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傑力珍怪

2009年10月05日

ダンプねえちゃんとホルモン大王の決闘を目撃した!  にいやなおゆき

「ダンッッ プッ。 ねえちゃんですっ!」

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先日、アップリンクファクトリーでの『ダンプねえちゃんとホルモン大王』最後の試写会に行って参りました。

いや、ダンプねえちゃんとホルモン大王の決闘に立ち会って来た、と言い直そう。

凄い決闘だった。

ゴジラキングギドラ……いや、むしろヘドラとサンダとガイラと獣人雪男デスマッチとでも言うべきか。

もちろんダンプねえちゃんはヘドラだ。

水槽内で泳ぐオタマジャクシ状の幼体ヘドラは、ドジョウコンドームを被せてメイクを施したもので、水槽に電気を通して動きを撮った。陸上ヘドラの頭頂部にはひび割れがあるが、公開当時は「怒ると脳味噌がはみ出てくる」と説明されていた。

以上、Wikipediaより。

凄いのは宮川ひろみさん演じるダンプねえちゃんだけではない。

何と言っても「オ〜〜ラァ〜〜〜!!」と叫ぶ切通理作さんの大先生が良い。

「ゴリラゴーゴー! ゴリラゴーゴーゴー!」「ダンッ?」「ダ?」「ンプ?」と、名台詞にも事欠かない。

他にも高橋洋さんやら、篠崎誠さんやら、吉行由実さんやら、友人知人の皆さんがドンドコ出て来る。これがまた名演、名キャスティング。この作品は自主映画界のオールスター映画でもあるのだ(高橋さん達は自主映画もやってるプロの人たちだけど)。

そう言えば、塩田明彦さんもカンフー映画のファンだ。ずいぶん昔、塩田さんに「カンフー映画を撮れば良いのに」と言ったら「カンフー映画というのは、実はスター映画なのだ、だからスターが居ないと成立しないのだ」と言われた事があった。

そうだ、『ダンプねえちゃんとホルモン大王』は、自主映画界のオールスター映画だからこそ、現代の日本でカンフー映画を成立させ得たのかもしれない、と、今思いついた。

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そうなのよ、怪獣映画もスター映画なのよ。

僕は昔から持論があるんだけど。成功する怪獣は、その映画会社のスター俳優に似てるって事。

ゴジラ三船敏郎にそっくりじゃん。

ガメラ勝新太郎にそっくりでしょ。

敵怪獣も、ギロンは成田三樹夫ギャオスなら市川雷蔵

じゃあモスラは?  はい、原節子です。

ああ〜〜、ガッパが裕次郎に似てさえいれば。

ギララが笠智衆に似てさえいれば。

日本怪獣界は隆盛を保っていられたのに。

とまあ、そういう風に『ダンプねえちゃんとホルモン大王』は、カンフー映画であり怪獣映画であり、さらに東映ヤクザ映画でもあるのだ。あ、ホルモン大王は文太口調ですよね。きっと九州ヤクザ映画館で文太ばかり観てたんだろうな。本当は『仁義なき戦い』よりも、『トラック野郎』の方が好みだったりして。きっとそうだ。『仁義なき戦い』口調なのは見栄はってるんだ。ホルモン大王は優しいやつさ。

ああ、ホルモン大王とダンプねえちゃんが一緒にダンプに乗って疾走するシーンを観たかった。で、200キロくらい出してるのに、抱き合ってキスしてて、父ちゃんのラーメン屋にダンプごと突っ込むんだ。かっこ良い。

で、高橋さんが火だるまになって飛び出して来て、「このバカ娘!」って、中華鍋でねえちゃんをドつくんだ。

明らかに知能の低そうなキャラばかり出て来るこの映画だけど。マカロニウェスタンだって、知能の高いキャラなんか全然居ない。

『ダンプねえちゃんとホルモン大王』は、偏差値から言ってもマカロニ並みだ。東映大部屋並みかもしれない。それでも『激殺!邪道拳』よりはましか。

かなり低い。

しかし、ここが面白いところなんだけど、世間で言う「バカ映画」ではないのだ。

ましてや「パロディ映画」でもない。

現代日本で、かつて自分たちが観て育ったジャンルムービーを、自らの手で復活させたい。映画を作ってる連中(特に昭和30〜40年代生まれのあたり)は、みんなそう思ってるはずだ。だけど、それはとても難しい事なんだ。

