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唐沢俊一検証blog

2008-10-29

1968への片想い。

14:09

 「フィギュア王」129掲載『唐沢俊一トンデモクロペディア』第42回「68年のパンドラの箱」は実にヘンな文章である。以下説明する。

 私は現在のカタチの日本社会の基礎となるものが出そろったのは、1968年だと認識している。いや、出そろった、という言葉ではまだ表現不足である。

「凄まじい勢いで一気に出現してきた」

 と言っていい。

 いったい、68年に何があったのか、後から思うと不思議で仕方ないくらいに、今につながるものが、どどっと現れた。どこか、知らない世界で、パンドラの箱が開いたのではないか、と思えるくらいである。丁度、今年2008年はそれから40年。今の日本は、この年に出そろった“素材”により、40年かけて作り上げられたもの、と言えるだろう。

 こう前置きしたうえで、1968年の出来事を列挙している。


霞ヶ関ビル完成

ボンカレー発売

・カール発売

・『あしたのジョー』『タイガーマスク』連載開始

・『巨人の星』『ゲゲゲの鬼太郎』アニメ化

・『少年ジャンプ』創刊

・『ねじ式』発表

TVドラマ版『男はつらいよ』放送

・『2001年宇宙の旅』『猿の惑星』封切り


…なるほど、これだけの出来事があったのか、と一応感心してみるが、ちょっと待て。今回のコラムのタイトルは「68年のパンドラの箱」で、本文中でも「どこか、知らない世界で、パンドラの箱が開いたのではないか、と思えるくらいである」と書いている(読点が多すぎるのが『血で描く』みたいだが。詳しくは9月23日の記事を参照)。「パンドラの箱」について毎度おなじみgoo辞書を引いてみよう。

パンドラ-のはこ 【―の箱】

ゼウスがすべての悪と災いを封じこめて、人間界に行くパンドラに持たせた箱。パンドラが好奇心からこれを開いたため、あらゆる罪悪・災禍が抜け出て、人類は不幸にみまわれるようになり、希望だけが箱の底に残ったという。

…すると何か?ボンカレーや『あしたのジョー』や『2001年宇宙の旅』は災いなのか?さすが、2007年にパンドラの箱を開けてガセやパクリを飛び出させた人は言うことが違うね(希望は残っているんだろうか?)。そして、本文にもおかしいところが多々ある。

68年には、今なおCMが口づさまれている銘菓『カール』が明治製菓から発売される。尤も、あのCMがテレビで放映されたのは69年からであるけど。

 「口ずさむ」だよ。「尤も」とか書く前に気づこう。それに口ずさむのは「CM」ではなく「CMソング」だ。あと、自分は『カール』は大好きだけど「銘菓」ではないと思う。どこかの名産品じゃないんだから。

 マンガにも、大きな改革の嵐が吹き荒れていた。梶原一騎の原作になる『あしたのジョー』と『タイガーマスク』は、どちらもこの年の一月に連載が開始(つまり発売は前年の12月だが)である。

 「この年の一月に連載が開始」「発売は前年の12月」って一体何が何やらわからない。『あしたのジョー』は「少年マガジン1968年1月1日号、『タイガーマスク』は「ぼくら」1968年1月号からの連載開始、と書けばずっとわかりやすいのに。しかし、そうだとしても、どちらの作品も1967年12月には発表されているわけだから、1968年の出来事に入れていいものかどうか。細かいことを書くと、『あしたのジョー』は高森朝雄名義である。

新人・永井豪の『ハレンチ学園』が大きな話題になり、スカートめくりブームなどの流行は社会問題になった。

 『ハレンチ学園』の中でスカートめくりが登場したのは1969年。それから、スカートめくりの流行には「Oh!モーレツ」で有名な丸善石油のCMも大きく関係しているはずだが、このCMが放映されたのも1969年

 そう、高度経済成長も頂点に達した感のあるこの時代に、それに背を向ける主人公フーテンの寅が初登場したのも68年。

 ちゃんと「男はつらいよ』の主人公」って書こうよ。

…しかし、このコラム、1968年である必要がないんじゃないか?と思う。たとえば、1967年や1969年であってもかまわないと思う。ためしに1967年の出来事を列挙してみる。


