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2012-05-11

香港の高層マンションや東京の満員電車を撮る写真家がおもろい

もう一つこっそり(?)やっている誰得ゆるふわブログの方に既にちょっと前に同じ事書いたんですが、なんだか記事のタイプ的に書くところを間違えた気がするのでこっちにもまるっと移植します。



Michael Wolfさんという、香港を拠点に活動されているドイツ人写真家なのだけど、この人の仕事が面白い。

まず香港の変テコ高層マンションコレクション

サムネで見る限りマンションだということに気づかない。パースを排して天地を切って、まるで永遠に続く平面パターンのように切り取られた香港高層マンション群が圧巻だ。

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東京の満員電車を撮る、その名も「圧縮東京」(Tokyo compression)

香港のマンションネタは写真集も持ってて知ってたんだけど、日本までネタにされてるとは!知らなかったw

確かにねー。外国人の人と日本のことを話すと必ずあれはおかしいって言われる満員電車。やー、あれはおかしいですよ。非人間的ですよ。わしらだって知ってるさ。

またさらに、雨降りで一番不快な圧縮感が出てる時を狙って撮ってるのがにくい。息を殺して乗っている人たちの不意の表情が、ラッピングされた死体のように見えてしまう。グロいようで美しくも見えて不思議な迫力がある。とりあえず被写体には絶対なりたくない!これうっかり撮られちゃった人つらいよなー…

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Fuck you Google street view

最近では、ご自分で写真を撮る他にもこんな活動を。Googleストリートビューであのぽポーズをしたまま映り込んでしまった人たち。

いや、もうホント、よく集めたね!っていうか、集めんなよ!wあとなんかちょっと違うのも混ざってるよ!

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中国のひどい椅子コレクション

これも…よく集めたね!…っていうか、なぜ集めたし!w

いいよね、いいテーマだよね。ひどい椅子てw確かにこれはひどい!座りたくない!

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他にもMichael Wolfさんのポートフォリオサイトから色んなテーマの写真を見ることができます。Projectsのプルダウンから色んなプロジェクトを探せる。どれもおもろいし造形的にもカッコイイ。

少しアーティスティックなデイリーポータルZ(…というか大山顕さん)みたいなノリなのだと思うんだけど、おそらくこの人のライフワークに通底してるのは、徹底したガイジン的な第三者ツッコミ目線なのではないか。

香港の建物にしても東京の満員電車にしても、そしてGoogleストリートビューにしても、そこにいる当事者達は既に慣れたか、あるいは物心ついた時から内面化してるので特に違和感を感じてない。けど、そこに例えば「外国人」という完全な第三者として足を踏み入れた時、 

いやいやいやいやwwww

君らにとってはそれ当たり前かもしれないけど、それおかしいから!面白いから!w

と感じるあの目線、あの外人目線

アレをうまく作品として、アーティスティック半分、ユーモア半分なところで良い感じに具現化しててすごくかっこいくてくやしいw

海外旅行とかで、普段と全く文化ベースが違う土地に行って、街並みみてるだけでウキウキしちゃう感覚を分解すると、その中の一つはあの目線なのだと思う。個人的にあれを「ガイジン目線」と呼んでる。

圧倒的な異物に対して、適度に距離を保ちつつその違和感ごと愛でてしまう、みたいなスタンスはすごく共感できるし好きだ。その視線だけでいろんなことが一生楽しめる気がする。この対象に入り込まなさ、クールに突き放してみてる感じも結構好きだ。この人日本で写真展やるならすごく行きたい。

あと、まあなんだ、とりあえず海外旅行行きたい!!

 

Hong Kong: Front Door / Back Door

Hong Kong: Front Door / Back Door

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Michael Wolf Kenneth Baker Douglas Young
Thames & Hudson
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この写真集がおそらくMichael Wolfさんの代表作っぽい。持ってるけどすごくいいですよ。大判サイズの本に見開きでギッシリとあの変態香港マンションたちが…wニヤニヤする。表紙もピンクのタオルケットでかわいいw

タイトルの"Front Door"というのが香港の変てこ高層マンション群の写真、"Back Door"というのがもう一つのこの人の香港ライフワークである、路地裏の変テコなもの(ゴミとか変な椅子とか)の写真を指してるそうで、その2つのテーマの写真を交互に見せる構成なのだけど、パースのないマンション写真のインパクトがやばすぎて、路地裏のヘンテコオブジェコレクションはそれはそれで面白いのだけど、建物に比べるとやや凡庸に感じる。建物だけで一冊にまとめたほうがクールだったんじゃないか?

