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唐沢俊一検証blog

2011-09-25

007/ホメオパシー

01:21

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杏子がかわいいから久々に更新してみる。


「くだらな日記」で唐沢俊一先生の内的世界史がまとめられている。面白いからそのうち自分も何かまとめてみよう。

 唐沢俊一の弱点のひとつに「歴史が苦手」というのがあって、初単行本の『ようこそ、カラサワ薬局へ』(徳間書店)でもクスリ関係の記述はそれなりなのに(詳しい人が読めばさらにミスが見つかる可能性はある)、クスリの歴史を説明する章はボロボロになってしまっていた。古本をよく扱っていたから歴史は得意なように思われているかもしれないが、それは誤解である。得手不得手があるのは仕方のないことだが、歴史が苦手な人が社会批評らしきことをやったりするのはマズかった、と今にして思う。


「高須克弥オフィシャルブログ」で「と学会」の例会の模様が紹介されている。写真には唐沢俊一らしき人物も写っている。高須院長は「と学会」の「名誉会員」になったらしい。

と学会

奇妙な学説や人物を

観察し

からかって遊ぶ

バードウオッチングみたいな

マニアックな集まり

 そういう人たちが今や「観察」や「からかい」の対象となっているのだから面白い。



唐沢俊一夏コミの新刊『裏亭mixi雑文集』P.18〜P.19に「ホメオティーニ」という文章が収録されている。ホメオパシーマティーニを愛好する人には「一脈相通ずる」ものがある、という内容である。


 ホメオパシーというのは、信奉者によると、水の中に溶かした成分が薄ければ薄いほど効果があるという。希釈をくりかえし、元の成分が1分子も残らないようにするという。それはもう、薄めるという語意を逸脱しているのではないかと思うのだが。


 そして、マティーニの愛好家にはベルモットの量をできるだけ少なくしようとした人が多いとして、チャーチルクラーク・ゲーブルの例を紹介している(ウィキペディアを参照)。また、ウィキペディアには載っていないが、オーソン・ウェルズが「ベルモットの銘柄を頭に思い浮かべながらジンを飲んだ」という話も紹介している。唐沢はこれらのエピソードを丸谷才一のエッセイで知ったらしい。


 ということは、ホメオパシーマティーニの愛好家に「一脈相通ずる」ものがあるとするならば、ホメオパシーが「薄ければ薄いほど効果がある」としているように、マティーニの愛好家は「ベルモットをできるだけ少なくした方がかえってベルモットの良さが引き立つ」という風な発想をしているのだろうか。ふだん酒をあまり飲まない自分はそう思ったのだが、続きを読んで混乱してしまった。


 ホメオパシー思想の根本には、神が創造したもうた人間の自己治癒力を信じず、健康を薬品で左右することへの嫌悪感がある。ならば病気に関係するものの摂取を一切拒否すればいいのだが、人間、病状を改善する物質をとりたがるのは、犬や猫が体調が悪いときに庭の草を食べて治そうとするのと同じく生存本能としてある欲求である。

 そこでその間をとり、薬効成分の全く含まれていない物質をレメディーと称して摂取するという考え方が現れる。


 ジンのストレート飲みが底辺階級労働者の飲み方として軽蔑せられ、カクテルこそ上流人士の飲み物、とされていた時代、それでも強い酒が飲みたいんだよう(原文ママ)、という飲ん兵衛たちが、ベルモット含有が少ないマティーニが通のマティーニ、という理屈をひねくりだし、さまざまに理由をこじつけてジンのストレートを飲んでいたのは、ホメオパシー一派の人たちの理屈とそう差異はないように思うのである。


 …いや、今でもドライ・マティーニを好きな人はいるだろうに。ジェームズ・ボンドも「それでも強い酒を飲みたいんだよう」と思っていたのだろうか(ボンドが飲んだのはウォッカ入りのマティーニ)。あと、レメディーの説明がヘンで(日本ホメオパシー医学協会公式サイトを参照)、「ホメオパシー一派の人たちの理屈」を理解していないのではないか?と疑わしくなってしまう。そうなれば、この「ホメオティーニ」という文章そのものも疑わしくなってしまうのだが。

 なお、唐沢俊一は『トンデモ本の世界R』(太田出版)でホメオパシー本にツッコミを入れているが、意外にもホメオパシーに肯定的である(「トンデモない一行知識の世界2」を参照)。もっとも、健康が悪化しても病院に行かずに自己流で治そうとして結局入院することになった経緯を記憶している人間にとってはさほど意外でもなかったりする。



 「今度ドライ・マティーニを飲みに行こう」と思いつつさらに読み進めると、次のようにあった。


 私も20代の頃はカクテルバーに日参してハマったものだが、最近は滅多に飲まない。酒はストレートが一番!

