閉店
- 朝
閉店日の今日は眩しすぎるほどの晴天。
おかげで気持ちを落ち着ける余裕が出来ました。
マスコミは地方各局ほぼ全社が駆けつけています。
本社から応援に来てくれたスタッフは対応に追われます。
今日は社長、新社長が来ています。
型どおりの全体朝礼を済ませ各階の入口を確認に行きます。
開店までまだかなりの時間がありますが、かなりのお客様にお待ちいただいてます。
売場での朝礼ではすでに涙もありました。
- 開店
店の周辺には数百人のお客様の列が。
予定の開店時刻を5分だけ早めます。
いよいよ最後の営業が始まりました。
かなりのお客様で各階とも賑わってます。
昨日の来客数が2万7000人位でしたから、今日は3万人を超えるかもしれません。
25年前の開店の時には、3万5000人位のお客様にご来店頂いたそうです。
- 記者会見
最後の営業日にあたってマスコミに対する記者会見が行われました。
各社からかなり厳しい質問がなされています。
多くは今後の体制と雇用問題についてでした。
- 賑わい
みんな最後の接客に大忙しです。
商品は在庫を出しても出しても無くなっていきます。
最高の笑顔で最高のサービスを・・・。
一生懸命頑張ります。
お昼を過ぎた頃には2万人を突破しました。
お店の平日来客は平均6000人です。
- 久しぶり!
閉店を聞き多くのOB&OGが駆けつけてくれました。
倉敷出身で全国に赴任していた人たちも休みを取って応援に駆けつけてくれています。
みんな最後の時間を共にしたいと思っているのです。
- ファイナルコンサート
地域の学生によるフルートコンサートも催されました。
多くのお客様に囲まれて緊張していた学生さんも、いい思い出になりましたと言ってくれてました。
- いよいよ
閉店の時刻、午後7時が近づいてきました。
泣いている人がいます。
笑ってる人がいます。
それぞれの倉敷三越が終わりになります。
2階の吹抜け通路部分にお客様が集まっています。
でももう閉店なんです。
閉店を惜しむ声が多く聞こえてきます。
でももう閉店なんです。
- お見送り
いつもの様にお客様をお見送りします。
いつもと変わらない笑顔でお見送りします。
ただいつもと違うご挨拶。
「25年間ありがとうございました。お気をつけてお帰り下さい。」
またどうぞお越しくださいませ、が言えないのです。
閉店時刻を過ぎてもお客様に帰って頂けません。
2階のお客様にお願いしました。どうかお帰りいただけますでしょうか・・・。
こんな言葉は言いたくありませんでした。
- 本当にありがとうございました
閉店予定時刻を30分以上過ぎた頃に、ようやく最後のお客様のお見送りが出来ました。
でも、お店から出たお客様は誰も帰ろうとしません。
玄関の外は人で一杯です。みんな待ってくれてます。
外で待って頂いたお客様に店長が最後のご挨拶を。
「25年間多くのお客様をお見送りさせて頂きました。最後は我々がお客様にお見送りして頂きました。本当にありがとうございました。」
最後の鍵を閉めたときお客様の誰かがエールを送って下さいました。
「25年間ありがとう!また帰って来いよ!」
大きな拍手も頂きました。
店長がお客様から花束を頂きました。
本当にありがとうございました。
倉敷三越は本日閉店致します。
ずっとこらえていた涙がワッとあふれてきます。
泣かないとずっと決めていたのに、泣いてしまいました。
私はこのお店が大好きです。
多くの仲間、友達がいます。
思い出がいっぱい詰まってます。
なによりお客様に愛されていたはずです。
そんな寂しさ、悔しさがあふれてしまいました。
2度とこんな思いはしたくありません。
絶対に。