ビットとアトムの読書目録 RSSフィード

2014-06-08

[]『機龍警察』0456

街中でパワードスーツが暴れ放題!というところで、舞台が警察ということもあってパトレイバーを連想させるが、もうちょっとハードでダークな印象です。S

この作品が第1作目で、傭兵から日本の警察と契約して「機甲兵装」に搭乗している姿警部が主人公。チャイナマフィアが絡んで、謎の人物がいっぱいで今後の伏線張りまくりな感じです。

これははたして、SFなのか?警察小説なのか?ミステリーなのか?

ちょっとエヴァっぽいところもある?けど本作ではまだ端緒に触れた程度。続編にも期待します!

にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村

購入書店電子書籍ストアBookLive!

電子書籍ストア BookLive!

紙の本はこちら。

2014-05-18

[]『世界のエリートが学んできた 「自分で考える力」の授業』0455


日本人は自分の意見を言うのがヘタ。というところから、どのように物事に対して「自分の意見」を持つか、をクリティカル・シンキング手法で解説している本です。

明解にステップを切って事例とともに説明しているのでわかり易く、一見簡単な事にさえ思えるほどです。

自分が理解できているか、を検討し、わかっていない事をリストアップし、自分に質問をしていきながら一つづつ解消していく。

そして、さまざまな他者の立場になって検討して、理解の幅をひろげ、時には一人弁証法で意見を磨き上げる。

そのうえで、実現可能な未来へのアクションを考えていく。

筆者は「考え抜く」と表現していますが、まさに思考の連続で議論に耐えうる自分の考えを練り上げていく技術が必要になります。

実際のビジネスの場などでは、必須の技術だと思いますが、実際にできているかとなると自分も全然です。

本書は、とにかく易しく読みやすいので、なにが必要か、ということはバッチリわかるのですが、

では実践となると.....自分自身次第ですね。


にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村

図書館にてレンタル。

電子書籍はこちら。

世界のエリートが学んできた「自分で考える力」の授業

電子書籍ストア BookLive!

紙の本はこちら

2014-05-17

[]『ハーメルンの笛吹き男 ――伝説とその世界』0454

1284年6月26日。

ドイツハーメルンから130人の子供が忽然といなくなった。

これはどうやら史実らしい。

というところから、本書は有名は「ハーメルンの笛吹き男」の伝説がどのような社会背景の中で成立していったのかを緻密に解明していて、とてもワクワクさせられながら読み進める事ができます。

グリムの童話を含めて、いろいろなバリエーションがこの話には存在しますが、

おおもととなっているのは上記の事実。ハーメルン市では通常の西暦とは別に、この1284年6月26日から数えて何年目、という暦があるそうです。

この伝説は、「子供の失踪」「笛吹き男」「ねずみ取り」という3つの要素から成立しているわけですが、本書ではそれぞれを丁寧に探求しています。

子供の失踪理由も、集団移住、少年十字軍への従軍、徴兵など本当に諸説あるようです。

ヨーロッパ中世を舞台に、いわゆる表の歴史ではなくて、「民衆の側から見た歴史」という視点が本書では提示されています。

本書が発売されてから40年経っているわけですが、当時と今の歴史学の常識はたぶん異なっているのでしょうが、

本書を手に取る読者としては、こういう「学校で習わない」歴史のありようは本当に驚きにみちていて、知的好奇心を刺激されます。

もっと早く読むべきでしたね。

にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村

購入書店電子書籍ストアBookLive!

電子書籍ストア BookLive!

紙の本はこちら。

2014-05-15

[]『ケルトの薄明』0453

先日読んだ『ケルト妖精物語』が、イエイツが編纂した民話集だったとすれば、本書はイエイツ自身が聴いたり体験したりした妖精にまつわる話をまとめたものです。

大きな違いは、自分の体験として主観的に語っている点。もちろん『ケルト妖精物語』も面白かったのですが、こちらはイエイツの人間性がよく判って楽しいです。

神秘主義者、詩人でもあるイエイツですが、なかなか実証的です。

黒魔術の儀式に参加しながら、トランス状態に入らないようにがんばって観察していたり、妖精の女王に出会って根掘り葉掘り問いただして怒られたりしています。

でもやはり芸術家らしい視点で、超自然のものの存在とそれらと交歓できる人々に対する共感がイエイツにはあるんだなあと、読んでいて嬉しく思えました。

井村君江さんの美しい翻訳と相まって、本書は本当に素晴らしいの一言です。

その井村さんが館長をされているという「宇都宮妖精ミュージアム」にも行ってみたくなりました。

にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村

購入書店電子書籍ストアBookLive!

