Kindle考察。ブレークスルーをもたらす表と裏の抱き合わせ


先日、アマゾンからリリースされたばかりのKindleについてあれこれ思いつくまま書いてみたが、その続き。


とかくiPodと比較されがちなKindleだが、音楽と書籍におけるコンテンツの特性や、文化・歴史の違いを引き合いに出して、Kindleが成功するのは厳しいというコメントの方が多勢だと感じる。


iPod以前は、レコードからテープにダウンロードした音源をウォークマンで聴くというスタイルが、ソニーというメーカーを主に展開され、若者を中心に文化形成された。ディバイスがメディアの取り扱いをテープ、ミニディスク、メモリーと変えていっても、ディバイスにつながるイヤホンから音源を聴きくというスタイル自体はそれ程変化することなく、定着したところにスタイリッシュなデザインのiPodが登場し、市場は迎え入れた。


Kindleは状況が違う。だから、「Kindleかーんー??」となるのも頷ける。

既にAmazon上で購入済みの書籍については、Kindle向けのデジタル・コンテンツも無償提供されるくらいの気前の良さが欲しい。

Amazon KindleはiPODになれるのか? - Casual Thoughts


そうそう、せめて、ね。5冊とか制限設けてもいいんで、過去のお気に入りを選択させてもらったら反応は違うだろうね。期待したいなぁ。


しかし…

著作権侵害を気にしないのであれば、ネットから無料のebookファイルを入手するのは無料の音楽ファイルを入手するのと同じくらい簡単だ。ネットには合法的にダウンロードできる著作権切れの本が大量に置いてある。しかしベストセラーを含む何万冊という新刊書も音楽や映画と同様、 BitTorrentその他からすぐに手に入るのだ。

しかも、こういう本を新しいAmazon Kindleに読み込むのはまるで簡単である。

TechCrunch Japanese アーカイブ » Kindleにオンラインから海賊版の本を読み込むのはまるで簡単



ソフトウェアや音楽ファイル同様、書籍のデジタル版にも海賊版という問題児はつきまとうようだ。
が、

Kindleは最初のiPodにも比較できるようなブレークスルーをもたらすデバイスだ。iPodがMP3プレイヤーを普及させたように、Kindleはebookをマス市場にもたらすに違いない。

Kindle普及の追い風となるのは海賊版の流通か(笑)。


インターネットとアダルトサイト、iPodNapster、PCと海賊版と同様のパターンで、表と裏の抱き合わせにより電子ブック市場が開拓されるのならば、勿論解決しなければならない問題はいっぱい出てくるだろうけど、ちょっとばかりKindleとその周辺ビジネスや教育にとっての未来にも期待できる、かな。


…ただ…

ユーザーはこうした行為をやってもいいのか? 答えはノーだ。しかし、ではユーザーはこういう行為をやるだろうか、と尋ねれば、われわれはもちろんその答えも知っているわけだ。


このブログはKindle普及の為に、不正行為を推奨しているわけではありません(当たり前)。


Kindleを色々な視点で見る。問題点や期待するところ、周辺を気にしてみる。
そして自分や社会や教育にどう影響するか考えてみる。
ポジティブに受け止め、考えられるか。僕たちユーザも試されるところだね。