非不胎化介入と市場の予想

JBpressにバジョット氏が終点の見えない「量的緩和」時代の幕開け効果無き「非不胎化」を政治的に受け入れた日銀という記事を書いている。
その中で「非不胎化」に円高阻止の力はないと書いている。

非不胎化」に円高阻止の力はない

円高は阻止できるのか?
 「非不胎化」の方法について説明しよう。外為市場での円売りドル買い介入は、2営業日後に決済期日を迎える。15日の介入の決済日は17日だった。当座預金残高は16日まで概ね15兆円強で推移し、介入分の1兆8000億円が上乗せされた結果、17日には17兆1300億円となった。

 日銀が当座預金残高は15兆円で十分だと判断しているのであれば、介入分はオペによって吸収することになる。実際、インタバンク市場はすでに資金がジャブジャブだった。しかし、日銀は資金吸収を行わず、介入資金があふれ出るにまかせた。これが「非不胎化」の実態である。

 日銀は介入資金を放置することが円高抑止に効果があると考えているわけではない。介入資金の出所は「外国為替資金特別会計」(外為特会)の財政資金だが、そもそもお金に色は付いていないので、公共事業の支払いなど他の財政資金と区別することはできないし、する意味もない。

 ちなみに、21日の当座預金残高は国債の償還金を主因として前週末比2兆2600億円増の19兆3900億円まで積み上がった。しかし、市場では、誰ひとり「円高阻止効果がある」とも言わないし、「非不胎化が進展した」とも発言していない。介入資金の放置のみが為替相場に影響があると考えるのは合理的ではない。

これには間違いが数多くある。
まず先日も引用したとおり、白川総裁は「金融政策の変化は為替に影響を与える」と著書で述べている。
日銀は金融政策の変化=介入資金を放置し、当座預金残高を増やすことは為替に影響を与えると考えている。



また、国債の償還が主因で当座預金残高が増えたから円高阻止になるのかというのは根本から間違っている。
介入資金の額は市場の予想と当座預金残高の乖離した額から推定する。


ロイター通信の記事によれば

東京短資など民間短資会社3社が予想する余剰額4000億─5000億円と比べて1.8兆円ほど多く

(http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-17268720100916)


国債の償還金というのはパジェット氏が主因として判断しているように市場は金額がわかり織り込んでいる。
こうして市場に織り込まれていなかった介入資金の増加額がサプライズとして円安圧力になっているのである。


岩本氏もパジェット氏もあまりにも現代ファイナンス理論から離れているようだ。
それか市場は間違っているという先入観があるのだろう。市場が間違っているというならばいくらでも裁定取引で儲けていただきたい。