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唐沢俊一検証blog

2009-03-31

「パクー空間にひきずりこめ〜」

07:49

「パクー空間とは、唐沢俊一インターネットを操作することによって発生する一種のブラックホールである。パクー空間では、唐沢俊一は3倍にパワーアップするのだ!」(ナレーション・政宗一成


 今回も『エンサイスロペディア』を取り上げるが、はっきり言ってこのコラムは人選ミスである。なぜなら、唐沢俊一がフォローできるオタク関係のネタは70年代までが限度で、それ以降はほとんどついていけていないからだ。最近のアニメもどんどんパチンコやパチスロになっている状況には明らかに不向きである。唐沢俊一も無理をしないで鶴岡法斎氏にでも仕事をまわせばいいのに(鶴岡氏はパチンコ漫画の原作をしていたらしいし)。前回取り上げた『アカギ』も相当なものだったが(詳しくは3月29日の記事を参照)、今回のコラムは心底ヒドいと思ってしまった。

 それでは現在発売中の「パチスロ必勝ガイドNEO」5月号掲載の『エンサイスロペディア』第24回『宇宙刑事ギャバン』を紹介する。

 日本を代表するスーパーヒーローシリーズと言えば『ウルトラマン』と『仮面ライダー』であるが、この二作が共に、一旦その放映を中断したことがあった。1981年ウルトラマンシリーズが『ウルトラマン80』で終了、仮面ライダーシリーズが『仮面ライダースーパー1』で終了し、再開までライダーは(特別編が制作されてはいるが)6年、ウルトラマンに至っては15年もの空白期間が生じている。その間、日本のスーパーヒーローものシーンはかなり寂しい状況になったわけである。シリーズの終了は、視聴率などの低迷が原因であり、いわばスーパーヒーローものはその使命を終えた、と誰もが考えたことだろう。

 「誰もが」って特撮ファンもそう考えていたのだろうか。自分は当時小学生だったけど、『仮面ライダーBLACK』が始まった時は凄く嬉しかったことをよく覚えている。ウルトラマン仮面ライダーの復活を待ち望んでいたファンは多かったと思うけど。…っていうか、ウルトラとライダーが休止している間もスーパー戦隊シリーズは続いていたんだけど、あれは「スーパーヒーローもの」じゃないのか?今やってる『侍戦隊シンケンジャー』は「スーパーヒーロータイム」で放送されてるけど。

 しかし、東映テレビ部はそうは考えなかった。“ヒーローものが少なくなった今こそ、新ヒーローを割り込ませるチャンス”ととらえたのである。

 もちろん、これは冒険であった。制作費もそれまでのライダーや戦隊ものとは段違いの巨費を投じ、失敗すれば東映テレビ部のスタッフ全員が首になるという、ギリギリのところでの賭けで誕生したのが、後に、“メタルヒーロー”ものとして知られるようになるシリーズの第一号、『宇宙刑事ギャバン』であった。

 そしてその賭けは成功を収める。タイツやゴム製スーツなどを身にまとった、どこか手作り感のあったそれまでの東映ヒーローからイメージを一新した、全身メタリックなデザインのギャバンは、ビデオ合成を多用したスピーディかつダイナミックなアクション、シンセサイザーをメインにした音楽の効果もあって、子供たちの心をわしづかみにした。

 状況が不利なときこそチャレンジすることが大事、というこの作品の成功の教訓は、昨今の不景気の時代にわれわれを勇気づけてくれるものだが、そのチャレンジを決意したのは、東映テレビ部の吉川進、折田至の二人のプロデューサーだった。

 「状況が不利なときこそ」以下には笑ってしまった。何その「宇宙刑事ギャバンに学ぶ不況の生き抜き方」みたいな文章。ビジネス雑誌の中吊り広告で徳川家康に学ぶ人心掌握マニュアル/“鳴くまで待とう”の精神で!」「木下藤吉郎に学ぶ男の出世術/“リストラ戦国時代”を生き残れ!」とかあるのを見て「そんなの参考になるのか?」とよく思うのだが、それに近いものがある。特撮に夢中になってた男の子も働き盛りになってるんだから、唐沢俊一もビジネス雑誌に売り込みをかけたらいいんじゃない?ウスい人相手なら商売になるかもよ。…しかし、唐沢は『社会派くんがゆく!』で「不況のときは何もしないのが一番なのよ」とか真逆のことを言いそうではあるのだが。