個人的に、香港に行った時に一番驚いたのは、建物の建て方。香港はここ400年くらい全く地震が来てない(要出典)らしく、それに油断しきっているのか、ものすごいペラッペラな作りの恐ろしく巨大な高層マンションが所狭しと立ち並ぶ。香港に限らず中国圏はそうなんだろうけど、全体的に人命の値段が日本よりも安そうな感じにうひゃぁと軽くショックを受けることがしばしばある。日本は平和だわあ。

他にも、いろいろ写真集出てるっぽいですね。

東京の満員電車

Michael Wolf - Tokyo Compresion Revisited

Michael Wolf
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香港の「コーナーハウス」

Hong Kong Corner Houses

Hong Kong Corner Houses

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Googleストリートビューでアレ(えっ写真集でてんの!)

Michael Wolf - Fy

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Michael Wolf
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中国のひどい椅子(えっ(ry

Michael Wolf: Sitting in China

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Michael Wolf
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2011-11-25

第2弾!『困ったときに開く、デザインのアイデアノート〜アナログスタイルデザイン編〜』が発売しました。

こんにちは。以前ここで紹介させていただいた、『困ったときに開く、デザインのアイデアノート。』が大変好評だったようで(このブログからもよく売れておりました。ありがとうございました!)、第2弾の「アナログスタイルデザイン編」がMdN編集部さまより発売しました。

(先週木曜日から発売してたのですが、色々バタバタしてしまいすっかり書くのがおそくなってしまいました。。)


今回は「アナログスタイルデザイン編」ということで、味のある質感やテクスチャーを用いたデザイン、手描き風デザイン、ビンテージ風、グランジ風…等、ここ何年か流行り続けていて、かつ流行りが終わる気配をまだ見せず、もう一つのスタンダードになったのかな?と私は思ってるのですが、あれらのデザインテイストの作り方が色々載っています。

前回の本同様、今回もこの本の魅力は、どのような仕上がりのデザインにするか?という「アイデア集」と、実践的なTipsが一つになっていることです。

アイデアはあってもうまく形にできない、形にするやり方がわからない、もしくは、Tipsは知っていても実際のデザインにどう活用したらいいのか…という悩みは、特にデザインの初学時には起こりがちですが、そんな時にこの本が大いに役に立ってくれることと思います。

前回に引き続きよい本です。もし本屋さんで見かけたらぜひお手にとってご覧いただけたら幸いです。

今回私は執筆と作品掲載はしていないのですが、装丁と本文デザインの方を引き続き担当させていただきました。

今回、特色オレンジでシックでありながらもちょい目立つ感じを狙ってみたので、成功していれば本屋さんの棚で目立つはず!w「アナログスタイル」ということで、表紙に自分の肉筆を使ってみたのですが、この本みるたび自分の字がどどーんとあって照れます(ΦωΦ)でへへ


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2011-04-27

デザイン本『困ったときに開く、デザインのアイデアノート。』発売しました。

どうも、お久々に書きます。

4/27(火)、MdN編集部さんより『困ったときに開く、デザインのアイデアノート。』という本が発売されました。

本書の装丁・デザイン、一部執筆を担当させていただきました。



Webや紙媒体などのグラフィックなデザインを作るときに、

  1. どんなデザインが良いかアイデアを出す
  2. アイデアをPhotoshopやIllustratorで形にする

という2大工程があります(すげえ大雑把ですが)。

1については、先人の作品を色々参考にしながら考えますが、作りたいデザインが決まっても、悲しいかなこれを実際どうやって作ったらいいのかわからないことがしばしば発生します。

2についても、PhotoshopやIllustratorのTipsはWebや書籍に数多くありますが、これらのTipsで作ったパーツを、デザインの中でどう使ったらイケてるんだっけ?っていうのは意外とだれも教えてくれてなかったりします。

この本は、その両方をイッキに読者に提供してくれるというステキな本でございます。

デザインアイデア集と、その作り方の具体的なTipsが一緒になっているので、本を目にしたその日から、明日仕上げなきゃいけないデザインを作るのにすぐに役に立つ。

まさに、困ったときに開きたい、心強い本です。

PhotoshopやIllustratorを使った事があるけどデザインをはじめてから月日が浅い…みたいな初心者の方に向けてもわかりやすく書かれていますが、いろんなデザイナーさんのステキなデザインや知らなかったTipsも数多く載っていたので、経験豊富なデザイナーさんでもアイデアTips集として大いに参考にできそうです。