・『オールナイトニッポン』放送開始

・『天才バカボン』『あしたのジョー』『タイガーマスク』連載開始

・『ウルトラセブン』放映

・『マッハGoGoGo』放映

リカちゃん人形発売


次に1969年の出来事。

東名高速が全線開通

アポロ11号の月面着陸

・『水戸黄門』放送開始

・『ドラえもん』連載開始

・『真夜中のカーボーイ』『イージー・ライダー』封切り

・映画版『男はつらいよ』第1作封切り

UCC缶コーヒー発売

・『サザエさん』アニメ化

スカートめくり流行

・「カール」のCM放映開始


…何が言いたいのかというと、こんな具合に出来事を列挙していけば「私は現在のカタチの日本社会の基礎となるものが出そろったのは、19○○年だと認識している」というコラムを簡単にでっちあげることができるということだ1960年代にはまだ生まれていない自分にだって余裕で書けてしまう。そんなコラムに一体どんな意味があるんだろうか。

 こうして見ると、今の日本社会は1968年の申し子、といっても過言でないだろう。50年代ブームの次には68年ブームが来る、と予想したいのである。

 はっきり言って過言だし60年代ブームならともかくそんなピンポイントのブームが来るのかどうか疑問である。

[rakuten:everfree:1330657:detail]

あしたのジョー(1) (講談社漫画文庫)

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タイガーマスク(1) (講談社漫画文庫)

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巨人の星コンプリートBOX Vol.1 [DVD]

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ねじ式 (小学館文庫)

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テレビドラマ版「男はつらいよ」 [DVD]

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2001年宇宙の旅 [DVD]

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1969の片想い

1969の片想い

kokada_jnetkokada_jnet 2008/10/29 16:07 これはヒドイ・・・。さすがに突っ込む気力さえ失いますね・・。唐沢俊一、ボケてきてるんじゃないでしょうか。

唐沢日記では。
http://www.tobunken.com/diary/diary20081009175542.html
>フィギュア王から原稿催促、あわてて書きかけのものを完成させる
とありますね。締め切りまでにネタがでてこなくて、仕方なくテキトウな文をでっちあげたのでしょう。
しかし、1968年といえば、ふつうに考えれば、パリの五月革命の年なのですが。

sangariasangaria 2008/10/29 19:32 最初タイトルだけ見て
「唐沢は実はウォーラーステイン派だったんだよ!」
「Ω ΩΩ ナ、ナンダッテー!!」
状態になりましたwwwwwww

kensyouhankensyouhan 2008/10/29 20:15 コメントありがとうございます。

>kokada_jnet さん
まあ、単純に40年前だから「1968年」をネタにしたんでしょうけどね。
そんなの何年をネタにしたって書けるだろ、というのは本文でも書きましたが。

>sangariaさん
大学の西洋史でやりましたね>ウォーラーステイン
でも、モトネタはそこまで高尚なものではなくて稲垣潤一なんですが(ファンなんです)。

boxmanboxman 2008/10/29 20:47 http://www.amazon.co.jp/1968%E5%B9%B4-%E3%81%A1%E3%81%8F%E3%81%BE%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E3%80%93-%E7%A7%80%E5%AE%9F/dp/4480063234/
まあ、あとはこういう本もあります。

個人投資家個人投資家 2008/10/29 22:34 >現在のカタチの日本社会の基礎となるものが出そろったのは、1968年だと認識している。

とりあえず、唐沢氏には野口悠紀雄氏の「1940年体制」を読んでからものを言って欲しい。
「1940年体制―さらば戦時経済 」
http://www.amazon.co.jp/1940%E5%B9%B4%E4%BD%93%E5%88%B6%E2%80%95%E3%81%95%E3%82%89%E3%81%B0%E6%88%A6%E6%99%82%E7%B5%8C%E6%B8%88-%E9%87%8E%E5%8F%A3-%E6%82%A0%E7%B4%80%E9%9B%84/dp/4492393951

nyannnyann 2008/10/29 23:39 >私は現在のカタチの日本社会の基礎となるものが出そろったのは、1968年だと認識している。

まあ、思い入れのある年というのは各人各様なのでどうでもいいんですけど、ちょっと中途半端ですかね。

68年は確かに凄い年だったとは思いますけど、それが現在の日本社会の基礎かというとそうでもないし。
「2001年」も「ねじ式」もエポックメーキングだったとは思いますが、それがメインストリームになって
現在まで脈々と受け継がれているかというと、そうでもない。せいぜい、唐沢さんが裏モノ日記でやっている
つげ義春「夢日記」の粗末なパロディくらいなものでしょう。『夢日記』はつげ義春のようなノイローゼ患者の
夢を見せられるから迫力があるのであって、テレビコメンテーターやってその地位に甘んじて文化人を自称してる
50男のお粗末な夢見せられたって面白くも何ともありませんが。

