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唐沢俊一検証blog

2008-10-21

イギリスの知識は問題ガイ?

19:51

唐沢俊一トンデモ事件簿』(三才ブックス

CASE17「イギリス人とテロの深い関係」P.163より

思えばイギリスというのは妙な国で、爆弾テロを、お祭りの日にしてしまうのである。 

 イギリスの毎年11月5日はガイ・フォークス・デイといって、花火を盛大に打ち上げたり、子供たちが花火を持って町中を走ったりして祝う。このガイ・フォークスという人物は、やはりアイルランド出身のカトリック教徒で、1605年のこの日に、カトリック教徒たちが上院の開式に合わせて議事堂に爆弾をしかけ、開院式に参加する国王ジェームズ一世を暗殺しようとしたテロ計画の実行犯であった。

 計画は仲間内から密告者が出て未遂に終わり、ガイ・フォークスは拷問の末、反逆罪で四つ裂きの死刑に処された。いわば国家転覆を図った重大犯なのだが、彼はまた伊達男として有名で、いわゆる“ナイス・ガイ”のガイというのは彼の名前から取られたといわれているくらいのハンサムだった。その一事で、本来大逆罪犯の、天も許さぬこの男を、イングランド人はヒーローとしてまつり上げ、彼の名を冠した祝日を設けて、爆弾テロにちなんで花火をどっかんどっかん打ち上げて祝うのである。何を考えているのか分からない。

 イギリスで11月5日が祝日になったのは、ガイ・フォークスGuy Fawkes)たちが計画したとされるいわゆる「火薬陰謀事件」(Gunpowder Plot)が未遂に終わったことを祝うためであるガイ・フォークスは英雄視されているわけではなく、11月5日にはガイ・フォークスの人形が町中を引き回され、最後には燃やされてしまうのである。それから、ガイ・フォークスアイルランド出身ではなくヨーク出身である。「イングランド人」というのもどういう意味で用いているのかよくわからない。もうひとつ付け加えると、「火薬陰謀事件」には当時のイギリス宗教問題が深く関係していることを書いていないのもダメである。ガイ・フォークスが「カトリック教徒」であることに触れているのに、「ガイ・フォークスはハンサムだったからヒーローになった」と下世話な話題に落しているのはいただけない。

 ただ、どうしてこういう話の流れになったのかはなんとなく想像がつく。この「イギリス人とテロの深い関係」というコラムは、イギリス人はIRAテロのせいで爆弾騒ぎには慣れっこになっていて、2005年7月にアルカイダロンドンテロを起こした際にもロンドンっ子は特に慌てなかった、という話から始まり、次にガイ・フォークステロリストなのに英雄視されているという話、そして、イギリスの国民的俳優であるショーン・コネリーIRAを支援してもイギリス人は特に批判もしないという話に続いていく。IRAショーン・コネリーについては10月4日の記事で書いた通りガセであったが、要するにイギリス人はテロに強い」という話をしたいがために事実を歪めているのではないか?と思われてならないのである。

唐沢俊一のトンデモ事件簿

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藤岡真藤岡真 2008/10/21 19:59  ただ一言「教養がない」。これにつきます。

kensyouhankensyouhan 2008/10/21 20:35 コメントありがとうございます。
教養がないのはしょうがないと思います。
でも、教養がないのに知ったかぶりをするのはいけません。

nishionishio 2008/10/21 21:31 どうせ下世話にするなら、ガイ・フォークスが受けた処刑を詳細に書くほうが唐沢らしいのでは。それにしても、調べるべきことを調べず、調べれば語尾だけ変えて引き写し、プロのライターとして唾棄すべき姿勢。いっそ何か書くときは「広辞苑によると」「コンサイス英和辞典によると」等と文頭に項目をそのまま引用してほしいものです、無断でいいから。

tamakotamako 2008/10/21 21:39 初めまして。
いつも楽しく読ませていただいています。
四つ裂きの死刑、って唐沢は「Hanged, drawn and quartered(首吊り・内臓抉り・四つ裂きの刑)」をスルーしたのですね。むちゃくちゃ美味しいネタなのに。
これはガイフォークスの処刑方法ですが、カソリックだから以外でテロを起こそうとした理由をはっきり覚えていなかったイングランド人すら、この言葉はソラで言えていました。
ガイが男前だからヒーローなんてイギリスに住んでいて聞いたこともありません。
花火ピューピュー打って喜んでいるのは他にすることがないからなんだな、とハタから見て思います。どよーんとした季節に突入で、これから冬だー!という感じですね。