美大やデザイン学校の学生さんが課題を作るのに一捻り加えたり、新人デザイナーさんがお仕事の参考にしたり、また専業デザイナーじゃないけどデザインもやる方(最近Webプログラマーさんとかそういう方多いですよね)などなど…幅広い方々におすすめです。

またまた仕事の宣伝になってしまい恐縮ですが、もし本屋さんでこの子をみかけましたらお手にとってご覧いただけるとうれしいです。

よろしくおねがいいたしますm(__)m

内容紹介(Amazonより)

◆プロのアイデアを、この一冊に書き留めました。困ったときに開く、すぐに役立つ、アイデアノートの登場です!

もっといいデザインにしたい。でも、思うようにアイデアが出ない。

本書は、そんなときに開いていただきたいデザイナーによるデザイナーのための「アイデアノート」です。

グラフィカルで華やかなイメージづくりに役立つアイデア、素材感を活かした魅力あふれるデザインのアイデア、何でもない写真を活用してビジュアルを制作するアイデア、美しいタイポグラフィを活かしたアイデア、アナログ手法を取り入れるアイデアなど、実に幅広いデザインアイデアを紹介。

考えが煮詰まってしまったときやヒントが必要なとき、この「アイデアノート」を開き、日々のデザインワークにお役立ていただければ幸いです。

◆現場の必須アプリ・PhotoshopやIllustratorによる具体的な制作方法まで詳しく解説!

本書では、デザイン現場で必須となるアプリケーションPhotoshopやIllustratorを使った具体的な制作方法まで解説していますので、実務で役立つテクニックも身につきます。

〈本書で紹介しているアイデアの一例〉

◆第1章 グラフィカルに見せたいときのデザインアイデア より

・ブラシで光を描いたスタイリッシュなキラキラ輝くデザイン

・写真を古びた風合いに加工した昔のポジフィルム風のグラフィック

・スタンプ風に加工した素材を使ってレトロアメリカンに仕上げたデザイン

◆第2章 ナチュラルな素材感を活かしたデザインアイデア より

・イラスト風に加工した画像を使ったあたたかさを感じさせるデザイン

・まるで段ボールに直接描いたようなリアルな質感のグラフィック

・2色インキで手刷りしたようなレトロな風合いが魅力的なグラフィック

◆第3章 さまざまな場面で使える実用デザインアイデア より

・グラデーションを活用して文字をクールに飾ったデザイン

・ポラロイド風の写真を素朴な布と組み合わせたデザイン

・シルエットをベースにしたファンタジックな世界観のグラフィック

◆第4章 アナログテイストが魅力のデザインアイデア より

・かすれ具合がリアルな消しゴムスタンプ風のグラフィック

・網点を使いコミック調にアレンジして文字にインパクトを与えるデザイン

・紙の質感を生かしたノスタルジックな雰囲気のグラフィック ほか多数紹介

なお、すべてのアイデアに「応用編」も用意されており、見応え・読み応え十分の内容です。

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2010-12-22

デザイン本「テクスチャー&背景地紋 素材集」本日発売しました。

本日12/22日より、MdN編集部さんよりDVD-ROM付きデザイン本「テクスチャー&背景地紋 素材集」が発売になりました。

本書の装丁、レイアウトデザイン、デザインサンプル等の制作を担当させていただきました。

表紙 テクスチャー&背景地紋 素材集

テクスチャー&背景地紋 素材集

テクスチャー&背景地紋 素材集

テクスチャー&背景地紋 素材集

テクスチャー&背景地紋 素材集

内容紹介(amazonより)

◆ずっと使える、デザイン素材集。

◆使いやすい紙、布、木、壁材、革、金属、空や水まで、厳選素材を639点収録。
日々のデザインに、当たり前のように必要になる本当に使いやすい素材ばかりを集めた素材集。
それが本書『テクスチャー&背景地紋 素材集』です。
メモ帳、荷札、クラフト紙や原稿用紙、リネンなどナチュラルな布やデニム、ニット、革、毛皮、フローリングなどの木目や樹皮、さまざまな形の小枝、レンガやコンクリートなどの壁材、金属、アスファルトの地面や芝生、そして水や青空のイメージフォト。
どなたにでも使いやすいスタンダードな素材ばかりを合計639点(JPEGまたはPNG形式)収録しています。ぜひ日々のデザインにお役立てください。