 東映テレビ部は『仮面ライダー』や『秘密戦隊ゴレンジャー』を作り上げた伝説の人、平山亨が現場を離れた後、低迷を続けた。吉川と折田コンビで制作した、戦隊もの第二弾の『ジャッカー電撃隊』は視聴率低迷で打ち切りとなり、ライダーシリーズも終るという状態で、彼らの立場は崖っぷちにあったと言って過言でない。この時期に新シリーズを立ち上げるという、ある意味暴挙に二人が出たのは、そこにしか生き延びる道がなかったからかもしれない。

 折田氏は『ジャッカー電撃隊』をプロデュースしていない。吉川・折田コンビで制作されたのは『バトルフィーバーJ』で、吉川氏はその後も『太陽戦隊サンバルカン』までスーパー戦隊シリーズをプロデュースしているので、「崖っぷちにあったと言って過言でない」というのは過言だろう。あと、平山氏も『ジャッカー電撃隊』に企画協力として参加している(『ジャッカー電撃隊』キャストインタビューを参照)。誰かを「伝説の人」にしてしまうのは歴史を歪めるおそれがあるのでやめておいたほうがいい。

 結果、ずっと事務畑を歩いてきた吉川氏の計算と、現場(監督)出身の折田氏の感覚が見事にマッチし、ギャバンはそれまでの東映ものにない、クールなヒーローとして誕生する。そして、主役・一条寺烈役に抜擢された大葉健二は、変身前の全てのアクションを吹替えなしで行うという、JACのリーダーとしての面目躍如の体当たり演技により、藤岡弘、や宮内洋にならぶアクションヒーロースターの代表となった。ちなみに、この作品でギャバンの父・ボイサー役でゲスト出演していた千葉真一と大葉が、クエンティン・タランティーノ監督の映画『キル・ビル』で共演していたのはご承知の通り。ギャバンファンは思わず快哉を叫んだことだろう。

 大葉健二千葉真一が『キル・ビル』に出演したのはタランティーノが『影の軍団検戮離侫.鵑世辰燭ら。それは千葉真一の役名が「服部半蔵」であることからもわかる。あと、大葉健二が『ギャバン』以前にバトルケニアとデンジブルーを演じていたことを書いていないのは不親切。なお宮内洋は『ギャバン』に宇宙刑事アランとしてゲスト出演している(さらに余談として宮内洋がゲスト出演した回に潮健児が敵として登場している)。あと、「クール」というのは「冷静」じゃなくて「かっこいい」の方だよね。烈さんは「熱血」だもの。

 そして、このシリーズに花を添えたのは、ヒロインたちのお色気である。この『ギャバン』では叶和貴子演じる女宇宙刑事ミミーが大人の魅力をふりまいて(しかし、和服美人女優として売りだした人なのに、これまたえらい方針変換なキャスティングである)いたし、コム長官の秘書役のマリーン(名代杏子)とのお色気対決、などという回もあった。今回のパチスロ演出でも、そこらは充分に楽しめるはずである。

 「このシリーズに花を添えたのは、ヒロインたちのお色気である」と書いておきながら、宇宙刑事シャイダー』のアニーに触れていないのが不可解。特撮ファンでなくてもアニーは知ってると思うんだけど。それから「お色気対決」なんだけど…そんな回あったっけ?ミミーとマリーンが張り合うのは、第5話で猛毒に倒れた烈を看病するときくらいだったような。キャプションでも

ミミー役の叶和貴子が仕事上のスケジュールで、しばらく番組を離れたことがあり、その間の助手役をマリーンが務めたが、おかげで烈をめぐる女同士の関係でドラマが盛り上がった。

とあるけど、そんなことはないと思うけどなあ。ミミーが戻ってきたらすぐにボイサーを探す話になるから、「女同士の関係」でドラマを盛り上げる必要なんかなかったんだけど。…本当に『ギャバン』をちゃんと見ているのか?

…もうお気づきの人も多いと思うが、今回のコラムは『ギャバン』の内容にほとんど触れていないのだ。特撮ファンが『ギャバン』について語るときに間違いなく出てくるであろうキーワードが全然出てこないのにビックリする。「蒸着プロセス」「魔空空間」「レーザーブレード」「ドルギラン」「政宗一成のナレーション」…これらの言葉が出てこない『ギャバン』の紹介があるのだろうか?制作秘話の前に書くべきことはたくさんあるはずである飯塚昭三とつきあいがあるんだったら、ドン・ホラーの声優交代について触れるとか。辛うじて音楽については触れているが、それにしたって渡辺宙明」「串田アキラという名前を出していないのがわからない。「具体的な名前を出したほうが読者にイメージが伝わりますよ」とか編集者はアドバイスしないのか?…なんで「文筆業サバイバル塾」の主宰者にこんなことを言わなくちゃいけないのか。『アメトーーク』で「華の47年組」はみんな『ギャバン』の主題歌を歌えたというのに。唐沢俊一ワッキー並みか?(土田晃之に冷たい目で見られるの?)バナナマン日村みたく「♪サムシングギャバーン」とか唄えればいいけど。イーイー!

