唐沢なをき検証blog16.
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●平野耕太がTwitterで『まんが極道』を絶賛していたが、ララァさんに萌えているのはさすがメガネっ子好き。『ドリフターズ』最新刊も面白かったなあ。
●そんな『まんが極道』の前身ともいえる『漫画家超残酷物語』の増補版と『まん極』をリニューアルした『まんが家総進撃』2巻が今月25日に同時発売される。『漫画家超残酷物語』増補版には呉智英の解説が新たにつくらしいが、実は呉さんは『まんが家総進撃』2巻でも思わぬ形で登場していたりするので、興味のある人はチェックしてみよう。
●で、今回は現在発売中の『コミックビーム』12月号に掲載されている唐沢なをき『まんが家総進撃』第13話「老後後後後後」を紹介する。…タイトルを見ただけで分かるように、「ギミノリ」シリーズまたは「老害」シリーズの第5弾である。
過去のシリーズについては、2012年2月22日と2012年8月26日と今年4月13日の記事をそれぞれ参照してほしいが、「老後後後後後」の中でもこれまでの流れがまとめられている。『コミックビーム』P.174より。
いろいろあって(ありすぎて)今や旧友の
逆富士イヌヒコ(72)の新居の、便所を
改造した一室に居候する干野ギミノリ(73)
であったが、どっこい新たに知り合った
若いオタク(50代〜60代)をとりまきにして、
まだまだ気を吐く毎日なのであった。
ひでぇ。
でも実際その通りだからしょうがないんだけど。ちなみに、ギミノリがイヌヒコの家に居候するまでを描いたシリーズ第4弾「老後後後後」も『まんが家総進撃』2巻に収録される予定。…にしても、「若いオタク(50代〜60代)」というのが地味にくる。本当の「若いオタク」からは相手にされていないあたり、いつものように誰かさんを連想してしまう。
今回の物語は、ギミノリが「ざざ虫くん」ファンの「若いオタク(50代〜60代)」たちから飲み会でちやほやされているところから始まる。『コミックビーム』P.173より。ギミノリのセリフは赤字で表記してある。
初めて知りました
ギミノリさんはやっぱりすごい
やっぱり昔からオタクやってる大先輩は違うや
昔からね
“ざざ虫三倍段”と申しましてね
奥が深いんですよ『ざざ虫くん』は!
君たち程度の“オタ教養”ではまだまだまだ
唐沢俊一も「怪獣三倍段」なる話をしている(2010年3月5日の記事より)。怪獣オタクは他のオタクよりもとりわけ濃い存在である、という考え方らしい。
『コミックビーム』P.174より。
やっぱりさ
われわれの世代ってのは特別でして
自分がオタクであることに対する心がまえが違うんですな
(だから偉い)
われわれが無理解な現実に対抗する生き方としてのオタクを自ら選択し実践してきたからこそ
今のオタク業界の繁栄があるのであって
つまりこの業界は私が育てたということで
「われわれの世代は特別」「私が育てた」
ますます誰かさんを思い出すなあ。年上のオタクから飲み会でこんな話をされたらメチャクチャ困るはずだが、「若いオタク(50代〜60代)」たちはギミノリの与太話をありがたく拝聴していたのだから行儀がいいというかなんというか。そんな飲み会が終わると一人1500円払うはずなのに、ギミノリはあれこれ理由をつけて500円しか払わないのであった。「先輩」なんだから奢ってあげればいいのにねえ。以下は余談だが、ギミノリを囲んでいた「若いオタク(50代〜60代)」の中に唐沢なをき本人とソックリな人がいるので笑ってしまった。いや、もちろん偶然なんだろうけど。
飲み会が終わって居候しているイヌヒコの家へと戻ったギミノリが酔っぱらって
〽みんな馬鹿―
みんな馬鹿―
みんな〜馬鹿―♬
私をのぞいてみんな馬鹿〜♬
という嫌すぎる歌を熱唱していると(P.175〜176)、イヌヒコが注意しにやってくる。だが、ギミノリは結婚したイヌヒコにまだ怒っていて、
本当のオタクってのは
この私のように73まで
立派に童貞を守った男のことを言うのであって
などと言うのであった(P.176)。…しかし、それって「立派」なのかなあ。まあ、「立派」ということにしとかないといろいろな意味でつらすぎるので、ここはギミノリさんの言う通りということにしておこう。うん、立派立派。
すっかり慣れっこになっているのか、イヌヒコはギミノリの罵詈雑言も受け流した後で、友人に忠告する。『ビーム』P.177より。
長いつきあいですからね あんたとは
今さらヤボなことは言わないよ
ただね
おたがいもう老い先短い人生なんですから
みっともないマネして人に迷惑かけるのはやめましょうってことで
毎晩若い人ひきつれてはしゃいじゃってさー
かげで笑われてるの気がつかないんですか
あなた
重い。
これは重い。長年の友人からの忠告だから重い、ということもあるが、同時に飲み会が大好きな誰かさんのことも連想してしまうので、二重の意味で重い言葉だと思われてならない。
だが、ギミノリはイヌヒコの忠告にも耳を貸さず、飲み会の席でたまたま出た話から「ざざ虫くん」のオンリーイベントを過去最大級の規模で開催しようと目論み、無謀にも実行に移してしまう。イベントのポスターにイベント名よりもギミノリの名前が大きく書かれているのは毎度のことだとしても、参加費5万円というのは高すぎである。コミケの5倍以上って…。
もちろん、そんなイベントに参加しようとするサークルもいないわけで、遂にイベント開催の危機が迫り…。この続きは『ビーム』本誌で確認してほしい。もう本当にこの人どうなっちゃうんだろう。
これまでのシリーズは「痛い」話が多かったが、今回は「重い」話だったように感じられた。イヌヒコの忠告のせいかもしれないが、これまでのエピソードよりもとある実在の人物のイメージを強く感じてしまったせいなのかもしれない。
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