇軍となっていたというのは知らなかった。

大本営参謀は戦後何と戦ったのか』の続編というか再話という感じで、『児玉誉士夫 巨魁の昭和史』とも関係が深い。

有馬先生、安定の面白さです。


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2015-01-12

[]『創価学会平和主義』0457

プロテスタントの立場から見た創価学会と公明党のあり方、ということを随所で強調していますが、印象としては佐藤氏いうところの公開情報から探る学会組織の内在的論理というところで、まさにインテリジェンス視点の分析となっているのがとても面白いところです。

非常にヨイショ的な佐藤氏の学会評価に同意できるかは置いておいて、歴史的な経緯や自民党との距離感や行動原理が理解できて非常に有意義でした。

興味はあっても、『人間革命』など部外者には近づきづらいものがありますから。

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2014-06-08

[]『機龍警察』0456

街中でパワードスーツが暴れ放題!というところで、舞台が警察ということもあってパトレイバーを連想させるが、もうちょっとハードでダークな印象です。S

この作品が第1作目で、傭兵から日本の警察と契約して「機甲兵装」に搭乗している姿警部が主人公。チャイナマフィアが絡んで、謎の人物がいっぱいで今後の伏線張りまくりな感じです。

これははたして、SFなのか?警察小説なのか?ミステリーなのか?

ちょっとエヴァっぽいところもある?けど本作ではまだ端緒に触れた程度。続編にも期待します!

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2014-05-18

[]『世界のエリートが学んできた 「自分で考える力」の授業』0455


日本人は自分の意見を言うのがヘタ。というところから、どのように物事に対して「自分の意見」を持つか、をクリティカル・シンキング手法で解説している本です。

明解にステップを切って事例とともに説明しているのでわかり易く、一見簡単な事にさえ思えるほどです。

自分が理解できているか、を検討し、わかっていない事をリストアップし、自分に質問をしていきながら一つづつ解消していく。

そして、さまざまな他者の立場になって検討して、理解の幅をひろげ、時には一人弁証法で意見を磨き上げる。

そのうえで、実現可能な未来へのアクションを考えていく。

筆者は「考え抜く」と表現していますが、まさに思考の連続で議論に耐えうる自分の考えを練り上げていく技術が必要になります。

実際のビジネスの場などでは、必須の技術だと思いますが、実際にできているかとなると自分も全然です。

本書は、とにかく易しく読みやすいので、なにが必要か、ということはバッチリわかるのですが、

では実践となると.....自分自身次第ですね。


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世界のエリートが学んできた「自分で考える力」の授業

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2014-05-17

[]『ハーメルンの笛吹き男 ――伝説とその世界』0454

1284年6月26日。

ドイツハーメルンから130人の子供が忽然といなくなった。

これはどうやら史実らしい。

というところから、本書は有名は「ハーメルンの笛吹き男」の伝説がどのような社会背景の中で成立していったのかを緻密に解明していて、とてもワクワクさせられながら読み進める事ができます。