 それから、烈が命を救った伊賀電が最終回で宇宙刑事シャリバンとして登場し、ギャバンのピンチを救ったことを書いていないのもわからない(あのシーンは特ヲタなら絶対に燃える!)。これを説明すれば「宇宙刑事シリーズ」「メタルヒーローシリーズ」の説明もしやすいはずなのに。次回作『宇宙刑事シャリバン』でギャバンは隊長として活躍しているんだから(そして最終回では蒸着してシャリバンと共に決戦に臨むのである!)。

 危機的状況が一転してチャンスになる、というギャバン制作のエピソードパチスロのプレイにも通じるものがある。大いなるチャレンジ精神で台に向かってもらいたい。

 自分はいい年をして特撮やマンガを本気で見ていて、つらくなった時に「あのヒーローは最後まであきらめなかったじゃないか!」と筋肉少女帯の『221B戦記』みたいなことを考えて自分自身を奮い立たせているのだが、「本編のエピソード」を素っ飛ばして「制作のエピソード」を語るのはとても理解できない。いや、そりゃあ、個人的に特撮の作り手で言えば金城哲夫には結構思い入れがあるけど、それだって『ウルトラマン』があってこその話だし、他の制作秘話にしたって事情は同じである。『週刊昭和』もそうだったが(詳しくは3月17日の記事を参照)、まず本編の話をしてほしい。特撮をよく知らない人を対象としているのならなおさら本編について語る必要があるのではないだろうか?


…個人的には『エンサイスロペディア』はとても危険なコラムである。『アカギ』といい『ギャバン』といい、自分が好きな作品が出てくると、唐沢俊一がまったくわかっていない(好意的に見てもきわめてウスい)ことがよくわかってしまって、わずかに残っていた唐沢への敬意がみるみるうちに削られていってしまうのだ(「まだ敬意が残ってたの?」と呆れられてもしょうがないけど)。本編の話をせずに周辺の話ばかりしているのはごまかしとしか映らない唐沢俊一を検証していると「ごまかし」の手口に自然と詳しくなってしまうんだけどね。…業界で長くやってきた人にこんなことを告げなくてはならないのがまことに残念なのだが、特撮でもマンガでも何かを語るためには最低限本編に触れる必要があるのだ。作品のデータはネットですぐに拾えるから知ったかぶりをすることはできるだろう。しかし、本編を知らないままだとデータは生きないのだ。本編に触れ、データを調べ、また本編に戻る…好きならそれくらいはやるはずだし、ましてやプロのライターなのだ。あたりまえのことだろう。コラムを書く前にはTSUTAYADVDをまとめて借りて観るなり、マンガ喫茶で一気に読むなりしてほしい。…しかし、そういうレベルの仕事だったら、『パチスロ必勝ガイドNEO』のアルバイトにやらせたほうがいいのかもなあ。


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O.L.H.O.L.H. 2009/03/31 11:46 ギャバンといえば「ロボコップ」に触れないわけにはいかないと思いますが、華麗にスルーですね。

藤岡真藤岡真 2009/03/31 13:51 「ロボコップ」に触れたら、ついでに「ロボット刑事」にも一言ほしいところ。

yonoyono 2009/03/31 16:35 「パチスロやってるおっさん(だけじゃないでしょうが)にはこの程度でもばれないだろう」
という考えがあるのでしょうかね?
しかし残念、パチスロやってる人はオタ並に作品に詳しいのでした(~_~;)

brbr 2009/03/31 23:13 創刊からこの雑誌を買ってるんですが、このコラムの一番の問題は面白くないことです。同じ連載陣でも泉麻人さんなんかは「さすが」と思わされるのですが…

altnkaltnk 2009/03/31 23:41 私ギャバンの中の人とゴールデン街で飲んだ事があります。

"そして、主役・一条寺烈役に抜擢された大葉健二は、変身前の全てのアクションを吹替えなしで行うという"

