唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

唐沢俊一が『給与明細』に出演していた。

 テレビ東京系列で7月27日深夜に放送された『給与明細』という番組に唐沢俊一が出演していた。7月20日深夜に引き続いての出演なのだが、かなりデタラメなことを言っているので番組の内容を紹介することにした。

 まず、冒頭、唐沢俊一が「サブカルチャーの職人」であると説明される。ちなみに唐沢俊一サブカルチャーの現状についてこのように語っている。『オタク論!』(創出版)P.174より。

書店のサブカル棚は、日本中で1日百店単位でなくなっているんですよ。

 ふーん、大変だなあ。そして、唐沢の肩書きと唐沢に関係する言葉がテロップで紹介される。「カルト物件評論家」「朝日新聞書評委員」「トリビア」「一行知識」「サブカルチャー」「コラムニスト」「と学会」…、この辺はいいとしても、「UFO」ってのはどうか。番組のスタッフは盗作のことを知っているのだろうか。あと、「落語家」というのもちょっと…。そして、ナレーションで「近年では映画監督、小説家、朝日新聞の書評委員などもつとめる」と説明されていた。…小説は来月出るからまだいいとして、映画監督?
 ここから、前回のおさらいとして、やるせなす・中村豪尾崎ナナが唐沢の「蔵書数2万冊超、総額1000万円の」書庫を訪れるシーンが流れる。1冊500円か。誰が計算したのか知らないけどザックリしてるなあ。前回の放送の詳しい紹介はこちらで。
 さて、唐沢に「夜の雑学」を披露させるために一行は新宿歌舞伎町へと赴く。コマ劇場前にて唐沢は歌舞伎町にまつわるトリビアを披露する。なお、これから唐沢のトリビアを紹介していくが、唐沢のしゃべりはそんなに流暢でもないので(穏便な言い方をしてみた)、当ブログが要約し必要に応じて補足を加えて紹介してあることをお断りしておく(もちろん出来る限り忠実に紹介しているつもりである)。なお、唐沢のトリビアは赤字で書いている。
「歌舞伎町は元から娯楽街にしようとして作った」
「戦後空襲で何も無くなった時に新宿に歌舞伎座を作って、その周りに遊興施設を作って日本の娯楽の中心地にしようと政府が計画した」
「様々な飲食店を誘致しあとは歌舞伎座を作るのみだったが、結局歌舞伎座の誘致に失敗してしまい、その名残として歌舞伎町という町名になった」
「取締りが厳しくなかったため飲食店がいっぱいできた」

というものなのだが、おかしなところがいろいろある。まず、歌舞伎町に歌舞伎座を誘致しようとしたことはない。「菊座」という歌舞伎劇場を建設しようとしていたのである。次に「政府が計画した」というのがおかしい。東京の都市作りについて計画するのは東京都のやることである。歌舞伎町という町名を名づけたのが石川栄耀東京都建設局都市計画課長であることからもそれは明らかである。よく考えてみれば誰にでもわかりそうなもので、番組内でも中村豪に「政府が街づくりを計画したのに取り締まりは厳しくなかったんですね」と突っ込まれていた。番組内では「雑学の神様」と呼ばれているのに一発目からガセとは。
歌舞伎町ルネッサンス
 そして、「ClubLaputa」に移って「官能的な深夜の雑学」を披露する唐沢。最初に「キャバクラ嬢の盛りを高くする髪型は、もともとベルサイユ宮殿で発生したもの。王様や貴族に目をかけてもらうために目立とうとして髪を立ててみたり、花や大根やカブやセロリを挿した人もいたという」というトリビアを披露。だが、これもヘンである。唐沢が言っているのはプーフ・スタイル(pouf)のことなのだろうが、これはマリー・アントワネットが始めたヘアースタイルで、ファッションリーダーだった彼女を真似ようとして流行ったものである。実際にマリー・アントワネットは髪にキャベツやニンジンを挿しているし(ここを参照)、頭に模型の船を載せたエピソードなどは割りと有名なのでは。
 次に「ClubLaputa」にちなんで、「ラピュタというのは、『ガリバー旅行記』に出てくる空に浮かぶ島のことで、もともとは春を売る女性のことを意味していた」というトリビアを披露。これは正しい。スペイン語で娼婦を意味する“La Puta”がラピュタの語源である。しかし、そのトリビアを聞いたキャバクラ嬢実に微妙な表情をしていた。そりゃあ、自分のいる店の名前の由来がそんなんだったと知ったら、いい気持ちがするわけがないってことくらいすぐにわかりそうなものなんだが。唐沢俊一って本当に空気が読めないんだなあ。あと、『天空の城ラピュタ』が海外でタイトルが変更されている理由が、まさに“La Puta”のせいなんだが、これもスルーしてしまった。
 ここからは「世界一受けたいSEXY授業」と題したエロ雑学のコーナー。まず、「オナニーは旧約聖書に登場するオナンという人物にちなんで名づけられた」というトリビア雑学レベル1という感じですね。
 さらに続いて、「日本最古の体位は後背位だった」というトリビア。はい、「トンデモない一行知識の世界」既にガセビアとして指摘しています。やっぱり、「神様がセキレイを使いに出した」ってウソを言っている。まあ、「『古事記』『日本書紀』によれば」と言っているあたりは、マシになっているかもしれないが…。
 そして、問題の「正常位をやる動物って人間とイモリしかいない」というトリビア。なぜ問題なのかというと、このトリビア、前回の予告編で「イモリ」の部分だけを抜かして放送されたのだが、その時点で既に「人間以外でも正常位をやる動物ってたくさんいるぞ!」と2ちゃんねる唐沢俊一スレ@一般書籍板や「トンデモない一行知識の世界」放送前からガセだと認定されていたのだ。この秒殺されっぷりはもはや名人芸だ。しかも、イモリは交尾自体しないのだから、正常位でやるわけがない。これも「トンデモない一行知識」が指摘済み。
 そして、「花びら大回転は大阪が発祥で、『お姉ちゃんの花びら舐め放題』と大々的に呼び込みを行っていたが、取締りが厳しくなったのでわざと言葉を濁したり、携帯をかけるフリをして呼び込むなどして、いろいろと工夫をしている」というトリビア
 次に「ちょっとエッチな人体の神秘」のコーナー。「人体で首という名前のつく部分はたくさんあるが、首というのはジョイント(つなぎ目)を意味する言葉で、首が頭と肩をつなぎ、手首が手のひらと腕をつないでいる。しかし、乳首だけ先につながる物がない。だから、赤ん坊や恋人が唇を当ててくっついているのが正しいありかた。吸ってくれる人がいて乳首は初めて完全な状態になる」というトリビア。だから、「乳首を完全な状態にしようよ」と口説いてみてはどうか、と唐沢は言うのだが…、乳首の「首」は先端を意味しているに決まっているではないか。ためしにgoo辞書で「首」を引いてみよう。

