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Cerebral secreta: 某科学史家の冒言録 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2009-10-15

[] Society for the History of Technology (SHOT)

http://www.historyoftechnology.org/

SHOTという学会は、HSSや4Sに比べて小さいのだが、おそらくもっともよくできた学会である。レジストレーションのときから、その雰囲気のよさ、居心地のよさを感じずにはいられない。ときどき4SやHSSと年会を共同開催したりするとき、HSSの側にいると、コーヒーブレークのときにHSSのほうは水しかでないのに、SHOTのほうでは本当にコーヒーが出て、和気あいあいとしているのを横目で眺めたりするはめになる。一つにはあまり大きくないために、中にいる人たちがおたがいに知りあいであることだろう。そして、小さいために団結が強い。だからといって決して排他的ではなく、むしろその反対である。

少し前のことだが、SHOTの会長になったこともあるロザリンド・ウィリアムズと話しをしたときに、彼女は、エンジニアのコミュニティのことを言っていた。彼女自身がエンジニアの家に生まれていて、アメリカのエンジニアのコミュニティに特別の思い入れがあり、子どものころからそのフレンドリーな雰囲気を感じていたらしい。そして、SHOTというのはそういったアメリカのエンジニアのコミュニティを歴史家のコミュニティに再現したようなものであるらしい。SHOTの人たちはたがいに助け合う精神をもっていて、とくに若手の育成に熱心であり、そうして支援をうけて成長した人たちが、一人前になると学会の運営に積極的に関わり、献身的な努力をするようになる。研究者のコミュニティとして一つのお手本だといっていいだろう。若手の育成に関しては、いろいろな側面があるのだが、一つはRobinson Prizeという賞で、これはもともと大学院生や学位を取得してあまり長くない人たちの学会発表に対する賞だったのだが、今年からは、SHOTで初めて発表する人が対象になった。あとGraduate Studentブレークファーストというのもある。

SHOTに所属する研究者は大部分がかなり正統的な技術史家で、4Sに多くいるようなラディカルなひとはむしろ少ない。別に学閥があるわけではないのだが、コーネルや、MITや、ハーバードの人たちが目立っている気がする。ただ、正統的な技術史がメインであるにも関わらず、SHOTの人たちは新しいアイデアに対して非常に開放的で、案外、オーソドックスでない発表もある。前にアムステルダムであったポルノグラフィーについてのパネルもその例だ。同時に、北米の外からの参加者をひきつけることにも熱心であり、確か3年に一回は北米の外で年会を開いているはずである。だれかオーガナイズする人さえいれば、よろこんで日本に来るだろう。さらにInternational Scholarという、一種の名誉職みたいな制度があって、これになると年会費が免除される。

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