昭和29年(1954年)には、黒澤明の『七人の侍』と木下恵介の『二十四の瞳』と本多猪四郎の『ゴジラ』があり、
文学からは三島由紀夫の『潮騒』が出て、翌昭和30年には小津安二郎の『東京物語』と溝口健二の『近松物語』が出た
っていうのに比べると、インパクトが弱いなあ。

これを蓮実重彦みたいな人が、どうしても1968年を特別な年にしたいという戦略の下に、レトリックをいじくって、
挑発的な文章を書くならまだ読んでいる側も戦々恐々とするんですけど、「銘菓」カールとか言う人に言われても。

ついでにパンドラの箱っていうのは、開けてはいけない禁断の箱という意味で今も日本に流通している言葉なわけで、
『ねじ式』や『あしたのジョー』みたいに予測不可能な突然変異型の文化を指す言葉じゃないですね。
つげ義春が、他の漫画家がシュールな表現をあえて避けていたところに、そこに真正面から挑んだというなら、
パンドラの箱を開けたでもいいわけですが。
あと、「申し子」っていうのは普通「『あしたのジョー』は1968年という時代の申し子だった」という表現に使うものであって、
2008年は1968年の申し子であるなんて言いません。どうしてもそういう言い方をしたいなら「落し子」とかでしょう。

kensyouhankensyouhan 2008/10/30 07:42 コメントありがとうございます。

>boxmanさん
本文で四方田犬彦『ハイスクール1968』にも少し触れようかと思ってましたが結局カットしてしまいました。「すが ひでみ」が文字化けしていて笑ってしまいましたが。

>個人投資家 さん
1968年以外に特記すべき年はあるはずなんですけどね。どうして1968年なのかわかりません。

>nyannさん
たしかに「申し子」はおかしいですね。
>思い入れのある年というのは各人各様なのでどうでもいいんですけど
コラムの中で唐沢俊一にとって1968年が特別な年だったというのが書いてあればよかったんですけど、個人的なエピソードがまったく書かれていないので呆れてしまいました。

唐茄子唐茄子 2008/10/30 09:00 ちょうど40年前と言うことで「1968年」を選んで、その年に起こった事を列記し「1968年ブームが起こる」とか言われても…。しかもすでに2008年が終わりかけている10月末発売の雑誌に書かれても…。
せめて来年の展望として「1969年は来年で40年目になるので」と言うのなら少しは予想ネタとしてありかもしれないのに。
でも40年なんて中途半端な数字じゃなく、50年で考えて見れば1958年は
01月31日:アメリカ初の人工衛星「エクスプローラ1号」打ち上げ成功(宇宙時代到来)
02月08日:日劇で第1回ウェスタンカーニバル1週間に45,000人動員(ロックの時代到来)
02月12日:新宿・伊勢丹にハート型バレンタインチョコレート初登場(恋愛至上主義到来)
02月24日:連続活劇『月光仮面』が始まる/国産のテレビ映画第1号(ヒーロー物時代到来)
03月01日:大阪市が全国初の「街を静かにする運動」(環境問題時代到来)
05月16日:テレビの受信契約数:100万台を突破(TV娯楽時代到来)
08月25日:日清食品がチキンラーメン発売(即席食時代到来)
09月17日:東大の尾崎事務官が女子大生亡国論を書き問題に(女性上位時代到来)
10月22日:日本初のカラー長編アニメ『白蛇伝』封切り(アニメ大国日本時代到来)
11月11日:日テレ系でSF活劇『遊星王子』が始まる(宇宙活劇時代到来)
12月12日:文部省「教科書図書検定基準」告示(戦後管理教育時代到来)
12月23日:東京タワー(高さ333m)完工式
あと「日本初の缶ビール」「フラフープ発売で大ブーム/1ヶ月で80万本の売上」「日本初のアカデミー助演女優賞にナンシー梅木」「長嶋茂雄プロデビュー」「電話契約が東京23区で50万台」「ビデオテープを使用した初のドラマ『私は貝になりたい』」などなど、あげはじめたらキリがない。
コッチの方が今の日本社会の基礎となるものが多くないか?
ついでに1958年は唐沢俊一の生まれた年。