 くび 0 【首/▼頸】
[一]
(1)頭と胴とをつなぐ、やや細くなっている部分。頸部。
(2)(1)を含めて、そこから上の部分。頭部と頸部全体。
「―実検」「―を垂れる」
(3)物の(1)とよく似た細くくびれた部分。
「つぼの―」
(4)琴(きん)の転軫(てんじん)の下のくびれた部分。
(5)琵琶の胴と糸巻の間の細い部分。三味線の棹(さお)にあたる。鹿頸(しかくび)。
(6)〔首を斬(き)られる意から〕職を失うこと。解雇。馘首(かくしゆ)。
「今日限り―だ」

 乳首の「首」の意味は(2)である。「首を取る」と言えば頭も取ってくるだろう。つなぎ目だけを取ったりはしない。船のへさきのことを「艦首」と言うしね。
 続いて「乳首が赤いのは赤ん坊が最初に見える色が赤なので、赤ん坊が見つけやすいから」というトリビア
 そして「何回もHをした後でおしっこがまっすぐ飛ばないのは、尿道の中の筋肉が腫れてしまうため。尿道にはライフルのような筋が切られていて、精子も弾丸のように飛ぶ」というトリビア
 さらに「ホラー映画を観て叫んでいるときとセックスで絶頂に達しているときの体の反応はおなじ」というトリビア。性的興奮と恐怖心はよく似ていて(ここで例の「吊り橋効果」を持ち出す)、ホラー映画を観て叫んでいるときはアソコも濡れているはずだと唐沢は言うのだが…、中学生のエロ妄想じゃないんだから。最後に「不倫でセックスするのが気持ちいいのは“見つかったらどうしよう?”という不安でドキドキするのを体が“恋をしている”と勘違いするため」というトリビアだが、「トンデモない一行知識の世界」で指摘されているガセビアガセに始まりガセに終わるのはさすが
 しかし、ここで驚きの事態が起こる。唐沢が最後のトリビア(ガセ)を披露し終わると画面にこのようなテロップが出たのだ。

※今回紹介したのはあくまで雑学です。全てが裏付けの取れた事実とは限りません

…って、ええっ!?雑学だったら間違っていてもいいのか?雑学というのは「雑然とした知識の集合」ということであって、間違っていてもいいってものじゃないだろう。唐沢がガセまみれだということを知っていてやったのだとしたらタチが悪い。

 さて、唐沢の「給与明細」は、月収10万円で、他は奥さん(ソルボンヌK子)にお願いして経費で済ませているとのこと(唐沢スレ@一般書籍板では脱税疑惑も出ていたが)。金を持たせておくと本を買いすぎるから、ということらしい。年収は多いときは4〜5000万円、少ないときは700万円を切るらしい。
 最後に「雑学を生業に生きる」唐沢俊一の小説『血で描く』の宣伝をして番組は終了。生業ならもう少しクオリティを高くしてほしいものだが。そう言えば、予告編で流れた「僕はもう、ヤリながらも常に科学」というシーンは出なかったな。
 
 というわけで、唐沢俊一はやっぱりテレビでもガセだらけであった。唐沢スレ@一般書籍板では、「唐沢はこんなにテレビに出ているぞww」と喜んでいる、かわいそうな人がいるけど(ここにも一度来てくれないかな)、テレビに出る人はみんなエラいというなら、犯罪者だってエラいということになってしまう。テレビに出るなら質も当然問われなければいけないという話だ。そういう意味では、今回の出演は残念な出来だったと言わざるを得ない。なお、唐沢俊一のテレビ出演といえば、「ワシントン殺人事件」という面白事件があるので、をまだご存じない方は、まとめwikiで詳細を見ることをおすすめしておきます。

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