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keitakondoの日記

2008-02-16

スティーヴン・キング著『小説作法』(アーティストハウス社刊)より

23:21

個人的にこの本は非常に参考になると思っております。ぜひ、ご一読をお勧めします。

少々長くなりますが、皆さんにとって有益になるであろうと感じる部分を以下抜粋させていただきます。

「小説に関する限り、構想の出所となるアイディア集積所も、ストーリー交換局も、埋もれたベストセラーの島もない。これは行ける。という知恵は、ある天気晴朗な日に、何の前触れもなく空から降って湧くものだと思っておけば間違いない。およそかけ離れた別々の発想が寄り集まってこと新しく陽に映える。 作家の努めはそうした発想を探り出すことではなく、目の前に浮かんだ時、それと認めることである。」

「おおざっぱな説明で用が足りるのは、そこに取り上げられた対象について、お互いに共通の認識と同一の尺度を持っている場合だけである」

「動機は何でも構わないが、ただ、軽い気持ちで書くことだけは止めてもらいたい」

「文章の主体は語彙である。語彙に関しては遠慮無く手当たり次第に掻き集めて、何を恥じることもない。」

「文章を書く上で心して避けなくてはならないのは、語彙の乏しさを恥じて、やたらに言葉を飾る事である」

「語彙に関しては、適切で生きがいいと思える限り、真っ先に浮かんだ言葉を使うという鉄則を忘れてはならない」

「言葉は意図を近似的に表示するものでしかない。多くの場合、どう頑張っても文章ではすべてを尽くせない。だとしたら、本当に使いたい言葉の遠縁にすぎない別の単語を選んで文章を駄目にする必要がどこにあるだろうか」

「文法を疎かにすると、混乱を招き、誤解を生む」

「文法の基礎を理解すれば、その本質は実に他愛もないほど単純である。文章に必要なのは、事物の名を示す単語−名詞と、事物の動作、作用、存在、状態を表す単語−動詞でしかない」

「受け身ばかりの文章は、非力で、回りくどく、往々にして陰湿である」

「書き手は常に読者を第一に考えなければならない。馴染みの読者がいなかったら、作者は虚空に吠えているのと同じである」

「副詞は頼れる味方ではない」

「会話の限定詞に副詞を用いるのは、よほどのことがあって、ここぞ、という場面でなくてはならない。それとても、なろうことなら避けるべきである」

「悪文のほとんどは不安に根を発している」

「文章の極意は、不安と気取りを捨てる事である」

「巧みに刈り込んだ断片的な語句はいくつも重ねることができて……加えて、文体を引き締め、心象を鮮明にして作品にめりはりをつける効果がある。」

「堅苦しい文章ばかりが続くと、全体がしゃちほこばって軽みに乏しくなる」

「言葉はいつもいつもネクタイに紐靴の正装である必要はない。小説の役割は文法の手本を示すことではなく、物語を伝えて読者に喜んでもらうことである」

「感性はまた、作家が書くことに膨大な時間を費やし、それに倍する時間をかけて人の作品を読んだ結果である」

「ひたむきに書く信念がなかったら上達の見込みはない」

「作家を志すならば、何を措いても怠ってはならないことが二つある。よく読み。よく書くことである。私の知る限り、この二つを避けて通る近道はない。」

「読めば何かしら学ぶところがある。概して優れた作品よりも、出来の悪い作品に教えられることが多い」

「大方の物書きは、生まれてはじめて『これだったら自分にも書ける。そうだとも。もっといいものを書いてみせる』と思って巻を閉じた作品を憶えている。作家を目指して頑張っている無名の新人にとって、すでに売れている作家よりもいい作品が書ける絶対の自信以上に力強い励ましがあるだろうか?」

「何よりもまず、下手な作品は『してはならないこと』を教えてくれる」

「優れた作品は駆け出しの新人に、文体、話術の格調、構成、人物造形、迫真の描写を教える」

「文章に風格のある優れた作品に圧倒され、打ちのめされる体験は、すべての作家が一度は潜らなくてはならない試練と言える。その体験を経ずして、自分の作品が人を圧倒する望みはない」

「読書体験を重ねることで、凡庸な作品や、話にもならない愚作を見る目が養われる。自分の作品に質を落とす夾雑物が忍び込めば、いちはやくそれと気づき、やがては、はじめから失点を避けることができるようになるはずである」

「読書体験は評価の定まった作品に照らして自分の書いたものがどの水準にあるか、自己採点の尺度を確立し、可能性を探るよすがでもある。いろいろと新しい文体を試みるためにも、幅広く読むに越したことはない」

「感動した作品の影響で、その文体に染まることは一向に構わない」

「模倣の寄せ集めは自分の文体を作るために欠くことのできない過程だが、無勝手流でどうにかなるものではない。数多く読んで、絶えず自分の作品に手を加える努力が独自の文体を生むのである」

「読むことは、作家の創作活動の柱である」

「作家志望者にテレビはいらない……(テレビを見たいようなら)、自分は本当に作家を目指しているかどうか、よく胸に手を置いて考えた方がいい。今は思索と想像の人生に向けて沈潜すべき時である。……本を読むには時間がいる。ガラスのおしゃぶりは時間を取りすぎる」

「束の間のテレビ飢餓から抜け出すと、読書の歓びを実感するようになる。際限もなくしゃべりまくる四角い箱の電源を切れば人生は充実し、同時に、文章の質も高まることは請け合いである」

