見聞読考録

進化生態学を志す研究者のブログ。

書籍紹介,というタイトルの友人自慢

周りの人たちが続々と本を出版している。
いよいよ凄まじい冊数になってきた。


ナニゴトかっ!
であえ!であえーっ!


ちなみに僕はまだ一冊も読んでいない。
遥か遠方のオランダの地より,指を咥えてヨダレを垂らしているだけである。


唯一,鈴木紀之博士はわざわざオランダにまで自身の著作「すごい進化」送り届けてくださった。
ノリさんありがとう!ノリさん最高!


まだ途中だが,はっきり言って素晴らしい。
書評はいずれ,もう少し落ち着いたらここに書こうと思う。


とにかく。
とても嬉しいので,ひとつずつ紹介していきたい。

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まずは恩師,東北大学の千葉聡教授の本を紹介すべきだろう。
みんな大好き,チバちゃんの書いた一般書である。


歌うカタツムリ - 進化とらせんの物語
千葉聡(著)
岩波書店,2017/06/14


すでに読み終えたという妬ましい友人たちの談によると,後世に残すべき「傑作」とのこと。そりゃそうだろう。想像に難くない。


あれは,岩波書店の科学般誌「科学」2011 年 8 月号の記事だっただろうか。特集として小笠原諸島が取り上げられたときに千葉さんが寄稿したらしい文章を,何気なく読んだことがある。


それはまぎれもなく「傑作」の片鱗を見せるものだった。カタツムリのひしめく常夏の楽園とそこで繰り広げられる美しい進化の物語,そしてそれを襲った人為破壊と外来種の悲劇に,読者は皆,心を握りつぶされるような思いをしたことだろう。


文字の羅列に収まらない色鮮やかな世界に,あれほどまでに惹き込む文章の書き手はそう多くないだろう。思わず千葉さんのページだけを破いて,クリアファイルに保存した。


嗚呼,帰国後に本書「歌うカタツムリ」を読めることが今から待ち遠しい!

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あとは(ほぼ)時系列に沿って紹介していこう。
次は森林総研の川上和人博士の書いた「鳥類学者だからって,鳥が好きだと思うなよ」。


タイトルからしてもうね,どこのプロの物書きだとツッコミを入れたい。
川上さんの本業はあくまでプロの鳥類学者である,今のところは。たぶん。だよね?


鳥類学者だからって,鳥が好きだと思うなよ
川上和人(著)
新潮社,2017/04/18


とはいえ,川上さんとはそれほど深い間柄ではない。研究室の先輩と深い繋がりがあり,彼の口から様々なとんでもエピソードを聞かされたり,前作「鳥類学者,無謀にも恐竜を語る」を読んで,是非とも会ってみたいと思うようになった。言わば,ファンである。それ以降は幸運にも,何度か話す機会に恵まれ,先日もふらっと研究室にお邪魔したが,川上さんが僕をどれほど認識しているのかは定かではない。


こないだ話したあの感じ,僕にも思い当たるフシがある。


川:(ああ,このひと知ってるぞ,えっと誰だっけ,誰だっけ。)
川:(ああ,やばい名前が出てこない,誰?てか誰?!)
川:(ああ,こんなに馴れ馴れしく話されてもう今さら名前聞けないどうしようやばい!)
川:(やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい!)
川:(...ま,いっか。)


そう。きっとこんな感じだったに違いない。
もう良いっすそれでも。僕はこれからも勝手にファンやってますんで。


鳥類学者,無謀にも恐竜を語る
川上和人(著)
新潮社,2013/3/16


今ちらっと見てみたら,「鳥類学者,無謀にも恐竜を語る」はもはや前作ではなくなっているではないか。


そもそも島に進化あり
川上和人(著)
技術評論社,2016/07/08


全然知らなかった!ファン失格だぁ!
帰ったら買おう,両方とも買おう。


川上和人 × 高柳明音(SKE48)「鳥類学者という蛮族がいた!知られざるその生態,または鳥たちは誰についていくのか」


ついでにヘンなの見つけた。なんだよもう有名人じゃないか。てか,服装がすでにおしゃれすぎるんだよ。芸能人顔負けだよ。いつでもこんなにバシっと決めてるの,僕の界隈じゃ川上さんか五箇さんくらいじゃなかろうか。


あとは佑磨さんはそのポテンシャルがあると思うなぁ,あれはまだ化ける気がする。時間の問題ではなかろうか,今でも十分過ぎるくらいいろいろと凄いのに恐ろしい話だ。。


伝わるデザインの基本 増補改訂版
高橋佑磨,片山なつ(著)
技術評論社,2016/08/05


それに「鳥類学者,無謀にも恐竜を語る」は恐竜部門で,「鳥類学者だからって,鳥が好きだと思うなよ」は鳥類学部門で,Amazon のランキングのベストセラーを獲得してる!あんたバケモンか!


嗚呼,帰国後に本書「鳥類学者だからって,鳥が好きだと思うなよ」を読めることが今から待ち遠しい!