グリムの童話を含めて、いろいろなバリエーションがこの話には存在しますが、

おおもととなっているのは上記の事実。ハーメルン市では通常の西暦とは別に、この1284年6月26日から数えて何年目、という暦があるそうです。

この伝説は、「子供の失踪」「笛吹き男」「ねずみ取り」という3つの要素から成立しているわけですが、本書ではそれぞれを丁寧に探求しています。

子供の失踪理由も、集団移住、少年十字軍への従軍、徴兵など本当に諸説あるようです。

ヨーロッパ中世を舞台に、いわゆる表の歴史ではなくて、「民衆の側から見た歴史」という視点が本書では提示されています。

本書が発売されてから40年経っているわけですが、当時と今の歴史学の常識はたぶん異なっているのでしょうが、

本書を手に取る読者としては、こういう「学校で習わない」歴史のありようは本当に驚きにみちていて、知的好奇心を刺激されます。

もっと早く読むべきでしたね。

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2014-05-15

[]『ケルトの薄明』0453

先日読んだ『ケルト妖精物語』が、イエイツが編纂した民話集だったとすれば、本書はイエイツ自身が聴いたり体験したりした妖精にまつわる話をまとめたものです。

大きな違いは、自分の体験として主観的に語っている点。もちろん『ケルト妖精物語』も面白かったのですが、こちらはイエイツの人間性がよく判って楽しいです。

神秘主義者、詩人でもあるイエイツですが、なかなか実証的です。

黒魔術の儀式に参加しながら、トランス状態に入らないようにがんばって観察していたり、妖精の女王に出会って根掘り葉掘り問いただして怒られたりしています。

でもやはり芸術家らしい視点で、超自然のものの存在とそれらと交歓できる人々に対する共感がイエイツにはあるんだなあと、読んでいて嬉しく思えました。

井村君江さんの美しい翻訳と相まって、本書は本当に素晴らしいの一言です。

その井村さんが館長をされているという「宇都宮妖精ミュージアム」にも行ってみたくなりました。

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2014-05-12

[]『春を背負って』0452

奥秩父主脈の甲武信岳国師岳間のどこか、という舞台となる山小屋の設定が絶妙ですね。

険しい場所ではないけれども、標高2000mを超えていて意外と気象は厳しい。

そんな架空の山小屋をめぐる人間模様というか、基本的には人情味のあるやりとりが中心の連作が本書です。

よく知っている場所だけあって、風景を想像しながらとても楽しく読みました。

一読してちょっと物足らないようにも感じますが、奇をてらわず、大仰に構えず、淡々と山の風景と生活を描いていて、でも山でであういろいろな経験が織り込まれていて、作者は山が好きなんだろうなあ、と思わせられるのが良いです。

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2014-05-11

[]『ケルト妖精物語』0451

アイルランド詩人、イエイツによるケルトの妖精に関する民話集です。

もともとは1888年から1892年にイエイツが編集した2つの民話集を、日本で1978年に出版したもの。

実は相当に古いものなのに、そう感じずに読めるのは訳文によるところが大きいと思います。

とてもイメージ豊かでわかり易く、いい意味で翻訳っぽくない文章です。

本書は民話集なので、伝説や神話とは異なります。

実に素朴に、農民の身の回りで「普通に」妖精が現れて悪さをしたり、幸せをもたらしたり。

淡々とした話が続きます。

何に似ているかと言えば、遠野物語というか日本昔話。河童やコブ取りじいさんみたいな話ばかりです。

そして、妖精は、いわゆるティンカーベルのようなフェアリーではなく、

ハリーポッターや指環物語にでてくるトロールのような存在です。あるいは人魚とか。

妖精という漢字にグッドピープルと読み仮名が振ってあります!

アイルランドには行ったことがありませんが、

暗い森や荒涼としたヒースの原野の片隅に伝統を守る人々が暮らす、といったイメージそのものです。

もちろん現代は違うんでしょうけど、なにか日本と似ていて違う、という感じが伝わってきます。

もっとケルト文化について知ってみたくなりますね。

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2014-05-10

[]『豪快茶人伝』0450

茶人に興味をもったきっかけは『へうげもの』なんですが、いくらなんでも「創り過ぎ」だろうと思っていた人たちが、けっこういい感じのデフォルメだってことがわかって、楽しさ10倍ドン、です。

武野紹鴎〜今井宗久〜千利休〜古田織部〜小堀遠州といったあたりの流れがよくわかって満足。

それと同時に、茶の湯と切り離せない「名物」にかかわる人々の放蕩ぶりに感激ひとしおです。

特に荒木道薫。信長に叛いて逆に攻められ、落城の折に一人茶壺を抱えてトンズラしたおかげて家臣妻子皆殺しにあってもしぶとく生き延びたその業の深さはあっぱれとしかいいようがありません。

その後江戸の時代でも名物に身代を注ぎ込んだ大名・商人たちがごっそりです。

ところで、作者をまったく気にせず読み終わってから、火坂さんだったのか〜と気づきました。エッセイのつもりで読んでいるのに、いきなり「語り」が入るので作家っぽい書き方だな、と思って読んでいたんです(笑)

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2014-05-09

[]『顧客を売り場に直送する ビッグデータがお金に変わる仕組み』0449

位置情報と行動情報。

スマートフォンが切り開いている、持ち歩けるコンピューティングデバイスがもたらす膨大なデータの蓄積を、

だれが商機に結び付けていくのか?というお話。

メガネとか時計とか、どうなんだろう?GPSロガーとしての腕時計は有りだと思いますが、

情報表示デバイスとしてはもっと違うものが来るんじゃないかと個人的には思います。

「今」を知るうえでは、本書はとても面白かったけど、こういうテーマは旬が短いので、読むなら今すぐが乙。

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2014-05-08

[]『パンツの面目ふんどしの沽券』0448

基本、下ネタなんですが実に深い!

アダムとイブの「葉っぱ」から力士のマワシまで、人類が腰につけるものについて、実体験と資料とタレコミを元にまじめに考察した一冊。

ネタがネタだけに、米原さん本領発揮の安定の面白さです。

東欧ロシアの、パンツは自分で作るもの、あるいはそもそも着けない、というのも驚きですが、かつての日本人のフンドシ姿を見た外国人の興味津々の様子も面白いです。

そして、あとがきを読んでさらに本書の深い意味を知ることに。

米原さん、志半ばだったのかなあ。

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2014-05-07

[]『千年の愉楽』0447

物語の強度に圧倒された。

「血」の持つ宿命に抗いながら翻弄される男たちと、その生と死を見守る語り部たる産婆。

作者のいうところの「路地」、すなわちひとつの(被差別)部落の中で展開するストーリーがこれほどまでに広がりと深さと崇高さとエロスを持ち得るとは。

登場する6人の男たちの魅力もさるものながら、時空を超えて彼らを語りつくす産婆=オリュウノオバの奔放な思考が、本作品の常ならぬトーンを作り出している。

そして緻密で難解は文体も、この物語を支える不可欠の存在だろう。

それで、映画は.......どうなんだろう?

