軽便鉄模アンテナ雑記帳

軽便鉄模アンテナ管理人(うかい)の雑記帳です。ナローゲージ鉄道模型の話題が主

Nゲージマガジン54号

Nゲージマガジン 54号 2010年 12月号 [雑誌]

Nゲージマガジン 54号 2010年 12月号 [雑誌]

★12月10日に発売になった鉄道模型趣味(TMS)増刊「Nゲージマガジン54号」をお屠蘇を飲みながら読み返してます。今回もレイアウトの記事が盛り沢山です。
「最近はNゲージのレイアウトもレベルが上がっている」と良く言われますし、事実そうなのでありますが、Nゲージ以外のレイアウトに良く出来た物が少ない…というのもまた実情かもしれません。ナローに関しては中々に優れた作品が多いと思うのですが、そもそもナロー人口が少ないので、よく出来たレイアウトの絶対的な数ではNゲージには叶わないでしょう。というわけで、レイアウトファンとしてはNゲージマガジンにも注目せねばなりますまい。
★表紙にもなっている「綾雄鉄道」は3600×900mmというゆったりしたスペース。分割式になっていますが線路配置は至ってシンプル。しかも駅や街並みは一切無く、長編成列車をゆったりと走らせるという目的に徹したレイアウトになっています。しかし、フレキシブル線路を使った緩やかなカーブ、架線等の線路周辺の作り込み、自然な色調等により、非常に見ごたえのあるレイアウトになっています。作者の方のWebページに画像がアップされていますので、そちらをご覧になって頂ければ分かると思います。

レイアウト上を走る車輌がほどよくウェザリングされているのも効果的で、このウェザリングについては別記事「私のウェザリングテクニック」でその手法が紹介されています。
★表紙に出ているもう一つのレイアウト「懐かしい心象風景を取り込んだ山岳路線」は。夏のJAMコンベンションにも出展され、よく出来ていると評判であった「日本帝國鐵道。1960×910mmの山岳路線レイアウトで、165系急行電車や485系特急電車が良く似合っています。畳一畳強のスペースに6両編成が止まれる駅やループして3層となっている線路配置、そして自然な地形を詰め込むのは決して容易ではなかった筈。20年前に買ったストラクチャーや線路が生かされていたり、記事の最後に奥さんに感謝の言葉がある辺りが、素直にいいなぁとも思いました。Nゲージホームレイアウトの良いお手本となるでしょう。

「紅葉の中を走るローカル線」は、1200×800mmのスペースにループ線のあるエンドレスを持つレイアウト。美しい紅葉の風景が素晴らしく、また地形のデザインもリアル感にあふれています。樹木は2年掛けて900本以上(!)を植えたとの事。背景画も効果的で、1200×800というサイズ以上の広がりを感じるレイアウトです。
「車輌展示台としても使える細長い鉄橋モジュール」は西武の鉄橋をプロトタイプにしたモジュール。幅自体は狭いのですが、あまりそれを感じさせません。しかし西武ファンには本当に「作る」モデラーが多いですよね。しかも車輌だけでなくモジュールレイアウトを作り、さらにそこで運転されている。まさしくNゲージの王道ですね。

「リアルな構成の電車基地」は1140×400mmのセクション。車輌洗浄線の掘り下げたピット部分が作られているのが見物です。その他の設備も市販品を改造し、題名通りリアルな構成としてあります。
★ナローファンとしてはNナローレイアウト「渋川軽便鉄道にも注目したいところ。以前にとうまさんのNナローブログで紹介されていたレイアウトで小粒ですが良くまとまっていると思います。

Nナローに関しては、日本型Zゲージ製品の拡充にともない、これからファンが増えてくるかも知れませんが、本線とナローのジャンクションなどというのも、Nゲージサイズでなら容易に実現できるのでは?
「水の杜鉄道」は二つのミニパイクで、片方は春の風景、もう一方は冬の風景。いずれもシーナリーの実感表現やアクセサリーの作り込みに力を入れたミニパイク。二つのうち、私は春の方が好きですが、皆さんは春と冬どちら?

しかし、これだけ作れる技術とセンスを持った方が、ミニパイクしか作らないのは勿体ない気がしなくもありません。作者のtototoさんは次はHOナローでパイクを計画中の模様。期待大であります。
★今回掲載されているレイアウトは昨年及び今年のTMSレイアウトコンテストの入賞作が中心ですが、以前に比べてコンテスト入賞作のレベルが上がっている事を実感。今の準佳作、努力賞は10年前〜20年前であれば入選、佳作レベルなのではないでしょうか?
草木の表現が全体的にレベルアップしていますし、ストラクチャーも豊富な市販品を取捨選択して使うだけでなく、必要とあれば加工・自作したり、ユニトラックやファイントラックなどの道床付線路を使ったレイアウトでも、バラスト散布や塗装によって道床付線路である事に気が付かないものが大半。やはり入賞レベルのレイアウトは違います。
また、コンテスト応募作はいずれも筆者撮影の写真が使われていますが、編集部で取材して撮影した写真に劣らないように感じました。コンパクトデジタルカメラの画質が近年レベルアップしたり、デジタル一眼レフ、ミラーレス一眼も大分手頃になってきた事、またデジタル故にすぐに結果が分かり、いくら撮り直しても費用が掛らない事などにより、筆者撮影写真がレベルアップしてきているのかもしれません。また、コンデジならではのアングルの写真(例えばレイアウトの中に手を突っ込んで撮る等)も多く見られます。
★車輌関連も力作・秀作揃いですが、ナローゲージャー的に興味を持ったのは横浜市電の無蓋電動貨車。KATOの富山ライトレール用動力を使用し、完全床下に動力を納めています。Nゲージでもついにここまでやれるようになったか…と思ったのですが、よく考えてみれば富山ライトレール動力ってHOナローファンばかり利用していて、本家のNゲージの方でこれを使った作品は今回初めて見たような…