電子書籍ストア BookLive!

紙の本はこちら。

2014-05-12

[]『春を背負って』0452

奥秩父主脈の甲武信岳国師岳間のどこか、という舞台となる山小屋の設定が絶妙ですね。

険しい場所ではないけれども、標高2000mを超えていて意外と気象は厳しい。

そんな架空の山小屋をめぐる人間模様というか、基本的には人情味のあるやりとりが中心の連作が本書です。

よく知っている場所だけあって、風景を想像しながらとても楽しく読みました。

一読してちょっと物足らないようにも感じますが、奇をてらわず、大仰に構えず、淡々と山の風景と生活を描いていて、でも山でであういろいろな経験が織り込まれていて、作者は山が好きなんだろうなあ、と思わせられるのが良いです。

にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村

購入書店電子書籍ストアBookLive!

電子書籍ストア BookLive!

紙の本はこちら

2014-05-11

[]『ケルト妖精物語』0451

アイルランド詩人、イエイツによるケルトの妖精に関する民話集です。

もともとは1888年から1892年にイエイツが編集した2つの民話集を、日本で1978年に出版したもの。

実は相当に古いものなのに、そう感じずに読めるのは訳文によるところが大きいと思います。

とてもイメージ豊かでわかり易く、いい意味で翻訳っぽくない文章です。

本書は民話集なので、伝説や神話とは異なります。

実に素朴に、農民の身の回りで「普通に」妖精が現れて悪さをしたり、幸せをもたらしたり。

淡々とした話が続きます。

何に似ているかと言えば、遠野物語というか日本昔話。河童やコブ取りじいさんみたいな話ばかりです。

そして、妖精は、いわゆるティンカーベルのようなフェアリーではなく、

ハリーポッターや指環物語にでてくるトロールのような存在です。あるいは人魚とか。

妖精という漢字にグッドピープルと読み仮名が振ってあります!

アイルランドには行ったことがありませんが、

暗い森や荒涼としたヒースの原野の片隅に伝統を守る人々が暮らす、といったイメージそのものです。

もちろん現代は違うんでしょうけど、なにか日本と似ていて違う、という感じが伝わってきます。

もっとケルト文化について知ってみたくなりますね。

にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村

購入書店電子書籍ストアBookLive!

電子書籍ストア BookLive!

紙の本はこちら。

2014-05-10

[]『豪快茶人伝』0450

茶人に興味をもったきっかけは『へうげもの』なんですが、いくらなんでも「創り過ぎ」だろうと思っていた人たちが、けっこういい感じのデフォルメだってことがわかって、楽しさ10倍ドン、です。

武野紹鴎〜今井宗久〜千利休〜古田織部〜小堀遠州といったあたりの流れがよくわかって満足。

それと同時に、茶の湯と切り離せない「名物」にかかわる人々の放蕩ぶりに感激ひとしおです。

特に荒木道薫。信長に叛いて逆に攻められ、落城の折に一人茶壺を抱えてトンズラしたおかげて家臣妻子皆殺しにあってもしぶとく生き延びたその業の深さはあっぱれとしかいいようがありません。

その後江戸の時代でも名物に身代を注ぎ込んだ大名・商人たちがごっそりです。

ところで、作者をまったく気にせず読み終わってから、火坂さんだったのか〜と気づきました。エッセイのつもりで読んでいるのに、いきなり「語り」が入るので作家っぽい書き方だな、と思って読んでいたんです(笑)

にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村

購入書店:電子書籍ストアBookLive!

電子書籍ストア BookLive!

紙の本はこちら

2014-05-09

[]『顧客を売り場に直送する ビッグデータがお金に変わる仕組み』0449

位置情報と行動情報。

スマートフォンが切り開いている、持ち歩けるコンピューティングデバイスがもたらす膨大なデータの蓄積を、

だれが商機に結び付けていくのか?というお話。

メガネとか時計とか、どうなんだろう?GPSロガーとしての腕時計は有りだと思いますが、

情報表示デバイスとしてはもっと違うものが来るんじゃないかと個人的には思います。

「今」を知るうえでは、本書はとても面白かったけど、こういうテーマは旬が短いので、読むなら今すぐが乙。

にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村

購入書店:電子書籍ストアBookLive!

