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唐沢俊一検証blog

2009-09-06

ベロオリゾンテのくたびれもうけ。

13:45

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 唐沢俊一『新・UFO入門』(幻冬舎新書)P.120〜121より。

 当時の作業に関わった人の記録によれば、しかし建設作業の多くは行き当たりばったりで進められたらしい。当初は地元の義経神社に祭られていたオキクルミカムイの石像をハヨピラ(北海道平取町)の神殿に移転させて、石像を中心にした施設を造るだけだったのが、やがてオキクルミの業績を讃えるオベリスクの建立へと発展し、最後にはUFOを招来するための(やはり三つ子の魂百までで、最後までこの団体はUFOを呼びたがっていたようだ)ピラミッドと広場の建設、と、次第に規模が大きくなっていき、そのたびに振り回される会員たちは大変であった。硬い岩盤をツルハシで割り、タガネで砕き、数センチずつ掘っていく作業は気の遠くなるようなものだったろう。しかも、デザインから設計まで、全ては素人の手でなされたのである。

 しかし、彼ら信者がプロに勝る唯一のものが、信念である。最初、穴に埋めたベニヤ板を、“水を吸うのではないか”という松村の一言で全て撤去して普通の木材に変えたりというムダな苦労や、彼らの勝手な史跡破壊にクレームをつけてきた文化保護委員会との対立があったりした末に、着工からわずか1年半の短期間で、彼らは、北海道の地、オキクルミカムイ降臨伝承のある平取郊外沙流川のほとりに、直系(原文ママ)15メートルの太陽円盤マーク花壇、全長7メートルのオベリスクを中心とした、記念公園ハヨピラを完成させたのである。

 文中にある「当時の作業に関わった人の記録」というのは、天宮清氏のサイトにある文章のことである。

 当初は義経神社に祭られていた素朴なオキクルミの石像をハヨピラに移転し、石像を中心とした施設を作る計画であった。

 近くの女性会員から「偶像崇拝ではないか?」との意見も出されたが、「自分のために」ではないので、偶像崇拝には当たらないとして退けられた。

 その後、オキクルミの業績を称えるオベリスクの建立へ発展し、現地に入った我々は、そのオベリスクを建てる強固な基礎作りのための岩盤掘りが最初の仕事になった。

 私が到着した頃には、すでに丘の中腹の平らな土地が四角く掘られて、土の下から現われた岩盤を更に深く掘ることが必要であった。ツルハシで岩に筋目を入れ、縦横に筋目が入った時にタガネで岩を砕き、数センチ掘り下げる、この繰り返しであった。

 初日は思いきり頑張ったが、翌朝、食器を持とうとして食器が手から落ちた。

 オベリスクに表現されたオキクルミカムイは、三日月の形をした舟に乗り、手に稗を持ち、指差す頭上に円盤の形があった。

 このデザインは美術系の学生であったF氏によるものである。

 この像の型は大工仕事の得意なO氏によって作られた。最初、加工しやすい合板を使用したが、ベニアは水を含むのではないかと松村氏より勧告があって、急遽木材の板の加工に切り替えられた。

 …いつも思うのだが、どうしてちゃんと引用しないのだろう。天宮氏の名前を伏せている理由も不明だ。唐沢俊一の文章に天宮氏の文章に出ていない情報が含まれていることから、おそらく唐沢は別の資料も用いているはずなのだが、どんな資料なのか明らかではない。「盗用」とまでは言えないかも知れないが、どうにも迂闊な書き方なのだ。

