「魔法使いの弟子」問題

「魔法使いの弟子」問題 まほうつかいのでしもんだい サイエンス

インターネット時代の半可通、生半可。

学習途上で基礎力が不足したまま、未知の事柄を急いで無理に理解しようとして、不完全で未成熟な考えを持つに至り、かつそれを不必要に振り回して被害範囲を拡大する人の問題。インターネット登場により情報の収集と発信が容易になり、情報の循環サイクルが高速化した結果生じている現象。

最近は、Web上の質問ページ(人力検索や、OKWeb系の「教えて〜」、「〜相談室」等)の利用が一般化し、一般人(もしくは自称経験者)が専門的質問に怪しげな回答をつけ、怪しげな言説が広まる予兆もある。

問題分析のための視点

  • 知識、実技、目的
    たとえば「ニセ魔法批判」の必要要件は下記とされる*1
    • 知識: 最低限、魔法とは何かを識っていること
    • 実技: 必ずしも魔法を使えなくともよい
        [関連] ニセ魔法商法に騙されないためには:
          適切な知識をもって 怪しい話を検出し、とりあえず回避できれば充分。
          詳細確認や真贋判定は、信頼のおける専門家に任せればよい。
    • 目的 (動機): 個々の実践において重要
        実践論の観点から:目的と結果には因果関係がある。客観的分析対象として重要。

比喩の解釈

魔法使いの弟子」はとても曖昧な比喩なので、その解釈の仕方は何通りもあります。
以下では「ニセ科学商法批判ブログ」を題材に、その購読者を仮に分類して、分類と解釈との対応関係を見ましょう。

ニセ科学商法批判ブログの購読者分類 (仮説)

  • グループ I: ニセ科学商法 批判 派
    ニセ科学商法批判の 目的 や 適用範囲、限界 を、正しく理解している/理解しようと努めている人々。
    下記3つのサブ・グループに分類できる。
    1. 発信者: 該当分野の専門知識に基づいた 正しい知識・情報を発信する科学者専門家
    2. 協力者: 問題意識が高く、正しい知識・情報の収集と普及に努める人々
    3. ユーザ: 業者の接触を受け、正しい知識・情報を必要としている人々
  • グループ II: カルトニセ科学批判マニア (仮説上の存在 *2 )
    ニセ科学商法批判の 目的 や 適用範囲、限界について、何か根本的な誤解あるいは曲解をしているっぽい人々。
      ニセ科学批判」を、科学そのものと勘違いしたり、あるいは科学的思考や科学的議論における重要なガイドラインと勘違いして、見当違いな事を言い出す。 *4,*5
  • グループ III: ニセ科学商法業者 (仮説上の存在 *3 )
    ニセ科学商法の業者本人や、業者と親密な利害関係を持っている人々。

解釈のバリエーション (既出分)

  • 【解釈1】「科学」と「魔法」を峻別した上で、とする解釈。
    ※「魔法使いの弟子」と「魔法使い」の間に、具体的な師弟関係や特別な利害関係は想定していない。
      ただし「魔法使いの弟子」が「魔法使い」へと進化する事も稀にあるかもしれない。

  • 【解釈2】「魔法」を、「不適切な科学」(もしくは不適切なニセ科学商法批判)の比喩と解釈し、
      仮に グループ I 内に「不適切な科学」が広まった場合、これを「魔法使いの弟子」状態とする解釈。
  • 【解釈3】「魔法」を、「科学」(またはニセ科学商法批判)の比喩と解釈した上で、
      グループ I の下のサブ・グループについてとする解釈。

脚注


*1 「魔法使いの弟子」問題 :: Archives

*2ニセ科学批判マニア: はてなブックマークをタグ検索すると [ニセ科学]タグや [ニセ科学批判]タグを多数確認でき、商売抜きでこの分野に強い関心を抱いている人々の存在が浮かび上がる.

*3ニセ科学商法業者が、その商売の障害となる批判者の発言をチェックするのは、極めて当然な行動だろう.

*4:主観的には科学者(の弟子)のはずなのに、「科学」でなく「ニセ科学批判マニア」の語彙を多用して 不何思議な主張 *5 をする人への皮肉である。

*5:不可思議な主張の例:

  • 未知の現象をこれから科学的に解明しようとする科学者の取り組みに対し「これが科学ですか?おかしくありませんか?」と否定的な見解をぶつける、
  • 科学そのものとは微妙に違う何か(たとえば手段としての工学、現象論、生産技術上の知見、工学分野で推奨される実験技術 等々の総体)を「科学そのもの」と混同し続ける、
  • 「感覚的に この現象はまず起こりえないものです。しかし『悪魔の証明』と似ていて、今のところ完全に否定する根拠はなく、また不充分な実験で一点突破されると反論しにくいです」などと結論する、
    (注:この感覚的否定を背理法(作業仮説としての否定)と解釈すると、結局「未知の現象の解明では、背理法やそれに類する推論規則 (古典論理排中律) は必ずしも役に立たない」という話に過ぎなくなる。また「悪魔の証明(否定証明の難しさ)」をポパーの反証主義を踏まえたものと解釈すると、「反証可能性が低い」=「科学的ではない」という指摘になる。しかし議論対象となっている現象は、もともと未解明でこれから科学的に解明しようとしている所なので、その種の指摘は時期尚早かつ不適切と言えるだろう。)
 等。なお 背景事情として、理学と工学における「サイエンス」の解釈や用法の違いを指摘する人も居る。

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