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kenjiro-tの日記

2012-03-29

『「反原発」の不都合な真実』への疑問

23:06

「反原発」の不都合な真実 (新潮新書)

「反原発」の不都合な真実 (新潮新書)

著者の藤澤氏は池田信夫氏と共に原発力村の住民ではない原発推進者のようだ。その主張は、「1TWhの電力エネルギーを生み出すのに必要な人命で比較すると、原子力石炭や石油などの化石燃料による発電より1000倍程度安全である。よって原発は使い続けるべき」ということらしい。


そのデータの内訳は以下。

原子力犠牲者(0.03人/TWh)チェルノブイリ犠牲者を4000人とし、50年で割って=80人/年。発電量2700TWh。よって、80/2700=0.03人/TWh

火力発電の犠牲者(21人/TWh):100万人が大気汚染が原因で死亡しているが、そのうち火力発電による死者数は3割の30万人。発電量1万4000TWh。よって、300000/14000=21人/TWh 


いかにも米国金融にどっぶり浸かった新自由主義論者の書きそうな内容である。藤澤氏は金融系では人気のあるブロガーらしいが、その知名度だけで騙されていはいけない。素人視点ながら、本書の内容への疑問点を幾つかあげてみたい。


犠牲者(死者)以外にも比較対象すべきことはある

  • 比較すべきは「電力量と人命」だけでよいのか。藤澤氏は、勝間和代氏の事故発生当初の主張と同じく、「人が死ぬ」リスクだけを考え、放射線放射性物質による『病気や障害』などについての、考えられていない。
  • 原発は、人間への物理的な影響(死、障害)以外にも、『精神的な被害』を生み出す(「事故への恐怖」、「環境汚染への懸念」、「健康への不安」、「仮定の崩壊」、「仕事の喪失」、「将来への絶望」、「生きる意欲の喪失」など)。
  • 原発は、事故による放射性物質により、『人が住めなくなる地域や、除染もできないような国土』をつくってしまう。更には国境を越えた『海洋汚染』まで引き起こす。

原発犠牲者について


●火力発電の犠牲者数は、日本には合致しない

  • 藤澤氏のデータは全世界のものを用いているが、日本の発電所大気汚染原因の除去技術は、世界と比べ物にならないほど高いので、このデータを日本に当てはめれば、死者数はこれほどにならないはずである。

以下、北陸電力のサイトから引用

http://www.rikuden.co.jp/hatsudensyo/taikiosen.html

f:id:kenjiro-t:20120324213906g:image


その他にも、クライメートゲート事件でも明らかになった「温暖化CO2懐疑説」が出回っている中、それには触れずに、火力発電は地球温暖化の張本人であるとしている。

更に、核燃料廃棄物に関しては

核燃料廃棄物は、その量が非常に少ないことから、過去に問題になった水銀重油などの海洋汚染とは、また違う危険性なのです。ガラス固形体にして、頑丈な容器にいれ、海溝に沈めれば、やがてプレートといっしょに地球内部に巻き込まれていきます。国際的に厳しい規制のもとで、環境に十分に配慮しながら、ガラス固形体を沈める、というのはひとつのオプションとしてのこしていいのではないかと思います。

ガラス固形体にする技術もまだ十分に確立していないし、それを深海に沈めた場合の水圧に耐えられるかという問題など、よくも、ま〜こんないい加減なことを言えたものである。

反原発団体が、よくこの高レベル放射性物質を理由に原子力を批判していますが、正直いって、僕には何が問題なのかさっぱりわかりません。反原発団体は、何世代にもわたり危険な放射性物質を埋めておくのは、危険だといいますが、彼らの想定を着ていると、何千年の間に一国の文明が一時的に滅び、その後にやってきた子孫が発掘して被爆して癌になったら大変だということらしいのです。

何千年後の話をしているのではなく、その間ずっと廃棄物を管理・維持する必要があるのです。その技術すら確立していないのに...

