Hatena::ブログ(Diary)

唐沢俊一検証blog

2009-03-17

あの日たったひとつの言葉が言えずジュワッチを置いた。

20:14

 「週刊昭和」3月29日号に掲載されていた唐沢俊一による『ウルトラマン』の解説記事にはいろいろと考えさせられてしまった。

 まず、記事のタイトルが「ウルトラマン“ジュワッチ!”」なのだが…「ジュワッチ」? ためしに「ジュワッチ」でググってみると、「もしかしてシュワッチ」と表示されてしまった。…いや、俺が間違えたわけじゃないんだって。まあ、この記事は円谷プロもチェックしているだろうから、もしかすると今後は「ウルトラマンの掛け声は“ジュワッチ”」が公式設定になるのかもしれない。そうなったら、帰ってきたウルトラマンの呼び方並みに揉めそうな気もするが。

 で、記事の内容なのだが、『ウルトラマン』という作品の事実関係について説明されているだけで、唐沢俊一の個人的な見方というのが全くないことに驚いてしまった。もしかすると「週刊昭和」という雑誌が個人的な見方を排するスタンスにあるのかも、と思ってしまったのだが、この3月29日号の巻頭では芦原すなお氏がビートルズが来日したときの思い出を書いているので、そういうことでもないらしい。…正直に言わせてもらうと、自分は『ウルトラマン』について書かれた文章はかなりの数読んできているのだが、これほど無味乾燥なものはなかなかないと思う。今まで読んだほとんどの文章には書き手の『ウルトラマン』への深い思い入れが込められていて否応無しに心を動かされたものだが、今回の唐沢の文章からはそういった思い入れがまったく感じられないのだ。まあ、「ぴあ」での「ガンダム論争」でこんなことを書いていたのだから『ウルトラマン』に対して思い入れが無いのかもしれないが(詳しくは2008年11月19日の記事を参照)。

今、巷ではウルトラマンウルトラセブンといった作品を名作とかいって奉っているがとんでもない。これらの作品が世間に、SFといえば「怪獣が戦車を踏みつぶす」というイメージを与えさえしなければ、日本のSFドラマもその初期に『トワイライト・ゾーン』『アウター・リミッツ』なみの作品が生まれていたはずなんだ

単に事実関係を記述するのであれば、唐沢に依頼するまでもなく朝日新聞の記者の方がずっと簡潔にまとめられるはずだし、そもそも今回の記事はウルトラマン』本編を観ていなくても書ける内容なのである。記事の中で書かれているのは

・『広辞苑』にはウルトラマンという項目がある(平成20年発売の第6版)

・「日本初のカラーの特撮番組」は『マグマ大使』だが、『ウルトラマン』は現在でも劣化していない

・オックスベリー社からオプチカル・プリンターを導入し、その資金を補うために『ウルトラ』シリーズが制作された

・子供向け番組で1話完結のスタイルが「高度経済成長期の感覚にマッチした」

・高視聴率を記録したが制作の負担が大きかったため39話で終了

…ということだが、こういうことはウィキペディア「ウルトラQ」「ウルトラマン」「オプチカル・プリンター」に書いてあるし、ついでにニコニコ大百科「ウルトラQ」「ウルトラマン」にも同じような記述がある。つまり、ウルトラマンについて調べようとネットで適当に検索していたらすぐにわかってしまうようなことしか書かれていないのだ(ちなみに東大での講義でも同じようなことを語っていた。詳しくは2008年10月23日の記事を参照)。

 とはいえ、事実関係さえ正確に書かれていれば、まだマシと言えるのだが、それすらもなんだか怪しいのだから困ってしまう。「週刊昭和」3月29日号P.12より。

 その「ウルトラマン」(TBS系)は、昭和41年(1966)7月、前作「ウルトラQ」の、平均視聴率30%という人気を受けて制作が決定した。子どもたちの間での怪獣ブームは、テレビの「ウルトラQ」、映画の東宝ゴジラ・シリーズに加え、大映が「大怪獣ガメラ」で参戦したことで過熱していたが、「ウルトラマン」の大ヒットは、それら全てを露払いにしてしまうほどのムーヴメントとして日本中を席巻した。

まず、『ウルトラマン』の放送開始は1966年7月17日なので、「制作が決定した」のはもっと前のこと。それから、『ウルトラQ』『ゴジラ』『ガメラ』を一列に並べて、第一次怪獣ブームが映画からテレビへと波及していったことを書いていないのは丁寧さに欠ける。P.12〜13より。

(前略)アメリカの人気SF番組「トワイライトゾーン」をモデルに「ウルトラQ」を制作した円谷プロは、基本的に1話完結の形式をシリーズの基本としており、そのスピーディーさが、高度経済成長期の感覚にマッチしたわけである。 

