中国の共産党幹部らが不正な闇資金を香港で洗浄し、英領バージンン諸島を中継地点に活用して世界に投資してきた金額は具体的に1兆800億ドル。邦貨換算で110兆円

・米国の新税法FATCAは、テロ対策の一環である。
・数年の間に多くの富裕層の口座はスイスから逃げた。規制の緩いタックスヘブンや、リヒテンシュタインのようなオフショア市場、ドバイの金融市場など若干の抜け道もあった。  
・中国の富裕層は英国領バージン諸島を中継地点として活用した。
・ワシントンにある「グローバル・ファイナンシャル・インテグリティ」(GFI)が銀行間の資金の移動をモニターしてデータを掌握した。
・世界の闇資金、不正蓄財の多くの実態が具体的な金額とともに判明したのだ。
・第一にロシアの新興財閥が海外へ不正に送金し蓄財してきた概要を掴んだ。 プーチンの側近十数名の在米資産の凍結であり、しずかなブローとなった。
・第二に北朝鮮は、十年前にマカオの口座が凍結されて干上がったように、核武装の代償は独裁者の秘密資金の凍結と逼迫、もはや北朝鮮は日本の要求をのまざるを得ない立場へと追い込まれた。
・第三が中国。中国の共産党幹部らが不正な闇資金を香港で洗浄し、英領バージンン諸島を中継地点に活用して世界に投資してきた金額は具体的に1兆800億ドル。邦貨換算で110兆円、日本の国家予算より多い。
・中央規律委員会は具体的証拠を持っているから、劉志軍、薄煕来、蒋潔ち、周永康徐才厚らが失脚へと繋がった。
・米国の新税法FATCA「外国口座税務コンプライアンス」(THE FOREIGN ACCOUNT TAX COMPLIANCE ACT)とは何か。
 主眼は外国銀行、証券会社、ならびに保険会社にアメリカ人顧客の情報開示を義務づけるというもの。
・2013年にEB5ヴィザの発給を受けた中国人は、じつに71329人。「投資移民」を促進する目的の「EB5ヴィザ」の八割が、なんと中国人だった。
・新法FATCAは既に6月30日から実施されており、在米金融機関およそ77000が対象である。








〜〜〜関連情報<参考>〜〜〜
習近平の反腐敗キャンペーンの行方にある中国の闇資金の全貌   
宮崎正弘  2014.07.07
■米国の新税法FATCAによって巨額の不法資金は摘発されるか?
  米国の新税法FATCAは、テロ対策の一環である。 2001年ブッシュ政権は「テロ戦争」を宣言し、「これは長い闘いになるだろう」と言った。 手始めは国家安全局の設置だった。 つづいてテロリストへの資金提供を食い止めるためスイス銀行など、世界のタックスヘブン、オフショア市場へ「資料提供」を呼びかけた。
 スイスは猛反発した。
  中世より顧客の秘密を守ることによって匿名口座を維持してきたスイスは、情報開示に応じたら顧客を失うではないか。  信用をうしなえば銀行ビジネスは立ちゆかなくなるではないか。  同時にスイスの秘密口座をもつ、世界の富豪も独裁者も、また多くの闇資金の預金者も困り果てるではないか。
  米国は巧妙な政治圧力をかけつづけ、時間的余裕を与えつつ、とうとうスイスは米国の圧力に屈した。
 ただし数年の間に多くの富裕層の口座はスイスから逃げた。規制の緩いタックスヘブンや、リヒテンシュタインのようなオフショア市場、ドバイの金融市場など若干の抜け道もあった。  とりわけ中国の富裕層は英国領バージン諸島を中継地点として活用した。
 しかし現時点に立って過去を眺めやれば、これもまた米国の仕掛けた罠ではなかったのか。 なぜならスパイ衛星がモニターしていたのは敵性国家の電話、FAX、インターネット通信ばかりではなく、銀行間の資金の移動もモニターしていたからだ。 ワシントンにある「グローバル・ファイナンシャル・インテグリティ」(GFI)がデータを掌握した。
 その結果、なにが分かったか? 世界の闇資金、不正蓄財の多くの実態が具体的な金額とともに判明したのだ。
▲悲鳴を上げたロシア、北朝鮮、そして中国
  第一にロシアの新興財閥が海外へ不正に送金し蓄財してきた概要を掴んだ。 プーチン側近たちがスイスや欧米に隠匿していた巨額の預金、証券のたぐい。 そしてクリミア併合に対してオバマ政権は「経済制裁」を課したが、その結果でてきたのはプーチンの側近十数名の在米資産の凍結であり、しずかなブローとなった。  強気だったプーチンが、そのご、ウクライナ侵攻をあきらめざるを得なかった。
  第二に北朝鮮は、十年前にマカオの口座が凍結されて干上がったように、核武装の代償は独裁者の秘密資金の凍結と逼迫、もはや北朝鮮は日本の要求をのまざるを得ない立場へと追い込まれた。
 第三が中国である。というより今後、もっとも深刻な影響がでるのは、中国である。
  中国の富裕層、というより共産党幹部らが不正な闇資金を香港で洗浄し、英領バージンン諸島を中継地点に活用して世界に投資してきた金額は具体的に1兆800億ドル。米国は、この資金の流れを掴み、秘密裏に中国に通知した。あまりの天文学的金額が海外へ逃げていた事実に習近平は仰天したらしい。1兆800億ドルといえば邦貨換算で110兆円、日本の国家予算より多いではないか。
  中国で反腐敗キャンペーンがすすみ、劉志軍、薄煕来、蒋潔ち、周永康徐才厚らの失脚へと繋がるのだが、中央規律委員会は具体的証拠を持っているからである。
 このたび発表された米国の新税法FATCAとは何か。
 これは「外国口座税務コンプライアンス」(THE FOREIGN ACCOUNT TAX COMPLIANCE ACT)と呼ばれ、主眼は外国銀行、証券会社、ならびに保険会社にアメリカ人顧客の情報開示を義務づけるというもの。
 つまり外国金融機関は5万ドル以上の資産をもつアメリカ人顧客の情報を提供することになる。  もし違反すれば、利子、配当などの所得に30%が課税される。
  中国は内示を受けて考慮したあと、米財務省と暫定協定を結び、このFATACAに参加する用意があると伝えた(ウォールストリート・ジャーナル、7月4日)。
  中国にとって一番の目標は、すでに米国永住権(グリーンカード)を取得している中国人の金銭実態を把握できる上、汚職捜査の証拠を米国から提供されるというメリット。 つまり米国にあって税金のがれのための手練手管を講じてきた富裕層の実態が判明する。
2013年にEB5ヴィザの発給を受けた中国人は、じつに71329人。「投資移民」を促進する目的の「EB5ヴィザ」の八割が、なんと中国人だったのだ。
  二番目に中国のメリットは、これからも米国への脱出計画をたてて密かに資産を移そうとしてきた富裕層、共産党幹部への心理パニックとなる。 海外への資金逃避が減少するだろうという見通しである。  
  新法FATCAは既に6月30日から実施されており、在米金融機関およそ77000が対象である。
 しかし中国人の特性は「上に政策あれば、下に対策あり」だから、もっと巧妙に税金逃れの手口を巧妙化して来るであろう。