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男前の前野ウルド浩太郎博士とは,数回お酒を飲み交わした程度のつきあいだが,それでも大切な友人だと主張したい。例え,向こうが僕を覚えていなかったとしても,だ。


忘れられていたらどうしよう。


処女作「孤独なバッタが群れるとき」も非常に面白かったが,今作「バッタを倒しにアフリカへ」はそれを上回るとの話も聞く。とはいえ前野さんも川上さん同様,その奇抜なキャラクターで今や一躍有名人となりつつあるようだ。僕がここで紹介をする必要ももはやないのかもしれない。今作「バッタを倒しにアフリカへ」も,Amazon のランキング(昆虫学部門)でベストセラーに選ばれているし。凄いなぁ。


バッタを倒しにアフリカへ
前野ウルド浩太郎(著)
光文社新書,2017/05/17


孤独なバッタが群れるとき - サバクトビバッタの相変異と大発生(フィールドの生物学)
前野ウルド浩太郎(著)
東海大学出版会,2012/11/11


ご本人の綴る,抱腹絶倒のブログもおすすめ。


砂漠のリアルムシキング
http://d.hatena.ne.jp/otokomaeno/


嗚呼,帰国後に本書「バッタを倒しにアフリカへ」を読めることが今から待ち遠しい!

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修士論文執筆の際に苦楽を共にした戦友,小塚拓矢氏の本も凄い。


怪魚大全
小塚拓矢(著)
扶桑社,2017/08/02


いや,まだ中身を見たわけじゃないけど,絶対凄いに決まっている。何しろ処女作にして「怪物狩り」のあのクオリティだ,今作はどれほどカオスなものになっているのだろう。本を開いた瞬間に爆発するかもしれない。楽しみすぎる。


怪物狩り - 世界“旅的”個人釣行ビジュアルガイドブック
小塚拓矢 (著)
地球丸,2010/08/01


それにしても,小塚さんもすっかり有名人だなぁ。
書籍もものすごいペースで出版しているし,凄いことだ。


ちなみに小塚さんは自身の立ち上げた株式会社 Monster Kiss で,オリジナルのロッドや関連商品も販売している。海外に簡単に持って行ける,いかなる怪魚にも耐えうる,コンパクト&タフがコンセプトであると僕は理解している。買ったことはないが,素晴らしいロッドであることはわかる。そういう人生を送ってきた小塚さんにしか作れない,そういうロッドなのだろうと思う。凄いことだ。


Monster Kiss
http://monsternet.base.ec


嗚呼,帰国後に本書「怪魚大全」を読めることが今から待ち遠しい!

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さらに農研機構の林健太郎博士。僕をオランダ王国,果ては北極圏のスピッツベルゲン島へと誘った張本人である。一昨年からの付き合いだが,なんだかもっとずっと昔からの友人のような気がしている。我ながら馴れ馴れしすぎてもはや笑うしかない。が,林さんはそんな小生意気な若造の不遜な態度に,口うるさく小言を言うような方ではない。いかなる無礼な行いすらも大らかに包み込んでしまうような,そういう懐の大きなたいへん素敵なジェントルマンなのである。なので,大丈夫である。


そんなビッグなナイスガイこと林さんがこの度,本を出版した。
なんと,ホッキョクギツネを主人公にした絵本である。


薫風のトゥーレ
林健太郎(著)
幻冬舎,2017/08/18


それこそ内容は全くわからない。想像すらできない。
どんなストーリーになっているのか,楽しみで仕方がない。


考えても見てほしい。


ミツユビカモメの鳴き交うコロニーに,ホッキョクギツネが住んでいた。
巣穴から出てきたのは可愛らしい小ギツネと,それを見守る凛々しい母ギツネであった。


...それで?


子育てにはどのくらい時間がかかるのだろうとか。
巣穴はどの程度の規模なのだろうとか。
うっかり落っこちてしまう可哀想なミツユビカモメの雛を,どの程度の頻度で得ることができるのだろうとか。


そういうことではない。
そういうことを考えていても,絵本は書けない。


絵本を書くには,全く新しいストーリーを想像しなければならない。
何か根本的に思考の軸を変えなければならないのではないかと思う。
とても真似できたものではない。凄い。


嗚呼,帰国後に本書「薫風のトゥーレ」を読めることが今から待ち遠しい!

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最後はカリフォルニア大学の鈴木紀之博士。通称,ノリさんである。僕が博士課程を過ごした東北大学の研究室で隣の席に座っていた,ダンゴウオのような愛らしい顔をしたまっちょでおちゃめでかっこいいお兄さんである。


ノリさんと過ごした博士課程の 3 年間は,それはそれは素晴らしいものであった。ノリさんがいなかったら,今の僕はない。今にも増して幼いままだっただろうと思う。僕にとっては大切な友人であると同時に,師匠のような存在でもある。


隣の席でノリさんが頭を抱えている。
そしてゆっくりとこちらを向き,持ち前の重低音を効かせて問いかける。


ノリ:...モリーちゃん,なんでこの世には男と女がおるんやろう。


僕:な,なんででしょう。。


明くる日,またも隣の席でノリさんが頭を抱えている。
そしてゆっくりとこちらを向き,持ち前の重低音を効かせて問いかける。


ノリ:...モリーちゃん,なんでヒトはバンジージャンプをするんやろう。


僕:なな,なんででしょう。。


こんなたわいもない,それでいて深い深い議論を,僕らは毎日のように繰り返していた。


すごい進化 -「一見すると不合理」の謎を解く
鈴木紀之(著)
中公新書,2017/05/19


嗚呼,帰国後に...,違う!


本書はすでに手元に届いている!
ノリさんありがとう!ノリさん最高!


Amazon にもいずれ書評を載せよう。絶対,載せよう。
贔屓目抜きで「星 5 つ」確定だし,ここで宣言しても問題ない。

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他の方々もオランダでひとり寂しくブログを書いている僕に,著作を送ってくださっても良いですよ!アドレスは下記ですよ!


Arctic Centre, University of Groningen, Aweg 30, 9718 CW Groningen, The Netherlands


送ってくれたら Amazon に書評も書きます!むっちゃ書きます!
面白くなかったら書きませんけど!


見聞読考録 2017/09/03