 もちろん、この方式は制作スケジュールにも、また制作費用においても大きな負担がかかる。最高視聴率42・8%を誇った番組がわずか3クール(39話)で終了したのも、その番組形態が制作側に大きな負担となったためである。しかし、それが逆に、登場怪獣や小道具の数の圧倒的な豊富さという特長となって、後にキャラクターの商品化につながり、円谷プロダクションに巨大な利益をもたらすことになる。

トワイライトゾーン』とともに『アウター・リミッツ』も挙げるべきではないだろうか?それから、「キャラクターの商品化」は『ウルトラQ』で既に行われている(マルサンの社長のインタビューを参照)。『ウルトラマン』は「キャラクターの商品化」をある程度計算して制作されていたわけで(予想を超えて大ヒットするのだが)、唐沢俊一の書き方だと怪獣や小道具が多かったから「キャラクターの商品化」を思いついたかのように読めてしまう。どうにも雑である。

唐沢俊一「週刊昭和」の『仮面ライダー』の解説も担当するらしいが、今回と同じように初歩的な事実関係しか書かれていないうえに作品への思い入れが感じられない文章じゃないことを祈るばかりだ。

※追記 これが「週刊昭和」の記事全文。そんなに長くない文章なのでチェックしてほしい。

※追記2 一部の記述を修正しました。

極東サンバ

極東サンバ

ウルトラマン Vol.1 [DVD]

ウルトラマン Vol.1 [DVD]

O.L.H.O.L.H. 2009/03/17 23:45 >「日本初のカラーの特撮番組」は『マグマ大使』だが、『ウルトラマン』は現在でも劣化していない

またいつもの“何かを褒めるのに何かを貶す”論法ですか?
困ったものです。

tochicatochica 2009/03/18 01:23 私は唐沢氏と同じ年ですが、当時リアルタイムでTVのSFを観ていた人なら
「トワイライト・ゾーン」というより、邦題「ミステリー・ゾーン」と
書きたくなるんじゃないかという気がします。
スピルバーグ以降、この番組が原題で呼ばれるのは何となく味気ない。

藤岡真藤岡真 2009/03/18 10:39  あるいは「シュワッキ!」だという意見もありますね。
 ところで、ウルトラマンというキャラを最初に発表したのは藤子不二雄なんですが、ご存知でした?

yonoyono 2009/03/18 12:22 たしか「シュワッキュ」説もありましたねえ

週間昭和て誌名を見る限りノスタルジーとか哀愁があったりする雑誌なんだろうなあと思いますが

全くないですね>唐沢さんの文章
そういうの得意なはずなのに…

はくめいはくめい 2009/03/18 12:57 最初に「シュワッチ」と文字で表現したのは、赤塚不二夫らしいですね。
唐沢氏と親しいはずの河崎実さんの著書にも「ウルトラマンはなぜシュワッチと叫ぶのか?」があるのに、なぜ、あえてジュワッチ?
http://www.ponycanyon.co.jp/ikochan/denpou/14.html

kensyouhankensyouhan 2009/03/18 14:49 コメントありがとうございます。

>O.L.H.さん
東大の講義でも同じことを言っていて自分もひっかかりました。現在見てみるといろいろ面白いですけどね>『マグマ大使』
個人的には序盤の人間モドキが暗躍するあたりが緊迫感があって印象深いです。

>tochicaさん
そういえば『バットマン』の邦題も間違えていたような。

>藤岡さん
いや、それは知りませんでした。

>yonoさん
記事の中で取り上げた芦原すなお氏の文章からは当時の雰囲気が伝わってきました。唐沢俊一もそういう風に書けばよかったと思うんですけど。

>はくめいさん
不思議ですね。河崎さんは「ジュワッチ」を認めるのかどうか。

さて、2ちゃんのレスにもお返事しておく。
>806 名前:無名草子さん[] 投稿日:2009/03/18(水) 03:59:08
>検証班は唐沢のウルトラマン紹介を初歩的として切り捨てているが
>初心者向けの紹介記事だからあえて初歩的な知識の羅列にとどめたとは考えられないか?

