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見聞読考録

2017-10-31

(ほぼ)二徹の週末

分子実験のために訪れていたドイツのズュルト島を後にし,本拠地フローニンゲンに戻ってきた。怒涛の一週間だった。


実験の内容は今夏にスピッツベルゲン島で採集したホンケワタガモの糞中の DNA を抽出するというシンプルなものだったが,糞中から DNA を抽出するというのは,僕にとって未知の領域であった。そして続く失敗の日々。


何しろ何が成功なのかよくわからない。DNA が取れていなかったとき,それは実験のやり方がよくなかったのか,それとも元々のうんこが腐っていて DNA が入っていなかったからなのかがわからない。実に難解で,非常に刺激的だった。


やったことのない実験をするというのは,楽しい。解決策を模索する過程を,謎解きのように楽しむことができる。それは良い。それは良いのだが問題は何と言っても,時間がないことであった。100 以上のサンプルがあって,一週間しかないというのに,失敗している暇などあるはずがない。実験に失敗はつきものなのに,失敗している暇がないとはこれいかに。最初から破綻していたわけだ,本来なら最低でも二週間は欲しいところであった。


でも,ドイツの受入研究者の都合もありどうすることもできず。結果として,土曜の朝から月曜の朝まで,研究所で過ごす羽目になってしまった。


閑散とした週末の研究所の,人っ子一人いなくなった暴風吹き荒れる嵐の夜に,Avicii,The Starting Line,Green Day,Sum 41,Ben Folds Five,The Offspring,Marilyn Manson,Maximum the Hormone,Judy and Mary あたりのテンションの高すぎる音楽を爆音で響かせて,妙に冴えた頭を揺らして,血眼の目を見開いて,無理やりに乗り切った。土曜の 22:00 頃に研究室の学生がふらっと現れたときには,心底驚いた。向こうもびっくりしたようで,お互いにおっきな声を出して飛び跳ねてしまった。


二日連続の徹夜である。何なら金曜の夜も似たようなものであった。過労死という言葉が脳裏に浮かんだ。こんな無茶をしたのはいつぶりだろうか,昔はよくやっていた気もするが。とはいえ,研究所のソファで少し仮眠を取ったのでそこまでの無理はしていない。はず。たぶん。


無理をした反動からか,フローニンゲンへと向かう帰り道から今日の朝に至るまでの 30 時間のうち,およそ 15 時間は寝ていた。それこそ泥のように寝ていた。今回みたいなときには仕方ないとはいえ,長期的に見ていかに徹夜が効率の悪いことかかがよく分かる。


無事にノルマを達成できたから良かったものの,こんな無茶はもう二度としたくないものだ。


ふぁ〜あ。まだ眠い。。


見聞読考録 2017/10/31

2017-10-30

ビートたけしの知らないニュース

今日 10 月 29 日,テレビ朝日「世界がザワついたマル秘映像・ビートたけしの知らないニュース」という番組に,殻振りカタツムリの研究が紹介されました。実験にかまけて,すっかり忘れていました。


論文が公表されてから約一年,未だに取り上げてもらえるのはありがたい話です。ビートたけしさんのコメントをもらえたら,もっと嬉しかったですが。


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各新聞社やテレビのニュース番組,Nature, New Scientist, National Geographic などの科学誌が逸早く反応して,しばらくしてからテレビのバラエティ番組やクイズ番組などに取り上げられるという,情報の浸透する様を目の当たりにしている気分です。この後も長らく高い評価が続けば,次は教科書に載るということになるのかもしれません。そうなることを目指して,これからも「面白い」研究を心がけたいと思います。マル。


追記:


「ジャイアント馬場みてーだな」。ビートたけしさん,コメントしてたみたいです。なんか言ってるなとは思ってたけど,聞き取れなかった。


結論,「エゾマイマイはジャイアント馬場」。


たけしさん,コメントありがとうございました。


見聞読考録 2017/10/29

2017-10-28

ドイツのテレビ番組

分子実験のために,ドイツのズュルト島にあるアルフレッドウェゲナー極地海洋研究所(AWI, Alfred Wegener Institute)を訪ねています。


そんなタイミングの 10 月 25 日に,ドイツのテレビ番組に自分の殻振りカタツムリの研究が紹介されました。クイズ番組の問題になったようで,放送から一週間,10 月 31 日までは Web 上でも視聴できるそうです(カタツムリの問題が出てくるのは 33:40 頃から)。何を言っているのかはさっぱりわからなかったけれども,カタツムリの映像を見る出演者が楽しそうだったので良しとします。これからもこんなふうに,世界中の人に楽しんでもらえるような研究ができたらいいなぁと思いましたとさ。


ARD, Wer weiß denn sowas?

http://www.ardmediathek.de/tv/Wer-weiß-denn-sowas/Die-Sendung-vom-25-Oktober/Das-Erste/Video?bcastId=29322328&documentId=47184850


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目の前に広がる美しい干潟の誘惑に逆らえず,実験を差し置いて野に出てしまった。

しかし,後悔はしていない。


この土日に,寝る間も惜しんで実験して巻き返せば良いだけの話だろう?

や,やったろうじゃんか。


見聞読考録 2017/10/28

2017-10-22

オランダって素晴らしい

今,ふと家の窓から外を見やると,知らない小太りなお姉さんとバッタリ目があった。

と,同時にお互い片手を上げて,ニコッと挨拶。


単純なことだが,そんなところって世界中探してもほとんどない。

オランダでは当たり前。日本でも...そうだと良いけど。特に大きな街では期待できないだろうな。


ここフローニンゲンはヨーロッパの中で一番良いところである。

なぜなら,フローニンゲン出身のフローニンゲン人がそう言っていたからである。

贔屓だ,とかそういう苦情は受け付けない。


良い場所を選んだ。自分を褒めたい。


見聞読考録 2017/10/22

2017-10-19

おっと

久しぶりの投稿になってしまった。

安心してください,生きてますよ(←個人的には最新ネタです)。


「来年度からの居場所がない」というのはここのところ毎年のように頭を抱える問題なのだが,まさか二つの選択肢からどちらか一方を選ばなければいけないという贅沢な悩みを体験することになろうとは思いもよらなかった。


京都にするか,ニュージーランドにするか。

はぁ,なんという贅沢な選択肢。


どうしよう。

どうしよう。


すなわち,どちらかにはお断りのメールを打たねばならないということになる。

えー,嫌だ。鬱だ。。


見聞読考録 2017/10/18

2017-10-01

駅と空港とピアノ

ヨーロッパでは,公共の場にピアノが置かれていることが多い。

勝手に弾いて良いことになっており,大抵は誰かが椅子に座って音楽を奏で,自分の世界に浸っている。


長らく拠点にしているフローニンゲンの中央駅にもある。

アムステルダム中央駅にもあった。

ルクセンブルクの旧市街にもあった。

この夏,滞在したニーオスルンの基地にもあった。


そしてここ,スキポール空港にも立派なグランドピアノが置かれている。


もう 2 時間以上もキャップを後ろ向きに被ったお兄さんが,上手に弾き続けている。

深く腰掛けすぎた姿勢や,踏みっぱなしの右足のペダルに,独学感が見え隠れする。

どの曲も独創的にアレンジされ,とても楽しそうに仕上がっており,たいへん素晴らしい。


かと思ったら,違うお兄さんが 2 人,やってきた。

ああ,大声で歌いだした。ああ。ああ。


ヨーロッパには音楽が溢れている。

下手だろうと誰も気にしないし,聞く人も優しさに溢れている。


たいへん素晴らしい。

日本でもやったらいいのに。


見聞読考録 2017/09/30