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HTV

(サイエンス)
えいちてぃーぶい

HTV(宇宙ステーション補給機)概要

国際宇宙ステーション(ISS)に長期滞在している宇宙飛行士に、実験装置や食糧、衣類などの物資を送り込む「無人物資輸送機」。宇宙航空研究開発機構(JAXA)や三菱重工業など大小100社程度の企業が開発し、2009年9月に1号機が打ち上げられた。
全長10メートル、直径4.4メートルの円筒型。秒速8キロメートルで地球を回るISSと並んで飛び、接近したところでピタリと静止する。ISSの飛行士がロボットアームでHTVをつかみ、ドッキングさせて、物資を取り出す。その後は、大気圏に突入させて燃やすという使い捨て型で、毎年1機ずつ打ち上げる計画だ。

開発の背景

国際宇宙ステーション(ISS)とは、宇宙空間という特別な環境を利用して、地球・天体の観測や、宇宙での実験・研究を行う国際プロジェクトで、現在15カ国が協力している。日本も2008年6月から、日本初の有人実験施設として「きぼう」という実験棟をISSに取り付けており、2009年からは6名の宇宙飛行士による常時滞在がISSで始まっている。長期滞在のため、宇宙飛行士への食糧や衣類、各種実験装置などを補給する輸送業務は欠かすことができない。従って、これまで輸送を受け持ってきたアメリカのスペースシャトルやロシアのプログレス補給船に加え、ESA(ヨーロッパ)がATVを、日本もHTV(H-II Transfer Vehicle)を打ち上げ、ISSへの補給を担うようになった。

強み

ISSへの補給手段は、HTV以外に、アメリカのスペースシャトル、ロシアのプログレス、欧州のATV(Automated Transfer Vehicle)があるが、HTVとスペースシャトルにはISSの船内用物資(日用品や実験装置)も船外用物資(ISS交換機器や曝露実験装置)も輸送できると言う特徴がある。(プログレスやATVに比べ、輸送のドッキング部分が大きい。)
さらに、2010年にはスペースシャトルが30年の業務の末、退役する予定であり、それ以降、船外用物資や大型の実験装置はHTVでしか輸送できなくなる。従って、HTVへの期待が世界的に非常に高まっているのだ。
加えて、HTVは徹底した安全手順を取っている。全自動でISSに接近・相対停止できる機能を持ちつつも、宇宙空間でのいくつかのポイントで、地上あるいはISSからの人間による指示がない限り次のステップには進まないようにしているのだ。こういった技術力が評価され、三菱電機は早速、米企業からの受注に成功するなど、商機拡大にもつながっている。

今後の可能性

HTVは、無人物資輸送機でありながら、有人安全に関する厳しい要求も満たすように設計されており、今後、有人輸送手段にも改良できる可能性を秘めている。従って、HTVで培った宇宙輸送技術は、今後計画される有人、無人(全自動)を問わず、月飛行や惑星間飛行に応用され、日本のみならず世界的な将来の宇宙活動を支えていくことにもなりうる。

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