「楽しくなければ何をやっても無駄である。ほかにもっとふさわしい才能があって、その分、歓びも大きい世界に目を向けるに如くはない」

「才能は練習の概念を骨抜きにする。何事であれ、自分に才能があるとすれば、人は指先に血が滲み、目の球が抜け落ちそうになるまでそのことにのめりこむはずである」

「読むことの大きな意味は、それによって書く事に馴染み、呼吸を会得する点にある」

「弛まぬ読書は、自意識を忘れて書くことに没頭できる場所へ人を誘い込む」

「読むことは、飽くなき知識の進化に繋がる。先人が何をしてきたか、まだ誰も手をつけていないことは何か。何が陳腐で、何が新鮮か。ページの上で何が働き、何が効果を失って埋伏するか。こうしたことを判断する力はすべて読むことによって養われる。読めば読むほど、ペンやワープロでぶざまな失敗を犯す危険は遠退く道理である」

「書きたいことを書けばいい。何だろうと構わない。偽りでない限りはだ」

「構想を練ることと、作品の流れを自然に任せることはとうてい両立しない」

「構想は優れた作家にとって無用の長物であり、無能な作家が真っ先に頼る常套手段である。構想に寄りかかった作品は、いかにも不自然で重ったるい」

(注)上記の二つのコメントは所謂「プロット」の必要性を否定する考え方につながってくると思います。「なるほど」と思う反面、初心者に取っては「諸刃の剣」になるのではないかという思いも私の中で強くあります。

「文章は飽くまでも血の滲む様な一語一語の積み重ねである。書き手が自分の知っていることを粗末に扱い、心を偽れば、世界は描くそばから崩壊する」

「描写に工夫を凝らして読者の想像を掻き立てる事こそが作家の心得である」

「散漫な描写はピンぼけの写真と同じで、読者に戸惑いを与える。過剰な描写は大きなお世話で読者を辟易させる」

「登場人物の身体特徴や服装をくどくどと描くのは感心できない」

「描写は作者の想像に発して読者の印象に帰結すべきものである」

「読者が物語の世界を実感するためには、登場人物の身体特徴よりも、舞台となっている場所や、そこに漂う空気を伝えることの方がずっと大切である」

「舞台設定や状況描写に凝り出すと、盛りだくさんの料理に目移りするのと同じで、かえって印象が希薄になってしまう」

「巧みな描写は、繊鋭な視覚と明快な表現を必要条件とする。平明な語彙で鮮烈な映像を喚起するのが優れた描写である」

「作家を志すならひたすら訓練に励むしかない。自分の目に映っている事を語り、絶えず話を先へ進める努力を怠ってはならない」

「登場人物が上品な口をきくか、下世話に物を言うかは作品の価値におよそかかわりのないことである。何が重要かといえば、文中の言葉が読者の耳に生きた自然の響きを伝えるかどうかの一点であって、そのために作者は自身の口で語らなくてはならない。それ以上に大切なのは、作者は口を閉じて人の話に耳を傾けることである」

「優れた作品は常に、事件ではなく人物が話を締めくくる。つまり、情況の展開を担うのは飽くまでも人物である」

「文章を磨くには実践のほかに近道はなく、正直に徹する以外に処方はない」

「小説は、短編、長編の別なく、作者自身がこれなら大丈夫、読むに値する、と納得しない限り仕事場から持ち出すべきではない」

「書くもの書くものがすべて読者から支持されることはあり得ないし、常に相当数の読者を獲得するのもなまなかではない。作者はせめて時たま、一部の読者に喜ばれるものを書く心がけが肝要だ」

「愛着があっても、駄目なものは駄目と割り切らなくてはいけない」

「疑問や主題の論議から小説を書き起こすのは本末転倒である。優れた小説は必ず、物語からはじまって主題に辿り着く。主題にはじまって物語に行き着く事はほとんどない」

「ひとまず原稿が仕上がったら、作者はそこで何を語ろうとしたのかじっくり考え、その結論に基づいて再稿を煮詰めなくてはならない。これを怠れば、署名に代わる作者の個性は失われ、ひいては読者から見放される」

yuralyyuraly 2008/02/23 00:12 初めまして、自称ゆうらりと申します。
平野啓一郎さん経由で参りました。

スティーブンキングのこの本、買ってみようと思います。
ずいぶん抜書きしてくださってありがとうございます。
私も趣味というか、小説を、書くために書いていますので、
共感したり、耳が痛かったりという感じです。

みんな肝に銘じようと思うものばかりですが、
特に共感を覚えたものを以下にコピペしてみました。

ある天気晴朗な日に、何の前触れもなく空から降って湧くものだと思っておけば間違いない
小説の役割は文法の手本を示すことではなく、物語を伝えて読者に喜んでもらうことである
楽しくなければ何をやっても無駄である。ほかにもっとふさわしい才能があって、その分、歓びも大きい世界に目を向けるに如くはない
書くもの書くものがすべて読者から支持されることはあり得ないし、常に相当数の読者を獲得するのもなまなかではない。作者はせめて時たま、一部の読者に喜ばれるものを書く心がけが肝要だ
優れた小説は必ず、物語からはじまって主題に辿り着く。主題にはじまって物語に行き着く事はほとんどない

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