軽便鉄模アンテナ雑記帳

軽便鉄模アンテナ管理人(うかい)の雑記帳です。ナローゲージ鉄道模型の話題が主

ナンタラnナンタラ(3)

前回前々回の記事に対して、コメントご意見を頂いているのでありますが、それに対するお返事は後廻しにさせて頂きたく…。というのは、いろいろ考えている内にいろいろ思い付いてしまったからでありまして。思い付いたといっても新しいゲージ名称だとか新スケール新ゲージとかではないので、どうぞご安心あれ…

マザーゲージ

★「マザーゲージ」とはワタシが考えた言葉ではなく、仙台のコンさん発案の言葉。例えばHOe/HOn30のマザーゲージはNゲージ、On30のマザーゲージはHOゲージ、HOmのマザーゲージはTTゲージとなります。日本やイギリス、ヨーロッパで楽しまれているナローゲージモデルではマザーゲージが存在するものが主流*1ですが、アメリカのナローゲージモデルの中でもっとも楽しまれているであろうHOn3(1/87 10.5mm)にはマザーゲージは存在しないのです。10.5mmという軌間はHOn3の為に生れたものであり、(日本のナローゲージモデルのごく初期を除いては)アメリカ、ないしアメリカ型を模型化するのみに使われている軌間です。
マザーゲージがなく、実物の軌間を正しくスケールダウンしている為、「HOn3」と実物の軌間をキッパリ名乗る事が出来るのでしょう。マザーゲージが無いにも関わらず、プラやダイキャストによる量産完成品が発売されるまでに至っているのは世界的に見ても珍しいかと思います。
★日本はプロトタイプとなる実物のナローで2フィート6インチ=762mm軌間が標準的であった為、OナローでHOゲージ(16.5mm)、HOナローでNゲージ(9mm)と、広く普及しているゲージをマザーゲージとして使うとほぼピッタリ。そのような訳で、アメリカ式のOn2-1/2、HOn2-1/2という表記法を使って実物の軌間をキッパリ名乗って問題なかった訳です。
そもそも、ヨーロッパ式やイギリス式の呼称法より前にアメリカ式の呼称法が先にあり、それが日本においても紹介されて使われていたのです。HOナロー9mmのパイオニアエガーバーンは1964年頃に登場し間もなく日本にも輸入されていましたが、この頃は「HOe」という呼び名はなく、鉄道模型趣味(TMS)誌では「HOn2-1/2に相当する」として紹介されています。

HOn2-1/2日本起源説!?

★…と書いていて思ったのですが、アメリカではOn2-1/2がNMRAのスタンダードに掲載されていた時期があった*2そうですし、モデラーによる作品もあったとの事ですが、アメリカ国内でHOn2-1/2はいつから存在したのでしょうか? 本格的製品として登場したのはエガーバーンやAHMミニトレインズが最初でしょうが、実は1/87 9mmを「HOn2-1/2」と呼んだのは日本人が最初だったのかも…と思えてきました。以上はまぁ半分ヨタ話ではありますが、アメリカにしても、日本にしても、エガーバーンという海外製品をHOn2-1/2に当てはめた…と言えるかもしれません。
★今でこそヨーロッパにおいて1/87 9mmナローは「HOe」という呼び名が定着していますが、エガーバーン登場当時のカタログや広告等を見ると、HOeなる呼び名はどこにも出てきません。いつ頃から「HOe」の名が出てきたのかは不勉強故に知らないのですが(ヨーロッパ型に強い方のご教示をお待ちしております)、ヨーロッパ式呼称で実物の軌間が 650 < 850mmのものに当てはめられる「e」の字の語源が「egger-bahn」の「e」ではないか…という説は何度か読んだ事があります。一応、HOeの「e」はドイツ語で「狭い:を表す「eng」の「e」であるというのが定説ですが、翻訳ソフト等で「狭軌」と入れると真っ先に出てくるのは「schmalspur」という言葉。「engspur」という呼び方もある様ですが、グーグル検索等で両方で検索してみれば「schmalspur」の方がヒット数が圧倒的。やはりHOeの「e」はエガーの「e」というのが本当なのでしょうか。
(続く)

*1:もちろんマニアックなゲージでは無いものもあります。例えばイギリスのO-14…7mmスケール14mmゲージなど

*2:TMS200号(1965年2月)掲載「ナローゲージ散策」。筆者の赤井哲朗氏は「NMRAのスタンダードを見ると、そこには3種のナローゲージが並んでいる。すなわち、On3、On2、HOn3であって、1953年印刷の分にはあったOn2-1/2は消滅している」と書かれています。近年バックマンOn30製品が登場しブレイクした後、NMRAスタンダードにもOn30が加えられています。