唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

月光一攫千金。

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・1970年代後半に札幌でアニメ関係のサークルに入って活動されていた方、唐沢俊一に関連したイベントに興味のある方は下のメールアドレスまでご連絡をお願いします。

karasawagasepakuri@yahoo


 SPA!』1996年6月26日号に、「「オタク長者」今昔物語。平成の一攫千金野郎は、世界を目指す?」というタイトルの岡田斗司夫唐沢俊一の対談が載っていた。唐沢の肩書は「マンガ評論家」となっている。

岡田 一昔前の一攫千金というと、『宇宙戦艦ヤマト』のプロデューサー、西崎義展さんの儲け方はスゴかったよなあ。それは放映料じゃなくて、キャラクター商品の版権料で儲けてた。『ヤマト』のおかげで日本中にアニメショップができたわけだけど、そこからとんでもない権益を巻き上げてね(笑い)。第一次アニメブームの人気のピークあたり、80年代前半ごろに、当時の後楽園球場にファンを無料で招待して、全員に5000円分のヤマト商品を持たせたりするイベントまで企画してたぐらい、ボロ儲けしてたわけですから。もう、今のエイベックス・トラックスの比じゃないの。

 へえ、そんなイベントがあったのか…、と思いかけたのだが、岡田は「企画してた」と言っているが「開催された」とは言ってない。ネット上でもこの話は見つからないので実際に行われたイベントなのかどうか…。日本武道館での「ヤマト・フェスティバル」(「MAH's Memory」を参照)でも十分凄いと思うのだが。東京ドームでの『8マン』試写イベントの話をなんとなく思い出した。
 ついでに指摘しておくと、なぜ「利益」じゃなくて「権益」なのか? 西崎義展はアニメショップから利益だけでなく権利も巻き上げていたのだろうか。

唐沢 しかし、マンガ家ってのはそもそも、長谷川町子手塚治虫の昔から、長者番付にのるような儲かる職業だったんですよ。物価がどんどん上がっているにもかかわらず、ここ20年ぐらい、原稿料って変わってないでしょ。だから、今から20〜30年ぐらい前だったら、普通に月刊誌で30ページ連載してるだけで、土地買えて、家買えて、プロダクションも作れた。例えば、横山光輝さんなんか、普通のサラリーマンの月収が5、6万だった時代に100万の月収があったという……。むしろ、今よりサラリーマンとの格差は大きかったんだよね。

 長谷川町子手塚治虫が長者番付に載っていたことは確かなようだ(「誰か昭和を想わざる」より)。横山光輝昭和36年、37年、39年に登場している。
 しかし、「長者番付に載るくらい稼いでいる漫画家がいる」ことは「漫画家が儲かる職業である」という証明にはならないのではないか。漫画家全体で平均をとらないと。まあ、この対談のタイトルにあるように「一攫千金」できる可能性はあるのだろうけど。


この後、岡田は、

「アニメは食えない」なんていう話は実はウソ。ちゃんと能力があったら十分儲かる仕事なんですよ。

と言っているが、その一方で、

実は彼ら(引用者註 実力のあるアニメーター)が高額のギャラをもらってる分、その帳尻合わせとして月収4万なんていう平のアニメーターをいっぱい雇うわけ。

とも言っていて、それだとやはり「アニメは食えない」ということになるのではないだろうか。

岡田 これは、アニメ化とかゲーム化という、マーチャンダイジングから利益を得るようになったのがデカいですよね。それまではあだち充がコミックスを1億冊売ったからって、そこから派生する商品なんてなかった。そのあたり、江川達也の『マジカルたるるーとくん』(原文ママ)への転身は見事だった。まだ青年マンガしか描いてなかった時期に『少年ジャンプ』に売り込んで、編集者の指導のもとで描いて大ヒット、アニメや関連商品にもなった。

 いや、あだち充の作品もアニメ化されてますって(OVAも入れると7作品)。最近でも『クロスゲーム』がアニメ化されている。『タッチ』なんかテレビゲーム化までされてるし。

いくらなんでも原作を無視しすぎ。

唐沢 マンガでヒット作を出すのは、自分の能力に対して客観的な位置付けさえできれば、実はチョロいものなんです。

 うわー、『まんが極道』の中で出てきそうなセリフだー。「お兄さんがこんなこと言ってますけど、本当ですか?」って唐沢なをきに聞いてみたい。
 好意的に解釈すれば、かつてソルボンヌK子と組んでレディース・コミックで億単位のカネを稼いだ経験からこのように言っているのかもしれないけど。でもそれだったら、もう一度2人で稼いでみればいいのに、と思った。「チョロい」んでしょ?

岡田 マンガやアニメの一攫千金といえば、今はやっぱり海外だよね。日本のアニメが海外でブーム化しちゃったもんだから、いま買い付けラッシュがすごいんだ。アニメ絵が描けるっていうだけで、グリーンカードアメリカ永住権)が取りやすいっていうハナシまである。昔、アメリカ人で『うる星やつら』の動画をたった3か月だけ描いてたってヤツいたんですけど、それだけで今はステイタスになってて。そいつ、講演旅行だけで遊んで暮らしてるんだってさ(笑い)。

 ツバをつけすぎて眉毛がビショビショだよ。岡田斗司夫はもうひとりの「うそつきくん」なのか。「テキトーに聞いている分にはいい」けどさあ。
 「日本のアニメの買い付けラッシュがすごい」→「グリーンカードが取りやすい」の流れが今ひとつわからない。アメリカでは「日本のアニメ」が求められていたわけなんだろうし。


 …今回紹介したのは、約15年前の対談なのだが、2人の発言に感銘を受けてマンガやアニメの道に進んだ人っているのだろうか。自分はネガティブ思考なので、2人が「才能があれば儲かる」と連呼しているのを見て怖くなってしまったのだけど。


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