変身前より変身後のアクションがきつかったそうです。ご存知でしょうが例のソードはCGではなく蛍光灯で割らずにアクションするのがむずかしかったそうです。

ブラックウッドブラックウッド 2009/03/31 23:42  懐かしいなあ!
 ドルギランのおもちゃを買ってもらって華麗に壊したのもいい思い出です(爆)。こういう「なつかしもの」を紹介する場合はリアルタイム組に「あるある!」と膝をバンバン叩かせる内容であってほしいですね(*^^*。
 というか、オタク第二〜第三世代のライターにはもう大勢いると思うんですがねえ…。この際唐沢さんにはゴーストライターとしてそういう人に下働きさせて名前だけ貸す役回りになってもらう時期でしょう。

境界線境界線 2009/04/01 02:24 きちんとした誰からも認められるコラムニストの泉麻人氏を
コピペライターの唐沢氏と比べるのは泉氏に申し訳ないですよ
唐沢氏に原稿料が出すくらいならちゃんとしたライターを
一人でも増やしていって欲しいものです

eg_2eg_2 2009/04/01 07:08 >鶴岡氏はパチンコ漫画の原作をしていたらしい
ufo後のイベントで鶴岡さんが言われてたことが”書ける範囲で”2点あります。メモ程度に。
「漫画原作をやっているけど表に出せないものが多くて」
ゴースト的なことをやっているのかな?っと。最近は名前を出せる作品も増えているみたいですが。
「自分は唐沢さんの”漫画原作”の部分でのみ弟子になったんです」
まあ、これは事実そうなんでしょうが、そうでも言っておかないと、こっちまで延焼するかもしれないですものね。

>O.L.H.さん
関係ないのですが、”面影ラッキーホール”と読んでいいのでしょうか?物販でそのものずばりの”O.L.H.”tシャツとか売ってますよ(笑)。

altnkaltnk 2009/04/01 23:21 肝心な事を忘れていました。JACはルックス重視で報われない、とぼやいていましたよ。あと、大葉のアクション吹き替えもやった、と言ってました。裏は取れませんので噂、ということで。

コバイアコバイア 2009/04/02 00:58 名もない花(と言うといろんな人に失礼かも知れませんが)を平気で踏みつけられるような男に『ギャバン』を語って欲しくないな、と思ってしまいました。
制作のエピソードから教訓を捻り出す前に、あの主題歌のメッセージについて本気で考えて欲しいところです。

kensyouhankensyouhan 2009/04/04 01:24 コメントありがとうございます。

>O.L.H.さん
知らない人に説明するときはそれが一番伝えやすいかもしれません。

>藤岡さん
山本弘・岡田斗司夫対談に大槻ケンヂが登場したときに、オーケンがポール・ヴァーホーヴェンに「『ロボット刑事』を知ってますか?」と聞いたらヴァーホーヴェンに「知らない」と答えられたという話をしてました。

>yonoさん
唐沢のコラムを読んでいてもどんな層を対象にしているかよくわからなくて困ります。

>brさん
泉麻人をはじめ『パチスロ必勝ガイドNEO』ってコラムが豪華ですね。パチスロのモトネタ紹介なら唐沢じゃなくてもいいと思いますけど。

>altnkさん
ああ、それはうらやましいですね。ヒーローショーでバイトしていた人が昔の知り合いでいましたけど。

>ブラックウッドさん
『エンサイスロペディア』もゴーストライターの仕事だと考えたいところですね。

>境界線さん
個人的には、『エンサイスロペディア』は今まで作品の批評をしてこなかった(避けてきた?)唐沢俊一が作品について語る必要に迫られている、とも言えるのでなかなか面白いですけどね。雑誌としてはどうかと思いますが。

>eg_2 さん
鶴岡氏についても『ブンカザツロン』で触れなくてはならないでしょうけど、いい仕事をしてほしいところです。

>コバイアさん
唐沢俊一は2番の歌詞を知らないんじゃないでしょうか?

矢的八十郎矢的八十郎 2009/04/05 00:48 はじめまして。ネットと同人誌で活動中の特撮マニアです。
いつもはROMしながら楽しませていただいていましたが、特撮ヒーローの話題なのでつい血が騒いでしまいました。

通常のドラマに比べて様々なリスクを抱えた特撮ヒーロードラマは、その五十年ほどの歴史の中でいくつかの節目を迎えていました。
その中で今回の文章に関係しそうなのは、作品の乱立と石油ショックで内容低下を招いた「'74年危機」、ウルトラとライダーが不在の中で決定的なヒット作品に恵まれず一時は特撮ヒーロー作品が週一本まで追い込まれた「'78年危機」、SFブームの追い風で再開されたウルトラシリーズと仮面ライダーシリーズが新作のパワー不足でまたの中断となった「'81年危機」(いずれも仮称)の3つですが、唐沢さんは明らかにこの3つの危機を混ぜて語っています。