◆収録素材データについて
付属DVD-ROMに収録されている素材データはJPEGまたはPNG形式、解像度350dpi、カラーモードRGBで保存されています。素材データのサイズは大きいもので長辺約250~300mm(約3,200~4,500pixel)程度、小さいもので長辺約70~130mm(約1,000~1,800pixel)程度です。ポスターやチラシ等の広告デザインや、Webサイトのデザイン、出版物の表紙やページデザインなどで幅広く使える素材を豊富に収録。
もちろんTV番組など映像内のデザイン、マンガなどの背景や飾りなどさまざまな用途で使える、ハイクオリティな素材集です。

最近のデザイン素材集は、とても凝っていたり、個性的なものも多いのですが、この本に収録されている素材は、利用する人の手でどんなテイストにも料理できそうな、「いじりすぎて」いない、素材のままを活かしたシンプルなもの、またデザインワークの中で頻繁に使いそうなスタンダードな素材が多く、いちデザイナーとしてもお世話になる機会が多そうな素材集です。

個人的に特にツボだったのが、木目やコンクリートやレンガの壁面、また天然の木肌等の写真。よくある類の素材ではあるのですが、他の素材集よりも写真が「カッコいい」んです。背景に一枚バーンと敷くだけで見栄えがしそうなものがたくさん収録されています。質感・マチエールフェチな自分的には、その辺みてるだけでも楽しい本です。


最近は普段Web系の仕事が多く、本一冊のデザインをまるまる担当させていただいたのはかなり久しぶりでドキドキしましたが、とても楽しくお仕事させていただき、MdN編集部様には大変感謝です。

仕事の宣伝になってしまい恐縮ですが、もし本屋さんでこの子をみかけましたらお手にとってご覧いただけるとうれしいです。

よろしくおねがいいたしますm(__)m

さきほど渋谷のジュンク堂にて、棚に置いてありました。割と目立ってた。わーい!
写真だとわかりにくいけどタイトル文字は蛍光っぽい赤です。

後ろはこんなん。

テクスチャー&背景地紋 素材集

MdN
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2010-01-31

仕事好きにも嬉しいベーシックインカム「働かざるもの飢えるべからず 」

個人的にここ1年くらい、「ベーシックインカム」という考え方にかぶれています。

運用の仕方にも大きく依存すると思うのだが、今日本で話題に登っている社会問題の殆どは、ベーシックインカムで解決してしまうんじゃないだろうかと、結構本気で考えている。貧困問題、福祉問題、少子高齢化問題、GDPの低下、雇用問題、過剰労働、不景気、環境問題、等々。

そんな中、この本もとても興味深く、楽しく読んだ。思っていたよりもとても哲学的に突っ込み、かつわかりやすく、何故ベーシックインカムなのか?というベースの思想が、余す所無く書かれている、小飼弾さん渾身の書だ。


働かざるもの、飢えるべからず。
小飼 弾
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おすすめ度の平均: 3.5
3 将来性が無い議論
4 タイトルからして・・・・
3 残念ながら、私は説得されませんでした。。
5 平成の坂本竜馬! 本気の小飼弾さん
4 小飼弾の”本気”


なぜベーシックインカムなのか。

この本の内容と、自分自身の考えも合わせ、なぜベーシックインカムが良いのか、という骨子をまとめてみた。自分は仕事もお金儲けも結構好きな側なので(儲かってないけど)、そっちの視点から見てもベーシックインカムいいよ!ということも強調していきたい。

