プライベートとパブリック

建物の機能にはプライベートとパブリックの色分けがあります。寝室や居間はプライベート、駅や広場などはパブリック。実際の建築物を設計するとき、この色分けは部屋のレイアウトや動線計画などに大きく影響します。ここでプライベートとパブリックという分類方法ついて2つ考えてみましょう。
まずは、プライベートとパブリックという空間の性質が、現実に使用されている部屋ではどのように色分けされているかです。例えば、居間についてみてみると、家族にとってはプライベートな空間ですが、客が来て歓談したり、セールスの話をしたりすることもあるでしょうからパブリックな要素も少しはある。つまり、居間の空間の性質は100%プライベートではないことが分かります。「80%プライベート 20%パブリック」のように割合で表現した方が現実に近いでしょう。そしてここからが重要ですが、この割合は使用する人によって、あるは時間帯によって、季節によって変わってきますね。プライベートの度合いが増減することをプランニングに反映できるかどうかは、完成した建築物を有効に使い続けられるかどうかに影響します。

話は変わって、日本人が持っているプライベートとパブリックに対する独特の感性について考えてみましょう。これは日本人の美徳です。例えば玄関の敷居に対して、日本人は特別の注意を払います。「敷居が高い」という言い方があるように、伝統的な遠慮感のようなものを感じ取りますね。敷居に対して、ここから奥はプライベートなので他人は立ち入らないでください、という暗黙の了解を日本人は共有しています。あるいは扉やドアの開き方などに微妙なニュアンスを感じとり、たとえ開いていても家人の許可なく中へ入るのを遠慮したりする感性も持ち合わせています。また日本住宅ではふすまや障子などの建具が薄く開放的なので、「見えても見えないことにする。聞こえても聞こえなかったことにする」というような微妙なマナーを心得ているのも特徴的です。日本人はプライベートとパブリックに対して非常にデリケートな感性を持っているのです。

private and public

In general a bedroom or kitchen might be categorized as private space and a train station or park be done as public space. This difference is quite basic but very important for planning an architecture. Anyway it must be rooted deeply in western society. When actual spaces are checked in the aspect of private-public distinction, it's difficult to judge clearly. Usually the difference between private and public could be determined as not alternative matter but possible attribution.