ババアの地域冷暖房

リセット完了、さすが我が母国。
気分爽快だ。やはり後半も飲み会だらけではあったが
一度も乱れることもなく、ゆったりとした気分。
マング王国、空気が良いのかもしれない。


5/3に鈍行で帰国。さすがに鈍行だとすいている。
ボックス席にのんびり腰掛ける。それでも熊谷あたりまで
ボックス席に4人がけ状態となるが、1人降り、2人降り
ボックス席に1人だ。田舎化する車窓に郷愁が高まる。
「いるか」でも聞こえてきそうだ。


と一人悦に入っているとその瞬間「ドサっ」
「ここ良いかしらね」とババアがほぼ正面に腰掛ける。
ボックス席をxy座標に例え、進行方向をy軸と
するならば、x軸、y軸ともにマイナスの第3象限に
座っているオイラに対して、ババアはx軸、y軸ともにプラスの
第一象限に座るのが定石だが、ババアはy軸プラス上に
どっかと腰をかけた。


すなわち、オイラの視界に半分くらいババアが入る。
(狙われている)確信した。(トークの相手として・・)


案の定話しかけられるが、「この辺は寒いかしらね」と意外な事を言う。
どうみてもマングのおばさんにしかみえなかったが
どうやら「東京人」らしいババア、そしてオイラは
「マング人」に決めつけだ(その通りだが)。


イギリス人であれば、ではご機嫌ようバーイとなるところだが
そうは問屋のおろさぬ、おしゃべりババア、
クモの糸より細い糸口を掴んで放しはしない。


ババア「いやさ、アンタが結構厚い上着来てるから、
   この辺は寒いのかと思ってね」(冷房が効きすぎていた)
ババア「東京は熱いわよね、うちなんか、南北東西窓があるけど
   となりのトタン屋根の照り返しと隣の冷房の廃熱で
   熱いのよ、家を買うときは隣がトタン屋根かみるべきね」
ババア「みんな話し合って廃熱はこっちへやる、中庭を作るとか
   するべきよね」


と、ここでオイラは興味深く思う。
(地域冷暖房の発想だよな・・もしかしてこのババア天才かも)
ま、暇だったし、さほど眠くもなかったので
オイラ「ふーん、へぇ」と聞いてあげる。



ますます興に乗るババア。
ババア「隣のトタン屋根のアパートに夜の商売の人ばかり
   住んでてね、鯉のぼりみたいに長いネグリジェを
   搾らずに干すのよ、だから娘が「雨降ってきたよ」
   なんて言って焦って洗濯物を取り込みに行ったら
   ネグリジェからのしずくなのよ」とか延々。


気が付いたら高崎だ。
最後にババア「あ〜話しっぱなしで悪かったわね、アンタ
   寝てたんじゃない?」


って・・・どう考えても気にせずしゃべくってたんに。
ちなみにババアの家の近所には文学座の女優が住んでいて
ゴミ出しのマナーが悪いらしい。すっかりババア通のオイラであった。
(マング帰国話その1終了)