  • 人間は何も生産していない。農業でさえ、人が生き延びるために自然から収奪しているだけなのだ。生産する=働くという定義下であれば、人は誰も働いていない。ただ単に所有者の循環を金銭に変えているだけ。「働かざるもの食うべからず」というのが本当に正しいのであれば、人間はとうの昔に餓死しているはずだ。
  • どんな分野の産業でも、便利になればなるほど富が一極集中するのが必然である。便利になるということは、「より良いものをより安く」というニーズに答えていくこと。それにより、例えば小売業界でも個人商店や小型店舗はどんどん淘汰され、供給チェーンを効率化して低コスト化できる大型ショッピングモール等に富が集中する。お金持ちがますますお金持ちになるというのは、貧乏人も含めた社会の総意である。
  • 富が集中した結果、一部の人達が使いきれない富をストックしてしまう。一人の人間が富を消費するのはどんなに贅沢したところで限界があるし、いつ没落するかわからない状況では、現状富を所有する人達も気軽にバンバン使うことができない。結果、本来、社会の交換媒体であるはずのお金が、適正に社会に流通しなくなる。これが貧困の正体
  • 「より良いものをより安く」をかなえた結果、一部の人が富を築き、そのことによって社会全体が豊かで高品質になっていくという適正な循環を起こすためには、富が一極集中する上で使いきれなかったお金を、もう一度社会に還元する必要がある。(せっかく良い物を作っても、貧乏な人ばかりで買ってくれる人がいないのであれば、作った人も不幸!)使わないものや使わない金は、社会に還流した方がお得なのである。
  • 従来の高度成長期であれば、ものを作る段階、お金を作る段階においては、貧富の格差と競争原理がうまく機能する。現在は物が溢れ、供給過剰な状態。「いかに使うか」ということを考えなくてはならない。生産した物がより使われ、潤沢な社会になるには貧富の格差は少ない方が良い。
  • 例えばもし世界が100人の島にレストランが一軒あるとして、年収300万以上じゃないと外食は厳しい。でも、その島の1人を除く99人が年収200万以下だったら、1人に嫌われてしまったらそのレストランは終わり。逆に全員の年収が300万だったら、そのレストランは繁盛し、利潤が生まれ、ニーズが生まれ、また別の多様なレストランが生まれるかもしれない。このように、「顧客に一定以上の収入があってはじめて成り立つビジネス」は、貧困層ばかりの世の中では成り立たない。お金持ちにとっても、自分以外の人達がみな貧しいというのは旨みがない話。
  • ただし、「作る」段階においては、競争原理は機能する。共産国家がなぜ失敗したかというと、「作る」方を平等にしてしまったからだ。収入の格差や財産の格差は、一生懸命やりたい人をやる気にさせるくらいには残しておいた方がいい。
  • お金を所有するには手間ヒマとコストがかかる。人にお金をあげる、社会に還元するということは、使わないものにコストをかけずに済み自由になれる、と考えると良い。「所有」から「利用」に意識を転換することで、「管理」のコストから開放される。
  • 生産性を追求すればするほど失業しやすくなる。全員を働かせようとした結果、供給過剰になり失業者が出る構造の問題。職を得られないのはその人の責任ではない。「働かざるもの食うべからず」という倫理観のもと、無職の人を自己責任だと非難するのは不当なのではないか。
  • 「食うために働く」ではなくなることによって、働くことは「義務」から「権利」になる。一心不乱に何かをし続けられるということそのものが報酬。食うためにではなく、ただ働きたいから働いているという人は現在でも一定数居て、そういう人達は放っておいても働く。労働の現場において「働きたいから働く」という意識が当たり前のものになれば、生産性は自ずと向上する。生産したい人の足を引っ張らないことが大事。
  • 供給側が努力しているから、顧客はその商品を買うのか?「安くて良いもの」が当たり前の世の中においてその答えはNOだ。成功には運の要素も大きく影響する。現在の成功は結果論でしか測れない。努力は報われない
  • 成功と努力が比例しないのであれば、多様な挑戦がある世の中の方が潤沢で良い世の中になる。挑戦者はもっと増えていい。成功しなかった場合のセーフティネットがしっかりしていた方が、挑戦者は増え、多様な成功者が生まれる。
  • 今は、作り出そうとする人に対して許認可を求める「デフォルトNO」が主流の世界。「デフォルトNO」の世界は入試のように、一旦許認可を得られたものはふんぞり返っていても大丈夫。これでは新しいものは生まれにくい。命に関わらない分野であれば、「デフォルトYES」の構造にするべき。それが成功するかしないかは市場が判断する。失敗した場合のセーフティネットとしてベーシックインカムを設ける。人様に危害を加えない限り、好きな人が好きなように働くのを罰しない社会構造にするべき。
  • 努力もしないで貧困層に居る人がかわいそうだから、ベーシックインカムなのではない。社会のパフォーマンスを下げるとみんなが不幸になる。貧困層がない社会の方が豊かで住みやすい社会。(スラムに住むのとかスラムが近所にあるのとか嫌だよね。)
  • ベーシックインカムが助長するのは「しがみつかない生き方」。雇用にしがみつかない、貯蓄にしがみつかない、土地にしがみつかない、そして「未来」にしがみつかない。今日できる楽しいことは今日やろう。明日でいいことは明日でもいいじゃん。今を楽しもう。いつ死ぬかなんて誰にもわからない。(今日より大切な明日なんてないのではないか。)
  • 大量生産、大量消費で世の中が一つの方向に「進化」している時代は終わった。今後は何が正解なのかますますわかりづらい世の中になる。個人の幸せは多様化する。その中で政府に賢さを求めるのはもはやナンセンス。政府はお金を集めて配ることに徹する方がいいのではないか。そして、再配分されたお金は、個人がその幸せのために使うことにより、より豊かな社会になるのではないか。
  • 幸福は人にあげても減らない。むしろ人と共有した方が幸福は増える。人は「誰かに喜んでもらうのが楽しい」と感じる社会的な生き物。そしてそれは必ずしも金銭の授受とは比例しないのではないか。
  • ベーシックインカムが意味するのは、個が組織のために犠牲になるという美学の終焉なのではないか。個人一人ひとりが楽しく生きるために必要だから社会を形成しているのであり、個人の幸せを犠牲にし社会に尽くすのは本末転倒だ。そして、自分以外の多数の個人の幸せの最大化が自分の幸せにも返ってくるという、逆転の発想がベーシックインカムなのだ。

