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唐沢俊一検証blog

2011-03-11

唐沢商会『東方見物録』について。

10:48

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karasawagasepakuri@yahoo


 明日(3月12日)13時30分から日本テレビで放送される『半径3mの解体新書』唐沢俊一が出演します。雛壇に座ってますね。みんなも観よう!


 快楽亭ブラック師匠のブログで2月11日の「天才ライブ」の模様が書かれている。当日は雪だったからお客さんも来なかったっぽいけど、気になるのはブラック師匠がライブの後で『柳生旅ごよみ 女難一刀流』を観ていること。唐沢俊一と一緒に観たのだろうか。唐沢の『柳生旅ごよみ 女難一刀流』の感想については藤岡真さんのブログを参照されたい。


 本題。唐沢俊一初の連載、より正確に言えば唐沢商会初の連載である『NEWパンチザウルス』の東方見物録』について、先日図書館で『ザウルス』のバックナンバーを確認してきたので、今回はあれこれ書いておく。

 

 まず、この『東方見物録』で「唐沢商会」というユニットが結成されたものと思われる。『ザウルス』の前身である『平凡パンチ』1988年1月7日・14日合併号に『鋼鉄人間28号』というマンガが掲載されているが(『近未来馬鹿』所収)、そこでは唐沢俊一となをきの名前が別々に記されている。また、『東方見物録』のタイトルページには毎回「唐沢兄弟商会提供」と書かれていて、唐沢俊一初の単著である『ようこそ、カラサワ薬局へ』(徳間書店)のプロフィール欄にも「唐沢兄弟商会」とあったことを考えると、もしかするとユニットの正式名称は「唐沢兄弟商会」なのかもしれない。

 なお、連載第1回目ではタイトルが東方見聞録となっていたが、第2回目からは『東方見物録』となっている。第1回目で誤植してしまったのか、マルコ・ポーロ側から抗議があったのかはわからない。

 

 次に、『東方見物録』は『NEWパンチザウルス』創刊号から15号まで連載されているが(『ザウルス』は19号で休刊)、『脳天気教養図鑑』(幻冬舎文庫)に収録されていない回がいくつかあるので、以下にタイトルを挙げておく。


第1回「唐沢兄弟登場す」

第5回「ストレス&バイタリティ」

第8回「ブレイン・ダメージ」

第9回「EAST IS EAST」

第12回「未来世紀トキオ」


 以上5本は『脳天気教養図鑑』未収録である。そのほか、単行本に収録されている作品でも、雑誌掲載時からかなり修正されているので、唐沢なをきマニアの方は比較してみるといいかもしれない。また、『東方見物録』連載終了後の『ザウルス』17号にも唐沢商会のマンガ明日に向かってツッパレ』が掲載されているが、おそらくこれも単行本未収録なのでは(『ザウルス』最終号に掲載された『聞き書き 怪談』は『唐沢商会のマニア蔵』に収録されている)。

 唐沢俊一唐沢なをきはともに「取材が苦手」と言っているだけあって、単行本未収録の作品の大半が取材ものである。だから、『ガロ』に移籍してから持ち味が出たのは確かだと思う。


 それでは、単行本未収録の作品について気になった点を簡単に取り上げておこう。

 第5回で、唐沢兄弟は阿佐ヶ谷ホルモン酒場に取材に出かけ、そこで居合わせた客から競走馬下痢させてイカサマを仕掛けた話を聞かされている。実は『社会派くんがゆく! 乱世編』(アスペクト)でも唐沢俊一は同じ話をしているのだが(藤岡真さんのブログを参照)、そこでは「二十代」のころに「人生の師」から聞かされたことになっている。…どういうことなんだろうなあ。

 あと、第12回で唐沢俊一「昔からSF小説を読む時にはロボットロケット・光線銃以外の用語を飛ばして読んでいた」という内容の告白をしている。…「エスパー」とか「ベム」とか「ナノマシン」とかもダメなのだろうか。SF小説を読むときにはその手の用語を読むのが楽しいと思うのだけど。「ジョウント」とか見るとワクワクしない? さらに唐沢俊一「ワープやハイパードライブをみんな理解して使っているのか」という内容の発言もしている。山本弘会長に説明してもらえばいいのに。この後「銀背はほとんど読んでいる」とも言っているのだが、それまでSF心のまるで感じられない発言をしているおかげで説得力がまるでなくて困る。そんな人がどうしてSFを読んでいたのだろうか。


 以下は余談。『NEWパンチザウルス』や末期の『平凡パンチ』を読んでいると実に面白くて、「船木優治の初々しさに注目!」という見出しを見つけて吹き出してしまったり、マキノ雅裕と牧野アンナの対談(つまり祖父と孫娘)なんてものを発見して驚いたりして、本当に楽しかった。時間があればこういう昔の雑誌をじっくり読んでみたいものだ。

 一番ビックリしたのは藤田和日郎が『ザウルス』で投稿ページのイラストや自動車のPRマンガを描いていたことで、「富士鷹ジュビロ先生もこんなことをやっていたのか」となんだかお得な気分になった(この翌年に『うしおととら』の連載がスタート)。