藤原章監督は、それをやってのけた。

ああしかならなかった、だけ、かもしれないが。

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中学生の頃(僕は小学生だった)。ブルース・リーに憧れて、『空手バカ一代』を熟読して、瓦を重ねて何枚割れるかだけが人生の価値になっていた、あの頃。

空手の達人とか、喧嘩に強い、とかの実用的価値よりも、瓦の枚数こそが重大だったドラゴンな時。

藤原監督は、そんな頃と同じ気持ちで、瓦を何枚割れるかだけを目標に『ダンプねえちゃんとホルモン大王』を撮ったんだ。きっとそうだ。決まってる。

『ダンプねえちゃんとホルモン大王』は、UPLINK Xで12月からロードショーだ。

みんな観た方が良い。瓦を割り損ねて、手が血だらけになったあの頃を思い出すだろう。三角飛び蹴りの練習ばかりしてて、毎日学生服のケツが破れて怒られてた頃の気持ちを思い出すんだ。

「そんなバカな事やった事無い」と言うやつらこそ観た方が良い。瓦を割って血と涙を流しながら、誰もが大人になって行くのだ。ハア〜、ポックンポックン。

だけど、僕は思う。『ダンプねえちゃんとホルモン大王』は、そこらの中学校の学園祭でかかるべき映画じゃなかろうか。または田舎町の公民館で、おとな300円、高校生200円、中学生100円、子供50円くらいで上映すれば良い。子供達は「ゴリラゴーゴー!」と叫びながら公民館から出て来るに決まってる。

「ダンッッ プッ。 ねえちゃんですっ!」

おわり

*「『傑力珍怪』が、なぜ始まったか。その2」は来週お送りします。

「ダンプねえちゃんとホルモン大王」公式HP

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藤原章藤原章 2009/10/06 05:32 にいやさん、深くて広い感想をありがとうございます。励みになりました。

子供のころは『空手バカ一代』で書かれてること、そのまんま実践しましたよ!
親指だけの腕立て伏せとか。
社会に出てからなんにも役に立ちませんでしたが。
また、リュックサックに水筒と弁当をつめて山篭りもしましたけれど、
淋しくなって二時間ほどで下山しました。

それでも僕自身が中年になってからは、梶原一騎の講談調といいますか、あの語り口…
『ダンプねえちゃんとホルモン大王』で実践しています。

作劇上、登場人物をバカな方向に導くとき、『空手バカ一代』はとても参考になるんです。

にいやにいや 2009/10/06 12:53 藤原さん

コメントありがとうございます。少しでもお役に立てれば良いんですが。
映画の内容に触れるとネタバレになってしまう気がして、具体的な事は書けなかったです。周辺から語るしかなかったですね。
なんとか『ダンプねえちゃん』の魅力が伝わっていれば良いんですが。
『ダンプねえちゃんとホルモン大王』、たくさんの人に観てもらいたいです。それも映画マニアとか、評論を読んだりするんじゃない、映画に特別思い入れの無い、普通のお客さんに。我々の「傑力珍怪」も、それが目標でした。

大畑君も書いてましたが、『ダンプねえちゃん』はキャラ達に魅力があります。
それは言い換えれば、映画に「憧れ」があるという事です。ダンプねえちゃんのホルモン大王への憧れ。ポンコのダンプねえちゃんへの憧れ。観客達は、高橋さん演じる父ちゃんのラーメン屋の、共同体的な雰囲気にも憧れるかもしれません。
そして、恐らくホルモン大王も何かに憧れていたのでしょう。ロックスターや、文太や、喧嘩大会のチャンプや。まっこと、九州男児ですタイ。
藤原さん本人が一番憧れてたのは、大先生とその息子かな……と思うんですけど。
それぞれのキャラクターが、それぞれに様々な「憧れ」を抱いて、それによってドラマが発生する。正しいジャンル映画のありかたと思います。
『空手バカ一代』のキャラ達がなぜバカか。連中は役に立たない事に憧れてるんですね。それが読者の憧れを誘う。

『ダンプねえちゃん』は、マスコミに分類されれば「バカ映画」にされてしまうんでしょうけど。でも、瓦を割ったり、山籠りしようとしたりしてた時、それをやってた我々にとってそれは「バカ」ではなく、「本気」だったわけです。

二時間で消える「本気」ではありましたが。

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