 これは『新・UFO入門』という本そのものにも言えることで、UFOの歴史をテーマにしている本である以上、多くの資料に依拠しなければならないというのはやむを得ないのだが、資料の扱い方が雑なのである。上に挙げた文章にも見られるように、引用されている文章と地の文章が区別しにくい箇所が多々見受けられるのがまず問題である。もうひとつ問題なのは、インターネット上の資料に依拠している場合に、サイト名だけ書いてあってアドレスが書かれていないことである。そのおかげで困っていることがあって、『新・UFO入門』P.168〜171には「ネット上にある「宇宙人図鑑」というサイトからひろった宇宙人遭遇譚」が紹介されているのだが、その「宇宙人図鑑」なるサイトが見つからないのだ。『新・UFO入門』が発行された後で閉鎖されたのであれば、それでも構わないのだが、アドレスが分からない以上確認することもできない。たとえば、「宇宙人遭遇譚」の中のひとつに「マレーシアのメーキト・メルタジャム」という町で起こった話があるのだが、メーキト・メルタジャムという町が見つからない。ただ、ブキッ・ムルタジャム(bukit mertajam )という町があって、そこでUFOの目撃談があるので、たぶんそこのことなのだろう。果たして「「宇宙人図鑑」というサイト」が間違えていたのか、唐沢俊一の引用ミスなのか。また、「ブラジルのベリロゾンデ市」での話もあるが、これはベロオリゾンテ(Belo Horizonte)のことだろう。『サカつく』でも「ベロオリゾンテFC」が出てきたっけ。唐沢俊一は『新・UFO入門』の中で、ブラジルでのUFO・宇宙人の目撃談がミナスジェライス(Minas Gerais)州に集中していることに驚いているが、ベロオリゾンテがミナスジェライスの州都であることをスルーしているので首を捻ってしまう。…いずれにしても、引用元を明記しておいてくれないと、読者が後から興味を持って調べようとしたときに困ってしまうので気をつけて欲しい。巻末に参考文献と参考にしたサイトのリストも欲しかったなあ。時間が無くてリストを作れなかったのだろうか。

 結局のところ、唐沢俊一資料の使い方が下手なのだと考えざるを得ない。「古本についてたくさん書いているじゃないか」と思われる方もいらっしゃるかもしれないが、その多くは一冊の本を紹介する文章であって、『新・UFO入門』のように多数の資料に依拠しつつ自分の説を組み立てていくという作業はあまりしたことがないのではないか。もしかすると、文章の書き方や資料の使い方を教わったことがないのかもなあ。普通だったら、大学で論文を書くときに教官に教わるし、ライターだったら新人の頃に編集者に教えられるのではないか?と思うのだが。資料の使い方がルーズなせいで、ネット上から平気でコピペするようになり、ラクして原稿を仕上げることを覚えてしまったのではないか?とも思うのだが、どうだろう。 

※追記 同下宇陀児さんのご指摘に基づき訂正しておきました。 

新・UFO入門―日本人は、なぜUFOを見なくなったのか (幻冬舎新書)

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J.LEAGUE プロサッカークラブをつくろう! 6 Pride of J - PSP

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774774 2009/09/06 16:44 地名の間違え方が中岡俊哉か佐藤有文の怪獣本みたいですね。
事実かどうか確認できない点も。

同下宇陀児同下宇陀児 2009/09/06 16:58 重箱の隅を突くような指摘で恐縮ですが、bukit mertajam は「ブキッ・ムルタジャム」と発音します。

yonocoyonoco 2009/09/06 20:38 >引用されている文章と地の文章が区別しにくい箇所が多々見受けられる

これは、特定の資料をパクった時の「さも自分の考えた文章でござい」というが出ているのかもしれないですね

まあ資料の使い方が下手くそなのも事実なんでしょうが

編集者編集者 2009/09/07 06:35 指摘の通り、唐沢俊一はとにかく無能、ということ、
その唐沢を使う編集者もとにかく無能です。
でも唐沢の読者は過去も現在も全然いないので日本は大丈夫です

discussaodiscussao 2009/09/07 08:14 いつものように、つまらないとこに引っかかってしまいました。

編集者さん
>でも唐沢の読者は過去も現在も全然いないので
いちおう過去は(今と比べれば)それなりにいたとおもうし、それなりのステータスもあったと思うのですがどうでしょうか?
そのへんの評価(?)はいしかわじゅんの『秘密の手帳』にもあります(もしよろしければhttp://d.hatena.ne.jp/discussao/20090221#1144882968を覗いていただければ)。