電子書籍ストア BookLive!

紙の本はこちら

2014-05-08

[]『パンツの面目ふんどしの沽券』0448

基本、下ネタなんですが実に深い!

アダムとイブの「葉っぱ」から力士のマワシまで、人類が腰につけるものについて、実体験と資料とタレコミを元にまじめに考察した一冊。

ネタがネタだけに、米原さん本領発揮の安定の面白さです。

東欧ロシアの、パンツは自分で作るもの、あるいはそもそも着けない、というのも驚きですが、かつての日本人のフンドシ姿を見た外国人の興味津々の様子も面白いです。

そして、あとがきを読んでさらに本書の深い意味を知ることに。

米原さん、志半ばだったのかなあ。

にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村

購入書店:電子書籍ストアBookLive!

紙の本はこちら。

2014-05-07

[]『千年の愉楽』0447

物語の強度に圧倒された。

「血」の持つ宿命に抗いながら翻弄される男たちと、その生と死を見守る語り部たる産婆。

作者のいうところの「路地」、すなわちひとつの(被差別)部落の中で展開するストーリーがこれほどまでに広がりと深さと崇高さとエロスを持ち得るとは。

登場する6人の男たちの魅力もさるものながら、時空を超えて彼らを語りつくす産婆=オリュウノオバの奔放な思考が、本作品の常ならぬトーンを作り出している。

そして緻密で難解は文体も、この物語を支える不可欠の存在だろう。

それで、映画は.......どうなんだろう?

にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村

購入書店:電子書籍ストアBookLive!

紙の本はこちら。

2014-05-06

[]『里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く』0446

一言で言ってしまえば、地方力の活用ってことかな、と思いました。

本書で取り上げられている個々の事例、オーストリアのCLTや真庭のバイオマス発電などは、テーマとして面白いです。地方には地方でしか成しえないイノベーションがあって、それをうまく使って生き延びていこうということですね。

別に「マネー資本主義との決別」って大上段に振りかざす必要はないと思うけど、これから人口が減少していく日本でかつてのような経済成長を夢見ることはできないのはまぎれもない事実なんですから。

にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村

購入書店:電子書籍ストアBookLive!

2014-04-09

[]『ぼくは数式で宇宙の美しさを伝えたい』0445

原題は「THE SPARK」。そして副題「a mother's story of Nurturing Genius」とあります。ストレートですね。

本書は、2歳で自閉症と診断され人とのつながりを失いつつあった少年、ジェイコブ・バーネット君が、天文学との出会いから内なる才能を開花させるドキュメントです。

7年飛び級して9歳で大学に入学とか、12歳で論文の著者となりPhDをめざすとか、それだけでも信じがたいのですが、「16歳になっても靴ひもも自分では結べない」とまで言われたジェイコブ君は13歳でTEDの講演までこなしている!

原題の通り、その才能が目覚めていくさまはまさにSPARKそのもの。感動さえ覚えます。

しかし、その過程は紆余曲折。通常のカウンセリングプログラムでは発達障害の改善でしかないところを、ジェイコブ君の才能の片鱗を信じ、普通のこどもとしての経験も積ませたいと願う母親とその周囲のサポートが、奇跡的な才能の発現を呼んだとしか思えません。

著者はそのジェイコブ君の母親クリスティンさんです。自らの決断と行動力で、「今すべきこと」をジェイコブ君に与え、そのの才能を開花させていく姿は、まさにアメリカの母(?)という感じです。そのノウハウを同じ悩みを抱える自閉症の子供たちのために「ボランティア」というかたちでシェアしている姿も素晴らしい。

本書は自閉症という心の病を通じたストーリーになっていますが、もちろん健常な人にとってもクリスティンさんの取った方法、すなわちこども本人が興味をもった分野を惜しみなく伸ばしてあげる、というやり方は重要だと思います。人間あらゆる分野に精通するなんてことがそうそうあるわけではありません。むしろ、興味をもったらとことんのめり込むのが当たり前。特にこどもにとってはそうです。

なず、その片鱗に触れてみたければ「jacob barnett」をYoutubeで検索してみてください。とにかく驚愕の才能です。ジェイコブ君がこの先どうなるか、楽しみでなりません。

にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村

購入書店:電子書籍ストアBookLive!

