・どうしても、7月末からの会期でやるなら「釧路五輪大会」にするべきだ!

・2020年の東京五輪 最大の課題は7月24日から8月9日に至る会期中の暑熱だ!  
・どうしても、7月末からの会期でやるなら「釧路五輪大会」にするべきだ!
・記録の更新どころではない!客は集まるのか?世論調査で観覧希望者が5割しかいない。
・湿度60%以上は体感温度が5度プラスとなるので、実質は40度前後、エアコンの排気やアスファルトの照り返しを考慮すると50度に達するという試算もある。
環境省ガイドラインには35度以上の日は「特別な場合を除き、運動は原則中止」とある。
猪瀬直樹・前東京都知事らがIOCへ提出した公文書(英文)に、7〜8月の会期は「マイルドで…アスリートたちがベストのパフォーマンスを見せることのできる理想的(アイデアル)な気候」と表現している!?
・・・・馬鹿なことを言うもんだ! 「マイルドだ!?」








〜〜〜関連情報(参考)〜〜〜
2015.10.8 13:15更新   【正論】
なぜ爽やかな秋空の下で東京五輪を開かぬのか? 現代史家・秦郁彦

 2020年の東京オリンピック開催まであと5年となる現在、国立競技場、エンブレム問題と2度の白紙撤回が続き、東京大会のイメージが大きくダウンした。
 しかも重なる不手際に対する責任の所在は不分明のまま、大幅なコストカットと国際オリンピック委員会(IOC)が要望した2020年1月の完成時期が両立できるのか、国際コンペをやり直して新エンブレムをすっきり選べるのか、国民は疑心を深めている。
《3度目の白紙撤回も?》
 やや手遅れの感もあるが、このさい好評だった1964年の東京オリンピックを忠実に継承し、再現する手法もあり得るのではないか。旧国立競技場は、建設省(現・国土交通省)、それも関東地方建設局の技官グループが設計し、工事を監督して14カ月の短工期で完成させた。
 設計図が残っており関係者の多くは健在なので、手間もコストも最低限ですむ。北京五輪の430億円、ロンドンの650億円より安く仕上がるだろう。ついでに今は石巻に移した聖火台も戻したい。
エンブレムもコンペはやめて、亀倉雄策氏によるなじみ深いデザインを数字だけ入れ替えるか、招致段階で使った桜の花柄のエンブレムを原案者に手直ししてもらうか、いずれでもよいだろう。トラブルの続発を心配しているIOCも賛成してくれると思う。
 それにしても、ご難続きに嫌気がさしたのか、新聞の投書欄にはオリンピック返上論を見かけたし、NHKの解説委員が「3度目の白紙撤回もありうる」と不吉な予言をしていた。具体的に何を想定しているのかは不明だが、今年の7月から8月にかけての暑熱にあえいだ筆者にはピンとくるものがあった。
《記録の更新どころではない》
 あえて言えば、2020年の東京五輪にとって最大の課題は、7月24日から8月9日に至る会期中の暑熱をどうしのぐかである。
 今年の気象データを照合してみる。7月24日の東京の最高気温は33・9度、最低気温は25・0度、湿度は95%。8月9日は33・4度と24・7度、54%で、17日間に最高気温が30度を下回った日は1日もなく、最低気温25度以下、湿度50%以下の日はいずれも2日しかない。
 湿度60%以上は体感温度が5度プラスとなるので、実質は40度前後、エアコンの排気やアスファルトの照り返しを考慮すると50度に達するという試算もある。環境省ガイドラインには35度以上の日は「特別な場合を除き、運動は原則中止」とあるが、五輪には特例を適用するのだろうか。
 それなりの対策案もちらほら見かける。最終日の男子マラソンは、スタートを朝の7時半に予定しているそうだが、増田明美氏は6時より早くと提案していた。サッカーや陸上競技は夜間実施だともいう。他にも遮熱性の舗装にするとか、走行中の選手にミストを振りかける、植樹して木陰を作る、果ては熱中症者を搬送する病院に外国人用の通訳を配置する案も出ているようだ。
 こうなると記録の更新は論外で、生き延びるのが精いっぱいという感じがしないでもない。観客のほうも、世論調査で観覧希望者が5割しかいないと分かった。残りは暑熱を避けてテレビ観戦ですませるつもりかもしれない。振り返ってみると、前回の東京五輪(64年10月10〜24日)は「世界中の秋晴れを集めたような」青空の下、最高21度、最低12度の爽やかな気温の開会日を迎えた。

《放映権料の分担も一案》
 誰もがその快い記憶を忘れていないのに、今回はなぜ最悪の季節に乗りかえたのか。IOCの財政を支えているテレビ放映権料が高騰し、最近はNBCテレビ(米国)がほぼ独占してきた。秋の好シーズンはサッカー、フットボール、野球の中継が優先し、五輪は夏枯れの季節に押しやられてしまったというのが実情らしい。
 半世紀前の東京五輪のとき、ニューヨークに住んでいた筆者は、米国民の関心が低く、新聞やテレビの報道も少なかったので、「東洋の魔女」(女子バレー)の活躍ぶりは帰国後に知ったほどだ。
 ともあれ、筆者はあえて開催期日を秋に変更するよう、日本政府がIOCと交渉することを提言したい。
 作家でジャーナリストのロバート・ホワイティング氏は猪瀬直樹・前東京都知事らがIOCへ提出した公文書(英文)に、7〜8月の会期は「マイルドで…アスリートたちがベストのパフォーマンスを見せることのできる理想的(アイデアル)な気候」と表現しているのを見つけ、「思わずあごが落ちそう」になったと書いている(『夕刊フジ』、14年4月23日付)。
 多言は要すまい。誤解を与えたことを率直に詫(わ)び、選手たちのために東京の酷暑期は回避したいと説明すれば、IOCも納得するのではあるまいか。リオデジャネイロの五輪放映権料は22億ドルだという。都合によっては3割程度を日本政府が肩代わりするのも一案だろう。(はた いくひこ)