以下蛇足で

ミルトン・ナシメントはブラジル、ミナス・ジェライス州(州都ベロ・オリゾンチ)のシンガー・ソングライター。ジルベルト・ジルやカイターノ・ヴェローゾら、バイーア出身のトロピカリズモ派と同世代。他のソングライターに比べると当時としても格段に和音進行が複雑で、ジャズの影響はよく指摘されている。そのへんが好まれたのか、いくつかの曲が日本のアーチストにカバーされている。
1.「トラベシア」:ムーンライダーズ『ヌーベル・バーグ』
同曲はビョークもカバーしてますね。

2.「砂の岬」:The Boom シングル「手紙」b/w
’75年アルバム「Minas」収録曲
「Minas」は村上春樹も愛聴しているとか・・・(http://b3shibuya.sblo.jp/article/28810288.html)。
「Minas」と翌年の「Geraes」はカップル・アルバムで、続けて読むとミナス・ジェライスとなる。

失礼しました

mailinglistmailinglist 2009/09/07 10:10 「鮎川氏はこのトリビアを披露したあと“と、いった具合の駄ボラである”と書いていて、高校生だった私は文字通り、これを読んで抱腹絶倒した」(http://moura.jp/liter/toukouran/035/index.html)

ウェブ上の特定のサイトから拾ったというのがネタなのかもしれませんねえ…。セルジー・ポントワースの事件、ブルーストンウォークの事件、北見市の事件は書籍で扱われているわりと有名な事件で、ただ北見市の事件の内容はネット上では容易にみつからないから、頭が人間の3倍とかタコ型宇宙人とかホントかな? 平野威馬雄の本にあたればいいわけだけど。

mailinglistmailinglist 2009/09/08 00:46 http://gomibox.hp.infoseek.co.jp/yougo01.htm
「ウンモ星人GOGO!!」のビルボルド(ヴィルボルデ)の宇宙人というのが『新・UFO入門』と内容がかぶっていて、「ECCP」というサイトとの関連が示されています。このサイトはもうなくなっていて、しかしここの「宇宙人大図鑑」はかなり評判がよかったらしい。2006年の末までは存在していた様子です。
http://b.hatena.ne.jp/entry/eccp.to/

同下宇陀児同下宇陀児 2009/09/08 03:03 宇宙人大図鑑ならインターネット・アーカイヴで見られますよ。

Internet Archive
http://www.archive.org/web/web.php

宇宙人大図鑑
http://eccp.to/zuka.html

SawaharaSawahara 2009/09/08 12:57 要は情報ソースに対する敬意が唐沢にはないんでしょうな。

774774 2009/09/08 20:55 >要は情報ソースに対する敬意が唐沢にはないんでしょうな。
Sawaharaさん、そんなことしたらパクリを認めちゃうことになっちゃうじゃないですか。
コンビニで売ってるオカルト本なんかも最近は一切ソース提示がないものが増えました、これは少なからず唐沢氏の影響があるのではないのかと考えています。

kensyouhankensyouhan 2009/09/12 15:34 コメントありがとうございます。

>774さん
「トンデモ本」を検証するはずの本が「トンデモ本」になってしまっているということでしょうか。

>同下宇陀児さん
訂正しておきました。ネット上でそのような表記を見ていたのですが「地名が「ッ」で区切られることってあるんだろうか」と疑問だったので助かりました。

>yonocoさん
両方でしょうね。ライターとして基礎的な訓練をしていないんだろうな、とは思います。

>編集者さん
読者は一応今でもいるようですし、唐沢を使いたがる人間も今でもいるようです。

>mailinglistさん
『新・UFO入門』の該当部分で紹介されている事件は検索すればだいたい発見できます。「クレルマー星人」とかいうのは見つかりませんでしたが。

>Sawaharaさん
っていうか、「敬意」というもの自体を唐沢俊一が持ち合わせているのかどうか。

>774さん
逆の方向に影響が出て欲しいものです。

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