請求書書くのってなんであんなに苦痛なんだろ…

この本については色々書きたかったんですが、上記をまとめるだけで疲れたので、また後日。

一点だけ、巻末で小飼弾さんとスリランカ仏教のスマナサーラ長老が対談しているのですが、(これいい対談です!)その中で深く共感してしまった部分を抜粋したい。

実は仕事をするとき、私は、請求書に金額を書くときが、一番嫌なんです。

仕事そのものは楽しい。できそうなものがあると、思わず作ってしまったりします。しかし、それには値段をつけなくてはいけない。

(中略)

仕事には作るという部分と、それをいくらにするかという部分があって、後者の作業がものすごくつらい。

私も、請求書や見積書を書くと半日ぐらい凹むくらい辛いのでとてもわかる。自分の仕事を「事前」にお金に換算することがとても苦痛なのだ。もちろん、お金をもらえないと生活していけないので、請求書や見積書を書かせてもらうということはとてもありがたいことなのだけど。

仮に、ある仕事の予算か見積もりが、20万円だったとする。そうすると作る人にとっては、どんなに良いものを作りたくても、20万円以上のコストを掛けてしまうとその仕事は成り立たないのだ。100万の仕事は100万なりに、20万の仕事は20万なりにやらなくてはいけない。だからその仕事のコストを事前に換算するのだけど、仕事というのはどうもやってみないと分からない部分がある。

また、その仕事によって生み出される価値というのも、世に出してみなければわからない。それなのに、予算によって多くの価値は「事前」に測られるのだ。それが、自分にとってはとても苦痛だ。安い仕事に全力を尽くしてしまうのは、少なくとも数字の上では損になってしまう。

思うに、予算や見積もりというのは、構造的には「借金」や「融資」に近いのではないかと考えている。まだやっていないことに対して、未来の仕事を担保に借りを作ることなのだ。未来を担保にするという行為が苦痛なのかもしれない。

それに対抗するのが、成果報酬とかレベニューシェアとかで、こちらは「投資」に近い考え方だと思う。良いものを作ってくれたお礼として、またさらにそれを原資に良いものを作って欲しいという意味合いを感じるので、こちらはとてもわくわくする。いいものを作れば作るほど、「得」になるのだから。

世の中的にもどんどん、成果報酬型の仕事がしやすくなってきていると思うので、個人的な収入形体も、徐々に「投資」型にシフトしていきたいなと思っているのだけど、ベーシックインカムというのはそういった稼ぎ方をさらに広く可能にしてくれるのではないかなという期待もしている。

上記の対談は動画も公開されているようです。面白いです。

USTREAM - 『働かざるもの、飢えるべからず。』 サンガ刊行記念 小飼弾先生×スマナサーラ長老対談

関連エントリ


働かざるもの、飢えるべからず。
小飼 弾
サンガ
売り上げランキング: 4969
おすすめ度の平均: 3.5
3 将来性が無い議論
4 タイトルからして・・・・
3 残念ながら、私は説得されませんでした。。
5 平成の坂本竜馬! 本気の小飼弾さん
4 小飼弾の”本気”


こちらは、ベーシックインカムには直接触れられていませんが、私がベーシックインカムという考え方にハマるきっかけになった本。

「モモ」や「はてしない物語」の童話作家、故ミヒャエル・エンデが残した言葉から、お金というシステムが持つ問題点について、根本から取り組んでいます。

エンデの遺言―「根源からお金を問うこと」
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4 ”お金”について考えてみよう!
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5 今こそ読むべき本だと思います。
3 貨幣そのものではなく利子こそが問題である。
5 今こそお勧めの一冊です