 あと、『ザウルス』最終号の恐怖特集に掲載されている日野日出志『奇胎の海』が本当に不条理かつグロテスクな傑作で、図書館の中で「キター!」と内心こっそりと大フィーバーしてしまった。『怪奇曼荼羅』(桃園書房)に収録されているので興味のある人は探してみよう。個人的に日野作品からは人格形成に多大な影響を受けているものの、「あまりにも凄すぎて逆に怖くない」という感じ。伊藤潤二も同様。…あ、そういえば、朝日ソノラマの『伊藤潤二コレクション』で唐沢俊一が解説を書いていたっけ。当時は唐沢に興味が無かったから「ふーん」と適当に読んでしまったけど。もう一度チェックしてみるかな。


 話がかなり脱線してしまったが、今後もこんな感じで単行本に収録されていない唐沢俊一の作品をチェックしようと思います。いよいよマニアックになってきた…。

脳天気教養図鑑 (幻冬舎文庫)

脳天気教養図鑑 (幻冬舎文庫)

社会派くんがゆく!乱世編

社会派くんがゆく!乱世編

近未来馬鹿

近未来馬鹿

唐沢商会のマニア蔵 (DNA comics)

唐沢商会のマニア蔵 (DNA comics)

虎よ、虎よ! (ハヤカワ文庫 SF ヘ 1-2)

虎よ、虎よ! (ハヤカワ文庫 SF ヘ 1-2)

船木誠勝 海人

船木誠勝 海人

ドラゴンクエストII

ドラゴンクエストII

うしおととら 全19巻 完結コミックセット(小学館文庫)

うしおととら 全19巻 完結コミックセット(小学館文庫)

怪奇曼陀羅 (TOEN COMICS HORROR SERIES)

怪奇曼陀羅 (TOEN COMICS HORROR SERIES)

伊藤潤二恐怖マンガCollection (12)

伊藤潤二恐怖マンガCollection (12)

 

吼えろペン 1―Comic bomber (サンデーGXコミックス)

吼えろペン 1―Comic bomber (サンデーGXコミックス)

桃李庵主人桃李庵主人 2011/03/11 12:17 >そんな人がどうしてSFを読んでいたのだろうか。

こたえ:「純文学」(=「正統派」=「権威」=「世の良識ある大人」=「優等生ども」)に対抗するため。で、FA?
素直にSFが「好きだから」ではなく、「世間との闘い」と構えちゃう。これぞ「まぼろしの市街戦」。
「SFか純文学か」という対置も、ジャンル分けそのものさえも、意味を失って久しい以上、このスタンスも当然宙に浮きます。

kogonilkogonil 2011/03/11 12:44 >マルコ・ポーロ側から抗議があったのかはわからない。

お昼休みに見ていて、リアルにお茶フきました。
何事も、油断して見ておってはならないと学びました。

通行女子通行女子 2011/03/11 16:47 マルコ・ポーロって雑誌がありませんでしたっけ。

リーダーズダイジェストリーダーズダイジェスト 2011/03/11 21:04 あれ、ザウルスお探しだったんですか、あらあ。もし今後、岡田氏の検証で初期のOUT/アニメック誌が必要な時はおっしゃってください。

kogonilkogonil 2011/03/11 21:50 「抗議」がらみで話題になったマルコポーロという雑誌は1991年創刊ですから、このエントリーの対象である連載の時点では存在していませんね。
kensyouhan氏のこっそりボケのおかげで、キーボードをこっそり共有PCのものと取り替えました。

サーネフェルピトーサーネフェルピトー 2011/03/11 22:07 サイバラの雑誌キラー「鳥頭紀行」で有名なマルコポーロですね

あと地震の影響で放送されるのか否か・・・

NgNg 2011/03/12 01:25 【地震】 岡田斗司夫「不謹慎だけど、ラッキー!?RT 実写版エヴァンゲリオンをみてるようだった!」
http://hato.2ch.net/test/read.cgi/news/1299845510/

? 2011/03/12 05:22 藤田和日郎先生はうしおととら以前に(ヘタしたらデビュー前に)マンガ入門本をだしてるんですよね。
老若男女の表情集なんて素晴らしいですけどね。

栃尾ジョー栃尾ジョー 2011/03/12 14:30 >明日(3月12日)13時30分から日本テレビで放送される『半径3mの解体新書』に唐沢俊一が出演します。雛壇に座ってますね。みんなも観よう!