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2014-05-06

[]『里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く』0446

一言で言ってしまえば、地方力の活用ってことかな、と思いました。

本書で取り上げられている個々の事例、オーストリアのCLTや真庭のバイオマス発電などは、テーマとして面白いです。地方には地方でしか成しえないイノベーションがあって、それをうまく使って生き延びていこうということですね。

別に「マネー資本主義との決別」って大上段に振りかざす必要はないと思うけど、これから人口が減少していく日本でかつてのような経済成長を夢見ることはできないのはまぎれもない事実なんですから。

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2014-04-09

[]『ぼくは数式で宇宙の美しさを伝えたい』0445

原題は「THE SPARK」。そして副題「a mother's story of Nurturing Genius」とあります。ストレートですね。

本書は、2歳で自閉症と診断され人とのつながりを失いつつあった少年、ジェイコブ・バーネット君が、天文学との出会いから内なる才能を開花させるドキュメントです。

7年飛び級して9歳で大学に入学とか、12歳で論文の著者となりPhDをめざすとか、それだけでも信じがたいのですが、「16歳になっても靴ひもも自分では結べない」とまで言われたジェイコブ君は13歳でTEDの講演までこなしている!

原題の通り、その才能が目覚めていくさまはまさにSPARKそのもの。感動さえ覚えます。

しかし、その過程は紆余曲折。通常のカウンセリングプログラムでは発達障害の改善でしかないところを、ジェイコブ君の才能の片鱗を信じ、普通のこどもとしての経験も積ませたいと願う母親とその周囲のサポートが、奇跡的な才能の発現を呼んだとしか思えません。

著者はそのジェイコブ君の母親クリスティンさんです。自らの決断と行動力で、「今すべきこと」をジェイコブ君に与え、そのの才能を開花させていく姿は、まさにアメリカの母(?)という感じです。そのノウハウを同じ悩みを抱える自閉症の子供たちのために「ボランティア」というかたちでシェアしている姿も素晴らしい。

本書は自閉症という心の病を通じたストーリーになっていますが、もちろん健常な人にとってもクリスティンさんの取った方法、すなわちこども本人が興味をもった分野を惜しみなく伸ばしてあげる、というやり方は重要だと思います。人間あらゆる分野に精通するなんてことがそうそうあるわけではありません。むしろ、興味をもったらとことんのめり込むのが当たり前。特にこどもにとってはそうです。

なず、その片鱗に触れてみたければ「jacob barnett」をYoutubeで検索してみてください。とにかく驚愕の才能です。ジェイコブ君がこの先どうなるか、楽しみでなりません。

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2014-03-25

[][]『氷川清話 付勝海舟伝』0444

晩年の勝海舟=勝安芳伯爵新聞記者がインタビューしたものが本書です。

現代語訳されていて読みやすく、まるで明治の時代にタイムスリップして時事放談を聴いているようです。

内容的には『それからの海舟』で予習済みだったのですが、本人の言葉で語られる幕末明治のなんといきいきとしていることか。半藤氏のいう「ホラ話」がたぶんに含まれていると思って警戒しながら読んだのですが(笑)、そんな必要は全い面白い読み物でした。

反対勢力である薩摩長州の人々と交流し、フランスロシアイギリスと裏交渉し、徳川家存続のための工作を重ねている姿は、動乱の時代を知略で乗り切る政治家の姿そのものです。そして明治になってからも、表に裏にいろいろやっている。まさにフィクサーという感じです。本書は、そんな人物の晩年の言いたい放題の自慢話といえますね。

でも特筆しておきたいのは、勝海舟の立ち位地が常に人民のため何が最善かという点にあったということです。巻末に収録されている「勝海舟伝」でも海舟を「私」よりも「公」に依って行動した人物、と評しているように、それは幕末の行動から徳川主従の世話、そして日清戦争への批判へと繋がっています。勝海舟という人は、幕末明治という時代において相当の変わり者というか、近代人だったんだと思います。

それにしても気になるのは福沢諭吉との関係。咸臨丸で一緒に米国にいっているのに、その後は福沢先生は一貫して勝海舟を批判しています。勝海舟贔屓になりつつある塾員としては微妙なところです。

この辺りの事情をもっと知りたいと思いました。

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