ウルトラシリーズと仮面ライダーシリーズがジャンルそのものの退潮で終了したのは「'74年危機」の翌年'75年であり、特撮ヒーローそのものはその後も制作され続けています。「'81年危機」の際に確かにウルトラとライダーは終了していますが、これはブームの流れと言うよりシリーズの新作が主にマーケティングの失敗で視聴者のニーズを外してしまったためであり、一方で戦隊シリーズは安定した人気を得ていました。
「宇宙刑事ギャバン」は、戦隊シリーズの人気が安定する中で、もう一本新たな路線を開拓すべく企画された作品です。もちろん、大きなリスクを背負ってはいましたが、ムック本のスタッフメッセージで「東映ヒーローの存亡がかかっていたゴレンジャーやスパイダーマンに比べると、青空の下で作られたイメージの作品だった」という主旨のコメントもあり、どう考えても唐沢さんが語るような追い詰められた状況での作品ではないように思えます。

もちろん、唐沢さんがこのへんの歴史をご存じないわけがなく、おそらくは「追い詰められて一発逆転を狙った作品」という先に用意した結論へ、限られた字数の中で誘導するために、約7年間の特撮ヒーロー史をごっちゃにしてまとめてしまったのではないかと思います。
しかし、約五十年という短い歴史しか持たないジャンルの中で7年間の状況を四捨五入して語ってしまうのは、明らかに乱暴であり誤読を招く内容です。

「宇宙刑事シリーズ」の内容をご存じないまま書いてしまっているのではという疑問については、全く同意です。せめて、こんなDVDを一通り見るだけでも、かなり違った文章になってのではないかと思います。
http://www.visionare.co.jp/ppvdvd/case/2009/01/post-42.html

以上、特撮マニアとしての蘊蓄でした。いきなりの長いコメントですみません。

kensyouhankensyouhan 2009/04/05 15:51 コメントありがとうございます。

丁寧に解説していただいてありがとうございます。勉強になりました。
今回のコラムがヘンなのは「知識不足」と「先に決めた結論に誘導するため」の両方だと思います。検証を進めていると、唐沢俊一の知識と能力に対する評価を下方修正していかなきゃいけないのがつらいですね。

今まで検証してきた感覚で言わせてもらうと、唐沢俊一が知っている特撮作品というのはそんなに多くないと思います。第1期『ウルトラ』、『ガメラ』シリーズ、東宝の特撮映画は一通り観ているようですが、それ以外はどうか?という感じです。実は『仮面ライダー』もちょっと危ないですね。『キカイダー』『コンドールマン』は観ているようですが。

どうしてその程度しか見ていない人が特撮について語れたかというと、潮健児さんと仕事していたからでしょうね。潮さんから平山亨プロデューサーへとつながり、そこから特撮関係者と知り合ったおかげだと思います。それで現在も『ゴジラ』や『ウルトラマン』関係の仕事をしているわけで、特撮関係者とつきあっている人間がそんなにウスいこともないだろう、という思い込みもあったのではないかと。でも、実際に唐沢俊一が書いた特撮関係の文章を読むとおかしな部分が多いわけで、さらに過去には『ゴジラ』や『ウルトラマン』を否定していましたし(どうして否定から肯定に転じたか説明してくれればいいんですけど)。特撮ファンにとっては困った存在になっているなあ、というのが正直な感想ですね。

市川大河市川大河 2009/04/05 21:49 はじめまして。
自ブログでウルトラ評論を展開しております、市川大河と申します。
ちょっと紹介されてこちらにお邪魔しました。
的確な指摘と適切な文章で、面白く読ませていただいております。
自分から、一つだけ唐沢氏へ突っ込みをしたいと思い、一筆とらせていただきました。
「女宇宙刑事ミミー」
そんな奴ぁいません(笑)
ミミーはあくまでコム長官の娘であり
ギャバンのアシスタントをしていましたが
別に宇宙刑事の資格は持っていなかったはずです。
相棒が女宇宙刑事になるのは、シャリバンのリリィからですよね。
無粋なツッコミになってしまいましたが
応援しておりますので、これからもがんばってください。

kensyouhankensyouhan 2009/04/06 11:12 コメントありがとうございます。

それは自分も気になっていたんですけど、『ギャバン』をちゃんと観ていない(?)相手にいちいち突っ込んでもなあ、と萎えてしまいましたw
たまにはもうちょっと高度な話をしてみたいです。

O.L.H.O.L.H. 2009/04/06 13:20 eg_2様

当たりです(笑)