紙の本はこちら。

2014-03-25

[][]『氷川清話 付勝海舟伝』0444

晩年の勝海舟=勝安芳伯爵新聞記者がインタビューしたものが本書です。

現代語訳されていて読みやすく、まるで明治の時代にタイムスリップして時事放談を聴いているようです。

内容的には『それからの海舟』で予習済みだったのですが、本人の言葉で語られる幕末明治のなんといきいきとしていることか。半藤氏のいう「ホラ話」がたぶんに含まれていると思って警戒しながら読んだのですが(笑)、そんな必要は全い面白い読み物でした。

反対勢力である薩摩長州の人々と交流し、フランスロシアイギリスと裏交渉し、徳川家存続のための工作を重ねている姿は、動乱の時代を知略で乗り切る政治家の姿そのものです。そして明治になってからも、表に裏にいろいろやっている。まさにフィクサーという感じです。本書は、そんな人物の晩年の言いたい放題の自慢話といえますね。

でも特筆しておきたいのは、勝海舟の立ち位地が常に人民のため何が最善かという点にあったということです。巻末に収録されている「勝海舟伝」でも海舟を「私」よりも「公」に依って行動した人物、と評しているように、それは幕末の行動から徳川主従の世話、そして日清戦争への批判へと繋がっています。勝海舟という人は、幕末明治という時代において相当の変わり者というか、近代人だったんだと思います。

それにしても気になるのは福沢諭吉との関係。咸臨丸で一緒に米国にいっているのに、その後は福沢先生は一貫して勝海舟を批判しています。勝海舟贔屓になりつつある塾員としては微妙なところです。

この辺りの事情をもっと知りたいと思いました。

購入書店:電子書籍ストアBookLive!

にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村

2014-03-23

[]『それからの海舟 (ちくま文庫)』0443

江戸っ子である著者による江戸っ子勝っぁん愛の1冊。

西軍嫌いの徳川贔屓の立場を鮮明にして幕末維新明治を語っています。

一般的には江戸城無血開城で歴史から退場してしまい、小説や時代劇で勝海舟が描かれるとどうしても脇役という感じになりますが、

なかなか波瀾万丈で主人公にしてもめっぽう面白いと思います。

本書は相当に偏った視点から描かれていますので、これを歴史と捉えるとどうかと思いますが、

革命で頭に血が上った時代において、勝海舟は国家統合や外交という視点にたって冷静に対処したことがわかります。

本書を読むと、海舟の「それから」は、徳川家のお守りみたいなものだったことがわかります。

徳川慶喜の助命都落ちから家臣八万人の静岡移住の実務を取り仕切り、その後は名誉回復に努めていきます。

それと同時に、再三明治政府から呼び出されて国事にも関わっていくことになりますが、本書では拒みながらも仕方がなくというスタンスで描かれています。

結局、海軍卿そして伯爵にまでなってしまうので本当に「拒みきれずに」なのかどうかは疑問ではありますね。本人の言ではそうかもしれませんが、そのあたりが福沢諭吉から批判されているのでしょう。

とにかく勝海舟という人物を知るにはとても面白い本でした。

次に読むのはもちろん『氷川清話』です。子母沢寛の『勝海舟』も読まなければいけませんね。

購入書店:電子書籍ストアBookLive!

電子書籍ストア BookLive!


にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村

2014-03-16

[]『ゴミ情報の海から宝石を見つけ出す これからのソーシャルメディア航海術』0442

ソーシャルメディアを中心としたメディアとの接し方についての津田マガのQ&Aコーナーをピックアップして書籍化したものだそうです。

メルマガをとっていないのでとても参考になりました。

ソーシャルメディアとの距離感に迷っている人にはとても役に立つノウハウが詰まっているので価値ある1冊といえると思います。

結局は情報の信頼性を確認するのは自分の知識や行動なので、本を読む、人に話を聞く、ここに集約されていくわけです。そのためのツールとしてもソーシャルメディアを活用すべし、ということでしょう。

それと、巻末のドワンゴ川上量生氏との対談。川上氏のキャラクターはいつも通りだけど、津田さんの政治への関わり方をしつこく聞いているのとてもよかった。ポリタスも面白かったし、その運営資金だとすればメルマガにお金を払ってもいいかな、と思えました。

購入書店:電子書籍ストアBookLive!

にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村

2014-03-09

[]『定本 黒部の山賊 アルプスの怪』0441


永らく入手困難だった山岳の名著が「定本」として再発売されました。いままで三俣小屋にいかないと入手できないと言われてきましたからね。ヤマケイGJです。

著者は三俣小屋や雲の平小屋のオーナー、そして「伊藤新道」でも有名な伊藤正一さん。

戦後すぐの時代に三俣小屋を購入してから60年山にかかわり、いまだにお元気でいられるようです。

本書が舞台とする黒部源流の山々は私も学生時代から一時毎年のように訪れていた思い出深い場所です。高い山と深い谷に隔てられた北アルプスの最深部に位置していて、その地に立つと本当に下界から離れた山の世界に来たんだなあと特別な気持になれる場所でした。

本書が描いているのは、その地で私が逍遙していた20数年前からさらに30年くらい前。山賊と呼ばれるような居付きの職猟師がいて、クマ、タヌキ、カモシカウサギなど獲って暮らし、そこここに化け物の影が蠢いていた時代です。伊藤さんの語るそんな人々や自然にワクワクしないわけがありません。ましてや自分も知っている場所が舞台なんですから。

黒部川の薬師沢出合を本書では「カベッケヶ原」と読んで、化け物の出る場所。そして遭難者が「呼ばれる場所」と言っています。解説で高桑さんも書いていますが、私も「カベッケヶ原」は河原ではなくてもう一つ上の台地だと思っていました。このあたりの話、河童や化け物がリアルに息づいていた時代が、じつはそう遠い昔の話ではなく書かれている、のも本書の魅力の一つになっていると思います。

こんな素晴らしい本が何十年も一部の人にしか読まれていなかったとは、なんてもったいない!こうしてメジャー刊行されたからには一人でも多く読んで欲しいと思います。

購入書店:書泉ブックタワー

にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村

2014-03-02

[]『ジェフ・ベゾス 果てなき野望 アマゾンを創った無敵の奇才経営者』0440

Amazonのタコ社長じゃなかった、カリスマCEOであるジェフ・ベゾスの評伝。

ヘッジファンドから独立して、

自転車操業のような黎明期からあっというまに世界市場を席捲して行くスピード感は圧巻です。

米国のIT起業家としてのし上がっていく様は、スティーブ・ジョブズビル・ゲイツと同じような才気を感じます。

そして当然ながら急成長する企業にありがちなブラックぶりも本書は余すところなく描いています。

とにかく必要に迫られて事業を拡大し、買収し、人材を引き抜いていきますが、

ベゾスの強烈な個性についていければよし、ついて行けないものは自ら去り、無能と見なされたものは情け容赦なく切り捨てる。

同じように成長していくライバルであるGoogleに対して人材流出がとまらない、というのもわかるような気がします。

ワークライフバランスは禁句....面接で言おうものならサヨウナラだそうです。

とりあえず、働きたくない企業No.1決定ですね!

市場を取りに行くときのライバル企業への攻撃もタブーなき焦土作戦のオンパレード。

法律の抜け穴を探して他社を出し抜く奇策を多用している感じです。法務部門は大変そうですね。

私のいる職場もAmazonとはガチで競合しているので.......いろいろ参考になります(笑)

全体として、ジョブズの評伝を読む時のようなワクワク感がないのはなぜなんだろうと考えたんですが、

やっぱりAppleが生み出す新しいモノやサービスには夢やヴィジョンがあるのに対して、

Amazonはやはり小売り業なので、拡大することが至上命題になっているから、なんでしょうかね。

ご同業の楽天とおなじ匂いを感じてしまいます。実体としてAppleも相当黒いので印象だけかもしれませんけど。

ともあれ、謎の存在だったベゾス氏についていろいろわかってよかったです。

にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村

購入書店:電子書籍ストアBookLive!

2014-02-25

[]『ロングトレイルを歩く 自然がぼくの学校だった』0439

2013年5月に亡くなった、日本のトレッキングの父ともいえる加藤さんの小品。実質的にこれが遺作になるのでしょうか?