kokada_jnetkokada_jnet 2008/10/21 21:59 でもまあ、昭和天皇を暗殺しようとした「難波大助デイ」なんて祝日は、日本にはないワケですから・・。
一応・・、時代が違うとはいえ、暗殺事件とか、国王に対する距離感は、日本とは違いますね。
「国王を死刑にしたこともある国だから」とかそういう説明を加えて、ガセを入れないで、うまく説明すれば、まともな文章になっていたかもしれません。

kensyouhankensyouhan 2008/10/22 04:57 コメントありがとうございます。
>nishio さん
IRAとショーン・コネリーもそうなんですけど、この「イギリス人とテロの深い関係」自体がだいぶおかしなものになっているみたいなので、イギリスに詳しい人に全体的にチェックしてみてほしいですね。

>tamakoさん
>この言葉はソラで言えていました
処刑方法をですか。それは凄い。
唐沢俊一はイギリスに旅行で行ったことがあるようなので、その時の経験を頼りに書いている面もあるのかもしれません。とはいえ、住んでいた人にはかないっこありませんが。

>kokada_jnet さん
「どうして花火を打ち上げるのか」というのをちゃんと考えればよかったんでしょうね。

#130#130 2008/10/22 05:53 似たようなガセとしては、「金嬉老は子供たちのヒーローだった」とTVでコメントして、視聴者の頭の上に「?」マークを出現させたことがありました。
ガセというより思い込みでしょうか。
もしかすると唐沢の中には、反社会的というか、いわゆるワルに憧れがあるのかもしれません。
50面下げて中二病患者かよ、とも思ってしまいますが。

tamakotamako 2008/10/22 07:15 レスありがとうございます。
イングランド人に聞いてみました。
「ガイフォークスって男前で有名だったの?」
「何それ?」
「ガイフォークスってヒーローなの?」
「んなアホな。議会が極悪だったからテロ起こそうとしたんだろうなあ、って思うぐらい」
「じゃなんで花火で祝うの?」
「子供の時なんか屋台で食べ物買ってもらって、花火見る!ってワクワク感しかなくって、テロがどうのこうのなんて考えないよ。他の人もお祭り部分しか見てないんじゃないの?」
「Hanged, drawn and quarteredって有名なフレーズなの?」
「うん、小学校で習うんだよ。8歳ぐらいの時だったかなあ」
一応知識階級の人です。
まあ、一つの意見として受け止めてください。
自分よりももっとイギリス滞在歴が長い人の意見が知りたいですね。

個人投資家個人投資家 2008/10/22 09:35 イギリス国内ではカソリックはマイナー勢力なので、英国教会派の人々が敵視しているカソリックをヒーローにする訳けないですよ。
つい最近まで法律でカソリックは公職や教職に就けないと制限していたほどなのに。

kensyouhankensyouhan 2008/10/22 23:49 コメントありがとうございます。
>#130 さん
『社会派くんがゆく!』で毎回そのような話をしてますからね。あの連載は早く終わらせたほうがあの人たちのためだと思いますが。

>tamakoさん
貴重なご意見ありがとうございます。いや、イギリスの人にあのコラムを全部読ませてみたいですよ。

>個人投資家さん
宗教問題は今でも続いているということですね。とりあえず唐沢俊一は二度とイギリスについて語らない方がいいと思います。

nyannnyann 2008/10/26 03:08 『V・フォー・ヴェンデッタ』へのリンクが貼られていますが、
ひょっとしたら唐沢さんはこの映画を鵜呑みにして書いたのかも知れないですね。
粉川哲夫さんという映画評論家がこの映画のレビューを書いていたのを見つけました。

>以来、11月5日には「国王の安泰」を祝って花火を打ち上げ、「ガイ・フォークス人形」を燃やす「ガイ・フォークス・デイ」が開かれるが、
この映画は、まさにこの「ガイ・フォークス・デイ」を逆手に取る。つまり、支配体制側の「祭り」を被支配者側の祝祭に転化するわけだ。

http://cinema.translocal.jp/2006-02.html#2006-02-27

つまりガイ・フォークス・デイを、フォークスを称える祭りにしたのは、
この映画の発明だったわけですねw
そういえば映画の中のヴェンデッタも伊達男風のマスクをかぶっていたっけ。
この人の名前が「guy」の語源になったのは初耳でした。

kensyouhankensyouhan 2008/10/26 05:26 コメントありがとうございます。
『V・フォー・ヴェンデッタ』の中ではガイ・フォークスは完全にヒーローですからね。唐沢俊一が鵜呑みにした可能性はあるかもしれません。