トマトちゃんフォーエヴァー


まだ状況も心情も整理できてないのでここに書いていいものか相当悩んだのですが、ことが公になることで僕の知らないひとたちにも訃報が届くかもしれないと考え、敢えて書き込みをします。

フロッグマンを初期から知ってるひとや、92〜3年の東京のパーティーに入り浸っていたひとならVJとして特に印象に残っているであろう、野澤現氏が突然亡くなったのです。僕も最近は全然連絡を取らなくなっていましたし、近況を知る術もなかったのですが「知らせのないのはいい報せ」ぐらいに思っていたところもあり、非常に残念でなりません。一時、渋谷のSECO BARでU.S.B.のパーティーをやっていたころは、よく遊びに来てくれたりして元気そうだったのでその後もきっと違うジャンルで頑張っているのだろうななどと勝手に想像していました。

野澤現ちゃんと知りあったのは、六本木で行われた<Key-Energy>のロビーだったような記憶があり、未だにつかず離れず縁が続いているほとんどの古株クラブ系知人・友人たち同様、当時何かに取り憑かれたように毎週末約束せずともどこかのフロアの暗闇で会って遊び狂っていたことは忘れられない思い出です。
当時彼は、既に人気番組になっていた『ウゴウゴルーガ』のCGスタッフとして活躍していて、やはり番組のスタッフだった田中秀幸さん(フレイムグラフィックス)や秋元きつねさんらと共に、将来を嘱望されたCGアーティストでした。僕はこどもむけの雑誌の編集をしていて『ウゴウゴルーガ』の番組制作現場を取材していたり、特集記事を書いたりしていたので奇妙な縁に驚くと共に、まだまだ敷居の高い世界だったCGをチープで笑えて愛くるしいキャラクターでぐっと身近なものにしてくれた番組の内側にいた彼を、素直に「すげぇ」という尊敬の目で見ていたものでした。

今でも多くのひとに愛されている涙もろいトマトちゃんという『ウゴウゴ』のキャラは、彼のデザインによるものです。今、少し調べてみたところ、番組はこの4月から再放送が始まっていて、十年以上のときを経て再び盛り上がっているようです。彼は、僕なんかは望んでも絶対手の届かないような才を持っていたのは確かだし、精神的に弱い部分があったり、特定のことに非常にこだわりを持っていたりして、とてもアーティスティックな部分が強いひとでした。そういう意味では創作にしか生きられないようなキャラだったのかもしれないし、トマトちゃんなどの自分がかかわった仕事にはとても誇りを持っていたように思います。

その後、(セールスなどの結果はパッとしないものでしたが)PSのゲーム『エンエンエンジェル』というのを彼のゲームデザインで作ったりもして、クラブ周りだけでなくつきあいが続いていた時期もあっただけに、こうして数年間再び顔をあわせることもないまま突然いなくなってしまったことを知らされると、とてもショックだし、今ならもしかしたらもっとこういうことができたかもとか、不可能なことを考えてしまいます。

もしまた書けることが(気持ち的にも情報的にも)増えてきたら、追記します。

R.I.P. 現ちゃん

追記

久々に野田さんとメールのやりとりしていて、『Remix Trax Vol.7 Cosmic Soul』のジャケットを現ちゃんがやっていたんじゃなかったっけという記憶が蘇る。
当然のごとく廃盤なんですが、結局「Hi-Tech Jazz」は例のGalaxy2Galaxyのコンピでもエディット版しか収録されていなかったし、未だ貴重な音源であることにはかわりないんだよね。どのくらい持っているひとがいるかわからないけど、哀悼の意をこめて聴き直してあげたりするといいかなと。僕は一生懸命探したんだけど家には盤がなかった。編集者とかに貸したまま、戻ってきてないのかなぁ…。会社にあるかもしれないから、探してみよう。

−と、野田さん本人から「え?」というメールが。勘違いとは思えないんだけども。本人とその話をした記憶があるんだけどなぁ…。