D


アマゾンの売れ行きを見る限り、そこそこの売れ行きらしい。

言論の自由はあるので、原発推進の主張をするのは勝手であるが、読み手が本書の内容を盲目的に信じることのないよう。

HazelHazel 2012/03/30 00:24 逆の方向でも考えてみてはいかがでしょうか?

>『病気や障害』などについての、考えられていない。

火力発電による病気や障害もあるはずです。ただ、比較してないだけではないでしょうか?
というか死者数を比較すれば病気や障害の数も同じ傾向であることは容易に想像できます。

>『精神的な被害』を生み出す

これも火力発電と一緒。むしろ反原発派の人たちがいらぬ精神的被害を拡大させているように思います。

>更には国境を越えた『海洋汚染』まで引き起こす。

中国の大気汚染は国境を越えていましたね。

>最悪の事故になった場合に、犠牲者がとてつもなく大きな数になる可能性がある

最悪の事故になれば化学プラントの爆発でも飛行機事故でも、なんでも犠牲者はとてつもなくなります。
最悪の事故にならないように頑張りましょう。

>日本の発電所の大気汚染原因の除去技術は、世界と比べ物にならないほど高い

日本の原発技術も高い(?)のでチェルノブイリ事故と一緒にするのはおかしいと思います。

逆の立場にたってみてもその見解は納得できるものなのか考慮することも大事だと思います。

leafveinleafvein 2012/03/30 08:36 原発事故によって起きた被害、弊害は本当に甚大ですよ。破壊によってその場所で生活するのに障害が出来ましたし、東電の杜撰な管理は東日本を実際放射能汚染させました。去年の春から初夏頃、子供達が多く倒れたニュースを聞いていませんか。被災前は夏頃を中心に報道された出来事が前倒しされたように起きました。放射線汚染によって起きる障害は人体に長く蓄積されることで発生するものもあるのです。汚染されてない環境で生きてる時に発症する病気が早い時期に頻発しやすくなるのです。個人的な感想を言えば日本程原子力とその副産物の管理に向いてない国はない。フィンランドのオンカロであれば地震がなく、何億年の地層が長い期間、環境の変化なく保ち続けることが出来るからまだ良い。原発を建設、稼働している間に処理をするとき、事故が起きたときに働いている人達、住んでいる人達に掛かるリスクを安全が守られるレベルまでに対処方法が開発されなかったことが問題ですし、原発保護しようとする価値がもうわからないのです。例え不便であっても安全に管理出来るものが良い。

stoomstoom 2012/03/30 20:55 逆の立場からみても原発はなしだなぁ…

stoomstoom 2012/03/30 20:55 逆の立場からみても原発はなしだなぁ…

kenjiro-tkenjiro-t 2012/03/31 21:19 久しぶりの書評へのコメントであるので、返答してみる

> lHazel 2012/03/30 00:24 逆の方向でも考えてみてはいかがでしょうか?
>
> >『病気や障害』などについての、考えられていない。
>
> 火力発電による病気や障害もあるはずです。ただ、比較してないだけではないでしょうか?
> というか死者数を比較すれば病気や障害の数も同じ傾向であることは容易に想像できます。

Hazel さん、批判するのであれば、貴方が比較すべきデータを自ら探すべきです。
私には容易に想像はできません。

> >『精神的な被害』を生み出す
>
> これも火力発電と一緒。むしろ反原発派の人たちがいらぬ精神的被害を拡大させているように思います。

福島やその周辺での、精神的被害が発生しているのは事実です。
福島の非難区域の方々や、農業や水産業関係者の苦悩が理解できないのでしょうか。
人間として悲しいことです。

> >更には国境を越えた『海洋汚染』まで引き起こす。
>
> 中国の大気汚染は国境を越えていましたね。

確かに国境を越えています。ただし、中国の大気汚染は火力発電所だけが
原因なのでしょうか?ネットで少し調べただけですが、工場や排気ガスの
影響も大きいようです。
仮に火力発電所が大きい原因だとしても、中国の火力発電所では、
粗悪な石炭を使っていたり、コスト削減の為、空気清浄システムを
導入していないことが原因のようです。

