「何が知性だ!」の人について

Go! Fight!

 メリー・クリスマスです、皆さん。キリストのおっちゃんのためにワインを呑みましょう。パンはおっちゃんの肉です。赤ワインはおっちゃんの血です。ちなみに白ワインはおっちゃんのションベンです。そんなものを呑ませるなんて罪なおっちゃんですね。うちは仏教なので肉も血も小便も勘弁です。その代わり寿司ですよ。ボーナスを食い尽くすべく涎を垂らして待っている弟たちが怖い。回る寿司でよかった。回らなければえらいこっちゃでした。回転のパワーは無限大です。ところが500円の皿が回っていたりするから大変だ。姉さん大変です。いや姉さんはいないが。僕が一番上、そうなんです、長男です。
 で、色鮮やかな皿を載せて回るベルトを脇目に弟たちとキン肉マンの話をしたんですが、意外にも弟たち、キン肉族に伝わる三大奥義のことは知らなかった。
 マッスルスパークも、マッスルインフェルノも、マッスルリベンジャーも知らないという。ちょっとショッキングなできごとでした。でも、そうだよなー、世代じゃないしなー。て、僕も世代じゃないですけどね。(キン肉マン世代というといつの人を指すんだろうか。MUSCLEの綴りをアニメのオープニング曲の歌詞で覚えた受験生なんかが直撃世代ということになるのだろうか)
 
 ということで、今回はキン肉マンの話です。クリスマス関係なくてすみません。ブログ更新していないことで鬱憤が堪ってるんです。語れることはなんでも語りたい気分です。
 

三大奥義

 キン肉マンには数々の必殺技が登場します。もっとも代表的なのはキン肉バスターです。様々なキン肉バスター破りや改良型が登場しました。続編の『キン肉マンⅡ世』は実は今も連載中で、キン肉バスターの改良版であるアルティメットスカーバスターや、キン肉バスターの進化版であるマッスルグラビティが登場してアツくなっております。で、二世の方でも三大奥義に話が及んだので、回転寿司の席で話題に持ち上げたのですが、いやはや、弟たちの反応の悪さと来たら! 王位争奪戦のことは知っていても三大奥義についてはポカーンとされる始末です。
 
 王位争奪戦というのは、『キン肉マン』の長いお話の中でも最後に繰り広げられるパートです。キン肉マンことキン肉スグルはキン肉星の王子なのですが、赤子の頃に病院で取り違えられたのではないかという疑惑が持ち上がるのです。そこで、誰が王位を継ぐかはリングの上で決める、という流れになります。その中で、正当な王位継承者であればキン肉族三大奥義が使えるはず、という話も出てきます。
 
 この三大奥義は「フィニッシュホールドの壁画」として遺されています。しかもこの壁画、間違った技のかけ方をしたものに罰を与える(壁画から光線が飛び出し、これに撃たれる)なんてことまでする。キン肉真弓いわく「ご先祖様の霊気パワーが罰を与えたのじゃ!」

 キン肉マンマリポーサは間違ったマッスルリベンジャーを披露してしまい、壁画からの制裁を受けました。彼は壁画にある通り、空中から上下逆さとなって頭突きをかましたのですが、下から上へ頭突きで敵を浮かせるのが正解。その後、壁画には記されていない固め方で敵の頭部をコーナーポストに叩き付けるところまでやって、はじめて完全なマッスルリベンジャーとなります。キン肉マンフェニックスがこれを多用しました。
 キン肉マンゼブラは敵をサーフボードに見立てたかのような技、マッスルインフェルノを使います。また、決勝戦ではキン肉マンフェニックスも同じ技を使いました。
 キン肉マン(スグル)とキン肉マンソルジャーはそれぞれ、マッスルスパークを突き詰めていきます。キン肉マンが技の入り方の部分を、ソルジャーが残り半分を披露し、最後にはキン肉マンが完全なマッスルスパークを体現してみせます。
 