加藤さんはジョン・ミューアを日本に紹介し、ジョン・ミューア・トレイルやアパラチアン・トレイルを実際に踏破し、そして日本でも信越トレイルなど魅力的なロングトレイルの整備に力を注いだ偉大な人。本書はALSで起きることもできなくなるなかでまとめられたそうです。最後のメッセージとでも呼べるような、とてもやさしい語り口が印象的です。

実は私も加藤さんの本を読むのは本書が初めてです。ウィッシュリストには沢山登録してあるんですが、やっと読んだのが逝去されたあとになったのは残念です。

もう新しい本が書かれることはありませんが、加藤さんの残したトレイルは受け継がれていきます。

本書を入口にして、多くの若い人たちが加藤さんの多くの著作に触れて、そして実際にトレイルに出ていくようになればいいですね。

にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村

購入書店:電子書籍ストアBookLive!

2014-01-28

[]『暗号解読』0438


かなり前に『フェルマーの最終定理』を読んで著者の作品の面白さには触れていましたので、本書も読むのを楽しみにしていました。できれば電子書籍で読みたいと思って、長い間電子化を待っていましたがなかなか出ず、ついに我慢しきれず紙の本で読みました。

暗号」という秘密を扱う技術についての、歴史と人間のドラマと言ったらいいのでしょうか?

とにかく暗号は、戦争や陰謀に直接関わり、しかもその裏側で蠢く権謀術数という後ろ暗い部分に結びついているので、その歴史を記述することは歴史の裏表を描くことでもあります。

本書はスコットランド女王メアリーの最期に関わる暗号、ルイ14世の大暗号鉄仮面など血なまぐさい歴史のドラマから始まって、ヴィジュネル暗号VSチャールズ・バベッジドイツエニグマ解読を巡るアラン・チューリングの物語、と進んでいきます。

古代から現代に至るまで、秘密の通信を行うための暗号は、常に秘密を解き明かそうとする暗号解読者によって破られてきました。上記のようなエピソードで「読ませ」ながら、その暗号アルゴリズムを判り易く解説し、そして解読者がどんなひらめきから「解読不能」とされてきた暗号を解き明かしてきたのかがドラマチックに描かれています。

後半は、第2次世界大戦中にアメリカが使用したナヴァホ暗号から始まり、ロゼッタストーン線文字Bなどの古代言語が暗号解読と同じテクニックで解読されたエピソードを経て、DESRSAPGPといった現代の暗号に話は進んでいきます。ここまでくると暗号は完全に数学の世界になって、解説を読んでもどこまでわかっているんだかわからない状態です。エピソードも解読よりも作成者にスポットが当たっていきます。

現代の暗号は、鍵の受け渡し問題を解決した公開鍵ー秘密鍵システムになっていますが、いままで知ったつもりでいたことが、本書でその「発見」の過程を読むことで初めて正しく理解できたように思います!

それにしてもこのサイモン・シン著、青木薫訳という組み合わせは最強ですね。本当にクオリティが高い。もっと読みたいです。

訳者あとがきで、青木さんがオリジナルに掲載されていた懸賞暗号を解読チームを作って解いている過程まで載っていて、グリコのおまけ状態の面白さになっていますね。

購入書店:有燐堂アキバヨドバシ

にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村

2014-01-07

[][]『雪崩リスク軽減の手引き―山岳ユーザーのための』0437


雪山で遊ぶ人なら誰でも知っておくべき雪崩に関する最低限の知識を、簡潔に判り易くまとめた素晴らしい本だと思います。

リスクとハザードの違い、雪崩のメカニズム、雪崩の要素としての地形、積雪、気象、行動を中心に、捜索や救助にも触れています。個々のテーマに関してはより詳しい本もありますが、全体が見渡し易くて概念を理解しやすいので、とにかく入門編としては最適です。ここを出発点にしてさらに知識を深めていけばよいのではないでしょうか?

もちろん雪山のリスクは雪崩ばかりではありません。本書を読んだだけでOKとならないのは当然です。でも本書にもあるように、経験に頼らないデータに基づく気象判断と積雪評価が場合によっては生死をわけることになるので、この分野への投資は足りるということはありません。一家に一冊、マストです。

購入書店:三省堂書店神保町本店

にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村