> >最悪の事故になった場合に、犠牲者がとてつもなく大きな数になる可能性がある
>
> 最悪の事故になれば化学プラントの爆発でも飛行機事故でも、なんでも犠牲者はとてつもなくなります。
> 最悪の事故にならないように頑張りましょう。

今比較しているのは火力発電所と原子力発電所です。問題を
すり替えようとしてますね。
仮に火力発電所が事故を起こして、首都圏全域で避難するような
ことになるでしょうか?数十年も人が住めなくなる国土を発生
させるでしょうか?

飛行機事故や化学ブラントでも、そのような規模の事故は
発生しないと思いますが...

>>日本の発電所の大気汚染原因の除去技術は、世界と比べ物にならないほど高い
>
>日本の原発技術も高い(?)のでチェルノブイリ事故と一緒にするのはおかしいと思います。
>
>逆の立場にたってみてもその見解は納得できるものなのか考慮することも大事だと思います。

もし火力発電所が原子力発電所より危険であれば、自ら
「火力発電所は危険である、即刻廃止すべき、首都圏に設置すべきでない」
のような感じで運動を起こしたり、本を書かれてはいかがですか?

以上

deradera 2012/06/25 11:47 >もし火力発電所が原子力発電所より危険であれば、自ら
>「火力発電所は危険である、即刻廃止すべき、首都圏に設置すべきでない」
>のような感じで運動を起こしたり、本を書かれてはいかがですか?

どちらがより危険か、では無くどちらも危険では?という意見のように思いますが。
原発が一番危険なんだ!という答え以外は、
浅はかだ、人の痛みを解らない悲しい人間だ!と決め付けてしまうのは公平ではないですね。

原発が悪い のであれば、原発のどの部分がどのように悪く、どうすればいいかの代替案が必要かと思います。
火力もまた同じですが。
代替案がなければ、ただのクレーマーと同じです。

toppotoppo 2012/07/01 00:52 色々と比較が難しい事はあるが、純粋に発電と死者の相関関係を一切の情緒的要素を除外して比較しているの本書です。
確かにそこを理解せずに本書の内容を盲信するのは良くないですが、そこを理解せずに批判するのも的外れというものです。

>もし火力発電所が原子力発電所より危険であれば、自ら
>「火力発電所は危険である、即刻廃止すべき、首都圏に設置すべきでない」
>のような感じで運動を起こしたり、本を書かれてはいかがですか?

なんでこうなるのでしょうか?
我々は既に、火力発電のそういうリスクを暗黙的に許容してるんですよ。
だからなぜ原発だけ?っていう話です。

>福島やその周辺での、精神的被害が発生しているのは事実です。
>福島の非難区域の方々や、農業や水産業関係者の苦悩が理解できないのでしょうか。
>人間として悲しいことです。

確かに事実ですし、農業や水産業関係者の方々は大変な苦労をしているはずです。
我々の想像以上に。しかし、原発をやめれば、同じように大変苦労する人は大勢います。
で、この本はそういった比較するのが曖昧な要素は排除しています。
苦労は数字に表し難いからです。(だから無視していいという意味ではなく、本書の立ち位置としてという意味です。)

あなたが正義感があり、人として魅力的な部分をお持ちなのは、この文章から良く分かります。
しかし、本書ではそういった部分を一切排除し、
客観的に、比較可能なデータを可能な限り原子力は危険だという側に倒しながら比較した結果を元に
記されています。それでもなお、原子力発電は安全なエネルギーだという事です。

おそらくあなたのような人は、大気汚染による喘息などの器官系の障害をもつ家族の
ドキュメンタリーを見るとか、実際にあって話をきくとかすれば、考えが少しは変わるかもしれません。
病気になるかもしれない。というのとは訳が違い、実際に病気になり、実際に苦しんでいるんです。

情緒的な話を最後に書きましたが、お気に召さないようでしたらすみません。

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