 ……はて、誰かもう一人、いたような、いなかったような……。
 

ビックボディ

 そうでした、王位をかけて争った次期王子候補は全員で五人。あと一人紹介するのを忘れていました。
 「強力チーム」率いるキン肉マンビックボディです。「強力」は「ごうりき」と読みます。「きょうりょく」ではありません。マッチョなキャラが盛りだくさんのこの漫画において、更にマッスルを極めんとするチーム。それが強力チームです。
 どんなバトル漫画にも噛ませ犬はいるものです。強力チームは噛ませ犬として立派という言葉では足りないぐらいの偉業を成し遂げました。噛ませ犬ファンの僕としては愛おしくて仕方がないキャラクターです。(しばしばその存在を忘れがちですが)
 強力チームは知性チームのマンモスマンに四人抜きされる雑魚っぷりをアピールします。もちろん、本当は、多分、マンモスマンが強すぎて手に負えないからなのであって、彼らが弱すぎるわけではないと思うのですが……。マンモスマンは四人目とわざと引き分けて最後をキン肉マンフェニックスに譲ります。ビックボディはフェニックスの必殺技のお披露目として消費されるだけの運命を辿りました。アーメン。
 
 そんな雑魚キャラですが、そうであるがゆえにかえって熱狂的な愛を受けることもあります。三大奥義の一つも披露することなく散っていった彼が、もし三大奥義を使ったならどんなふうに極めたのだろう。そんな夢が膨らむじゃありませんか。そんな夢を実現したのが、Webで公開されているフリーの格闘ゲーム『マッスル ファイト』です。
 
 『マッスル ファイト』では『キン肉マン』に登場した超人たちがほとんどすべて登場します。原作やアニメの再現度が半端ではありません。そして遊び心がふんだんに織り込まれています。これが無料で遊べるという事実には、思わず「げぇーっ!」と驚いてしまいますね。
 
 このゲームにはビックボディも参戦しています。彼に理解のある有志は、彼に三大奥義を授けました。しかも三大奥義のうち、マッスルリベンジャーとマッスルインフェルノの二つも有しているというから驚きです。
 それでは早速、ゲームの画像で彼の勇姿を見ていきましょう。
 
 

▲これがマッスルインフェルノ!……か?
 「空中で相手を足蹴にし、重心を芸術的テクニックにより巧みに操ることで自由を奪い、相手を頭から壁に叩き付ける」のがマッスルインフェルノなのですが……もう、なにがなんだか。
 
 

▲これがビックボディ版 マッスルリベンジャー!……なのか?

 仏教徒で日本語圏に生きる僕が思わずジーザスと呟いてしまう破壊力。
 マリポーサと違ってご先祖様の罰を受けないのは、そもそも別次元の技だからなのか。
 
 


▲これがパワー120% ビックボディ版 マッスルリベンジャー!……なのか?

 「ショルダータックルや頭突きで相手を空中に浮かせ、自由を奪うところから入る」のがマッスルリベンジャーなのですが、パワーで強引にキャッチし、どうやっているのか分かりませんが天井に張り付いて天地真逆のリベンジャー。頭突きで敵をキャンパスに叩き付け、天井まで跳ね返ってきたところに更に頭突き。仕上げはマッスルスパークとリベンジャーを混ぜ合わせたようなホールド。
 ご先祖様の判定は割れに割れ、これはこれでアリということになったんだろう。壁画からビームはでませんでした。
 
 動画で見たい方はこちらでどうぞ。 → http://www.nicovideo.jp/watch/sm96322
 

何が知性だ!

 「生物の板垣 科学のゆで」という言葉がある。
 バトル漫画はその鼻先を空想科学に向けている。これを心の底から楽しむためには、ビックボディのように頭を空っぽにすることが必要なのかもしれない。
 さあ皆さん、彼の決めぜりふを一緒に叫びましょう。
「何が知性だ!」
 
 ところで僕の財布も空っぽです。
 何がボーナスだ。