WOOWOO 2008/10/30 10:17 既に昭和30年代がブームになっているからでしょう。
自分が生まれた年というと、実質的には殆ど実体験がないということですし。
結局唐沢は、自身の着眼点の鋭さ(笑)を誇示したいんでしょうね。

kensyouhankensyouhan 2008/10/30 17:09 コメントありがとうございます。

>唐茄子さん
お見事!唐沢よりずっといいですね。
結局、何年でもやろうと思えばできちゃうんですよ。戦後63年を1年ごとにやろうと思えば月刊誌の連載なら5年はもちますw

>WOOさん
今回は「1968年」をネタにしたんだから自分の原体験を書いておけばよかったと思いますけどね。
唐沢は当時10歳なんだから記憶もあるでしょうし。

zebrazebra 2008/10/31 02:22 最初、唐沢の文章を読んだ時何が言いたいのか全く理解できませんでしたが、唐茄子さんのコメントを読んで、唐沢という人は「基礎」という言葉の意味を理解していないんじゃないかなぁと思いました。
しかし、ボンカレーやカール、あしたのジョーが何故日本の基礎なのか理解に苦しみますw
単に、1968年の出来事で今でも有名、定番なものを箇条書きにしただけとしか思えませんね、全く意味不明です
対して、唐茄子さんのコメントは素晴らしいです。1958年を捉えて「現在の日本の基礎は1958年にできた」と言われて上の文章を見せられたら非常に説得力があります。多分構成力のある人なら他の年でも上手にまとめることはできるかもしれませんが、唐沢には逆立ちしても無理そうですね
しかし、唐沢もここ見てるでしょうからネタをパクられたりしないか心配ですw

kensyouhankensyouhan 2008/10/31 09:03 コメントありがとうございます。

単に1968年がちょうど40年前ということだけでやっているんでしょうからね。やるんだったらもっと上手いまとめ方があるような気もしますが。

abeabe 2009/01/22 00:27
いつも楽しく拝読しております。 
三ヶ月も前の記事にコメントは失礼にあたるかもしれませんが、気になることがあったので書き込みさせていただきます。

こちらで検証されている唐沢俊一の文章を読むにつけ、思うことがあります。それは「唐沢は、脚本&演出家:中野貴雄氏の受け売りをやってるんじゃないか?(そして思いっきり失敗してるんじゃないか?)」というものです。以下、氏のブログから一部引用します。

○中野貴雄氏のブログ「王子様に乗った白馬」2009年01月21日の記事の末尾より
僕は「男はつらいよ」やルパン3世やゴルゴ13や「プレイガール」が生まれた1968年というのが大きな転換点だと思っていたが、1986年もあなどれないなー
http://blog.livedoor.jp/n_tko/archives/51100536.html



中野氏は唐沢のラジオ番組『唐沢俊一のポケット』に何度も出演し、「日記のタイトルをダジャレにする」など、唐沢から影響を多々受けていると思われます。が、逆に思想信条や論理展開は、唐沢が中野氏から影響を受けているんじゃないかな、と。「1968年というのが大きな転換点」という仮説は、ルパンやゴルゴや「プレイガール」を、日記で何度も言及するほど愛好している中野氏の発言であれば、ある程度の説得力を持つものですし。

あと「中野貴雄 1968」でググッてますます納得したのですが、中野氏は1968年に放映開始したあの「怪奇大作戦」の、2007年のリメイク版の脚本を手がけています。繰り返しになりますが、中野貴雄氏であれば、1968年に何らかの意義を見出しても、決して不思議なことではないと思います。


私は中野氏の文章が好きなので、穿った見方になっているかもしれません。が、両氏のテキストを読むと、とて無関係だとは思えないです。キチッと比較してみようかな…?


以上、お目汚し大変失礼いたしました。
kensyouhan様の検証は、気付かされることが非常に多く、大変参考になります。
これからも楽しみにしております。

kensyouhankensyouhan 2009/01/22 14:38 コメントありがとうございます。
いえいえ、記事にコメントしていただいて大変ありがたく思っています。
唐沢俊一が近くにいる人から影響を受けやすいというのはわかりますね。伊藤剛さんもそのようなことを仰ってましたし。自分が気づいたものだと、『キッチュワールド案内』で「アンチ・クランケ」というバンドのことが紹介されていることですかね。音楽にかなり疎い唐沢がマニアックなバンドのことを取り上げたのは、ネタを鶴岡法斎氏あたりから仕入れたからじゃないか?と推測しています。