もうはるか昔、大学生の頃(洗礼を受ける直前か、もしくは直後か)、牧師先生に勧められて、一冊の書物を読みました。ワルター・トロビッシュ著『自分自身を愛する』(すぐ書房)。 冒頭に、印象深いエピソードが紹介されています。ひとりの若い女性のお話です。彼女は、自分には良いと言える点など何もないと思い込んでいました。自分に良い評価をくだしたりしようものなら、たちまち高慢の罪に陥って、その誇りで神に見捨てられると信じ、恐れていたからです。宗教でがんじがらめにされた家庭で育ち、自分を卑下することがキリスト教的であると教えられ、自分を否定する以外に神に受け入れてもらう道はないと思い詰めてしまっていた。 著者は…