そんなものどっかに消えた…


>こたえ:「純文学」(=「正統派」=「権威」=「世の良識ある大人」=「優等生ども」)に対抗するため。で、FA?
>素直にSFが「好きだから」ではなく、「世間との闘い」と構えちゃう。これぞ「まぼろしの市街戦」。
>「SFか純文学か」という対置も、ジャンル分けそのものさえも、意味を失って久しい以上、このスタンスも当然宙に浮きます。

唐沢に向かって投げたナイフが山本弘の頭に刺さる
SF同好会崩れの私の感想ですけどSFファンてのは「SF=反権威、自由」、「純文学=権威、不自由」という構図を作って「権威&自由の戦い」をやりたがる傾向が強いですね
でもSFにも「こういう条件を満たしてさえいればSF」というプチ権威的で不自由で「SFというジャンル内の空気を読むこと」だけに長けた作家が書いているSFもあれば、
破天荒でお行儀の悪い「権威?何それ?食べられるの?」的なフリーダム過ぎる純文学もあるので「SF VS 純文学」という構図自体が無意味で不毛だと思いますよ
自分の秘密基地(笑)に無修正少女ヌード写真集をうPしている山本弘は無毛な少女の股間にこだわりがあるから「無意味で不毛」が好きなのかも知れませんが

幻灯機幻灯機 2011/03/14 13:40 kensyoukanさん、ご無事でしょうか。

kensyouhankensyouhan 2011/03/14 17:04 コメントありがとうございます。

>桃李庵主人さん
そういえば唐沢がSFを読む切っ掛けはなんだったのか。どこかに書いてあったっけ。
高校一年生のときに山田風太郎を読んでSFから転向したと書いてあったような覚えが。

>kogonilさん
あ、よかった。ジョークだと通じた。ご迷惑をおかけします。

>通行女子さん
ありましたね。

>リーダーズダイジェストさん
『OUT』はいずれチェックしてみないといけませんね。

>サーネフェルピトーさん
しませんでしたね。今週の土曜に延期かな?

>Ngさん
「不謹慎だけどラッキー」とこの後の「ニュースは一日三回」云々は「災害を他人事として捉える」点では共通していると思います。
でも、今回の災害は「東京に住んでる」人にとっても決して他人事ではないはずです。
棚がカラッポになったコンビニやスーパー、人であふれかえる朝の駅、計画停電の影響で閉店したファストフード、
そういった具合に岡田と同じく東京在住の自分の周囲にも影響は間違いなく出ています。岡田斗司夫式の思考法には確実に何かが欠落していると思わざるを得ません。

>?さん
自分は『うしとら』ファンなので思いがけない発見でした。
「この女の子、麻子っぽいなあ」「このおねーさんはかがりに似ている」といった感じで。

>幻灯機さん
ご心配をおかけしました。幸い自分は無事でした。
ただし、災害の影響でネットや電力などが不安定な状況にあるので、今後しばらく更新が滞りがちになると思います。週末までに一度更新するつもりです。
唐沢俊一の地震の被害者へのお見舞いについても思うところはあるのですが、それについては夏コミで出す予定の本で書くことにします。

?????? 2011/03/16 01:31 地震からこっち更新がないようですが。

kensyouhankensyouhan 2011/03/16 13:12 コメントありがとうございます。

いろいろ考えて更新を控えてました。キリのいいところまで記事を書いた後で今後の方針を決めようと思います。

discussaodiscussao 2011/03/16 18:35 >「不謹慎だけどラッキー」とこの後の「ニュースは一日三回」云々は「災害を他人事として捉える」点では共通していると思います。


こんな発言もしてますね。↓

>アニメやドラマを見ていると、非常事態になったら騒ぎ出して責任を追及する「ヒステリックな市民」というのが出てくるよね?僕はああなりたくない。普段は専門家にツッコミ入れようとも、非常時には彼らを全面的に信用する。でないと誰も責任者をやってくれなくなる(http://togetter.com/li/110864)

独善的に説明することで「災害」を直視しないことの言い訳に聞こえます。岡田斗司夫は自分を「大人」と規定しているけれど、「大人」は責任を担う者。私は、岡田が言論人としての責任を果たさなければならない局面で毎度逃げているところばかり見ています。だからここでの、第三者の「責任者」を設定して全てを委ねるような記述を読むと、そういう他者に仮託した免罪で言論人としての自己肯定の口実を作っているように感じてしまいます。

NgNg 2011/03/17 00:52 >「災害を他人事として捉える」
災害にかかわらずひどく現実とのコネクトが乏しい人ですよね、禁治産者を自称するだけはあります。
あの大災害時に「ラッキー」という言葉を「良いこと」として発してしまえる無神経さは
アンラッキーな他人を省みる事をせずに、「アンラッキーな自分」と「ラッキーな自分」だけで自己完結している証拠と言えますね。

Powell Powell 2011/03/17 05:18 >桃李庵主人さん

それは山本弘についてはあてはまるかもしれませんが、唐沢についてはあいにくと真逆で、純文学に「世の良識ある大人」「優等生ども」像を崩そうとする姿勢があることが(実際の純文学にそれができているかどうかはどもかく)気に入らないからですよ。唐沢たちがやたらと自分を「大人」と規定したがることを見てもわかるように。

なお、「鬼畜」を自称したりもすることについてはそれもまた「青臭い正義を唱えたりしない大人」という自己規定のゆえです。

kensyouhankensyouhan 2011/03/19 19:26 コメントありがとうございます。

>discussao さん
>Ngさん
「都合の悪いことを無視する」のと「前向きに考える」のとでは全然違うと思います。

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