 どうせ底辺階級であるわけだし。


 カクテルバーに通っていた件については「裏モノ日記」2007年2月26日を参照。同日の日記には学生時代に文学研究会に入っていたという情報もある。

 なお、「裏モノ日記」を少し調べたところ、2009〜2010年に唐沢俊一マッコリのソーダ割り」を飲んでいる旨の記述がしばしば出てくるが、最近ではストレートを好むようになっている、と考えれば筋は通るので突っ込まない。

 唐沢俊一には、身体に気をつけながら楽しくお酒を飲んでほしいものだ。




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ブスの壁

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トンデモ本の世界R

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トンデモブラウトンデモブラウ 2011/09/26 06:18 『漢方薬』自体も、『ホルミシス効果』や『ホメオパシー』と同じプラセボというか「何となく気のせい」の世界なので、唐沢の背景としてもシンパシーを感じるんでしょうね。
それらを嘲笑うグループにいて、付和雷同していた時の心情は図りかねますが。

foobarfoobar 2011/09/26 07:13 「ジンのストレート飲みが底辺階級労働者の飲み方として軽蔑せられ、カクテルこそ上流人士の飲み物、とされていた時代」ってのも、いかにももっともらしい書き方ですが、実際どうだったんでしょうね?

「とされていた」なんて書くからには、WhenとWhereの要素は必要だと思うんですが。(省略された箇所に書いてあるのかな?)

discussaodiscussao 2011/09/26 08:02 >WhenとWhereの要素

記述からは英国の<「ジンの時代」(1690〜1750)>もしくは<19世紀の「ジン・パレス」隆盛時代>のどちらか、あるいは両方、を指すものと思われるが、「ストレート」前提なので「ジン・パレス時代」後半か。またどちらを指すにせよ、底辺階級限定の飲み物というよりも、どちらかといえば「大衆的」な飲み物という捉え方がなされているのでやや不正確か。
これとかhttp://www2m.biglobe.ne.jp/~shotaro/no487.html井野瀬久美惠の諸イギリス文化についての本他参照

foobarfoobar 2011/09/26 09:49 discussaoさん、ありがとうございます。
ご教示いただいたリンク先を読みました。ジンという酒があまりにも安価になりすぎたために、上流階級の人々は飲まなくなったというなら理解できるのですが、やはり「酒の種類そのものではなく、飲み方で軽蔑される」なんてことが本当にあったのかという疑問は残ります。

dhu-do dhu-do 2011/09/26 15:31 >ジェームズ・ボンドも「それでも強い酒を飲みたいんだよう」と思っていたのだろうか(ボンドが飲んだのはウォッカ入りのマティーニ)。

昔買った『007/ゴールデンアイ』のパンフによるとボンドの酒の趣味は“かき混ぜずシェイクした”ドライ・マッティーニが好物でただし深酒はしないというのでして・・・・

酒で語るならジョエル&イーサン・コーエン監督の『ビッグ・リボウスキ』のジェフリー・リボウスキ(主人公デュード)のホワイト・ロシアンにも触れて欲しかったな・・・・・

デュードデュード 2011/09/26 15:40 dhu-do→デュードでした。

すいません

SY1698SY1698 2011/09/26 22:18 古谷三敏「レモン・ハート」第2巻か第3巻か忘れましたが、「超ドライマティーニを出せ」というスノッブな客に、サングラスの常連が「本当のドライマティーニは、ベルモットの瓶をチラッと見て心の中で感じるものだ」と切り返して客を退散させるというやりとりがありましたが(それに対しマスターが「その印象が強すぎるからそれでもドライじゃないよ」というオチがつく)、なぜかそれを連想しました。ホメオパシーなんて、アルコール嗜好者の対極なんじゃないでしょうか。アルコールを分子級まで薄めて、ってそれタダの水。

マティーニも何をベースにするかによりますね。ビーフィーター、ボンベイ・サファイア、タンカレーとか。そういうこだわりがあるとは思えませんが、当然そういう記述はございませんでしたよね? マッコリ(アルコール濃度は獨酒どころではなく、せいぜい発泡酒程度)をソーダ割りする御仁が、マティーニを語る所がまったくもって「らしい」と言えるのですが。

酒とバカの日々酒とバカの日々 2011/09/27 16:52 チャーチルがマティーニの辛さにこだわったのはジンの口当たりの良さがメインであって、別にベルモットが好きでマティーニを飲んでいたわけじゃないでしょう。
ドライベルモットの銘柄を思い浮かべながらジンを飲んだのは、ウェルズもやったかもしれんけど、チャーチルが元祖。ウィキにも書いてあるでしょ。
小説カジノ・ロワイヤルでボンドが注文したウォッカ・マティーニ・シェイクは、当時のマティーニ党から邪道と呼ばれたのは有名な話。

kensyouhankensyouhan 2011/09/28 13:02 コメントありがとうございます。

>トンデモブラウさん
志水一夫もビリーバーだったので、唐沢がホメオパシーを否定しないのもアリなのかもしれません。

>foobarさん
本文中に特に説明はありませんでした。

>SY1698さん
結局、ホメオパシーとマティーニ愛好家の間には「ものすごく薄める」という共通点しかないような気がします。

>酒とバカの日々さん
唐沢は一連のエピソードを丸谷才一のエッセイを読んで知ったらしいので、できれば現物をチェックしたいところです(ただ、唐沢は丸谷のエッセイを再確認せずに記憶に頼って書いている模様)。

個人投資家個人投資家 2011/10/04 00:40 ジンが労働階級向けの粗悪で手軽な酒と見なされたのは19世紀以前。
マティーニが考案されたのは20世紀

ホメオパシーは水で薄めるのだけど、ベルモット(ワイン)をジンで割るとかえってアルコールの度数が上がってしまうのでは? ジンって40〜50度だし。

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