「初心者向けの紹介」にもなっていないと思います。『ウルトラマン』のことを知らない人に説明するなら、たとえばストーリーの紹介とかウルトラマンや怪獣の魅力の説明をするべきなのですけど、そこは素っ飛ばしてしまってますから。初心者にはよくわからないし、マニアにとっては今さらなことしか書かれていないのです。東大の講義で話していたことと内容がだいぶカブっていたことを考えると単に唐沢俊一が知っていることを羅列しただけかもしれませんが。

>808 名前:無名草子さん[sage] 投稿日:2009/03/18(水) 06:40:56
>「週刊昭和」の唐沢の記事がそんなにひどいとはいっても、
>「おまえ28年前にはウルトラマンのことをけなしてたくせに」という批判は
>いくらなんでも無茶だろ。

本文をよく読んでほしいのですが、「週刊昭和」の記事から思い入れが伝わってこないのはそもそも『ウルトラマン』に思い入れがないせいなんじゃないか?と「ガンダム論争」を例に出したわけです。
あと、これは前にも書いたと思いますが、昔批判していた作品を今になって褒めること自体を批判しようとは思いません。ただ、どうして評価が変わったかを明らかにして欲しいと思うだけです。「ガンダム論争」を知ると、今の唐沢俊一がずっと『ウルトラ』シリーズが好きだったかのような態度をとっていることに不信感を持ってもしょうがないと思うのですが。

個人投資家個人投資家 2009/03/18 22:37 >「日本初のカラーの特撮番組」は『マグマ大使』だが、『ウルトラマン』は現在でも劣化していない

 「ウルトラマンの魅力はいまだ色褪せていない」とかくべきところを、パクリもと違う文章にしようとして単語を置き換えて「劣化」していないと書いたのでしょうかね?

 冗談でなく、「ウルトラマン」シリーズのオリジナルのフィルムは劣化していて、保存が聞かなくなりそうだから、現在デジタルアーカイブ化が進められているんですけどねえ。


>(前略)アメリカの人気SF番組「トワイライトゾーン」をモデルに「ウルトラQ」を制作した円谷プロは、基本的に1話完結の形式をシリーズの基本としており、そのスピーディーさが、高度経済成長期の感覚にマッチしたわけである。 

 ウルトラシリーズは高度経済成長が終わってもずっと1話完結なので、全然関係ないと思うが。
 そもそも、1話完結なのは前作の「ウルトラQ」からだし、映画館で見るしかなかった怪獣が毎週TVでしかも、毎週違う怪獣が出るというほうが子どもには魅力的だと思うがなあ。
 私は「ウルトラマン」のファンなので、こういう
「特撮に関して門外漢の雑誌や新聞の記者がにわか勉強で書いたような原稿」
をオタク第一世代でサブカルチャーが専門の筈の唐沢が、平気で書きとばすという不誠実な態度が許せない。
 読者に対しても、作品に対しても不誠実だ。

revikenreviken 2009/03/19 01:11 おはようございます。
町山さんは「ジュワッキュ」説だったと思います。
映画秘宝で読みました。

kensyouhankensyouhan 2009/03/19 15:05 コメントありがとうございます。

>個人投資家さん
記事に「週刊昭和」の記事をリンクしておいたので、そこから読んでいただきたいのですが、唐沢俊一は『マグマ大使』について次のように書いています。
>実は“日本初のカラー作品によるスーパーヒーローもの”という栄誉は、わずか13日の差で、
>ピープロ制作の「マグマ大使」(フジテレビ系)に奪われてしまっているのだが、
>この2作を現在の目で見比べてみると、
>「マグマ大使」がかなりレトロに見えてしまうのに対し、
>「ウルトラマン」は、合成など特撮シーンの見事さも、ストーリーのテンポも、
>まったくと言っていいほど経年劣化していないことに驚かされる。
でも、『ウルトラマン』だって時間の流れから免れてない部分はあると思いますけどね(逆に時間が経ったことで面白く観られる部分もある)。わざわざ『マグマ大使』を持ち出さなくても。あと「1話完結」ですけどゴモラの回はどうなるんだ?と思ったり。
>映画館で見るしかなかった怪獣が毎週TVでしかも、毎週違う怪獣が出る
そういうことを書かないといけないんですけどね。説明すべき事柄をわかってないような。

>revikenさん
一般的には「シュワッチ」になっているので記事でもそれに従いましたが、個人的には「シュワッチかなあ?」と思います。それから、上のコメントで挙がっている河崎実監督の『ウルトラマンはなぜシュワッチと叫ぶのか?』でも「シュワッチとは言ってない」となっているようですね。読んでみなきゃなあ。

藤岡真藤岡真 2009/03/21 07:47  正太が見ているTV番組が『ウルトラマン』でした。たったの一駒ですが、世に出たのはこちらが先。ゼブラーマンみたいな、キャラでした。

藤岡真藤岡真 2009/03/21 08:39 説明不足ですみません。少年サンデーに載っていた「オバQ」のことです。

kensyouhankensyouhan 2009/03/21 15:53 コメントありがとうございます。

なるほど。その『ウルトラマン』は7話で打ち切りになって、熱狂的なファンだったハヤタがコスプレをしているうちに…、というのが我々の知っている『ウルトラマン』なんでしょうね。
「赤銀つけるぜ!」