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イブン・バトゥータ

読書

イブン・バトゥータ

いぶんばとぅうた

イブン・バットゥータ。Ibn Battuta。1304〜1377。ベルベルアラブ人で北部モロッコのタンジャ(=タンジール)出身の旅行家・冒険家。1325年にメッカ巡礼した際、諸国の旅に興味を掻き立てられ、東アフリカ沿岸やアラビア半島に向かい、エジプトインドまた中国への旅のほか、スペイン北アフリカまで向かい、14世紀のイスラム世界ほぼ全領域を走破した。1349年の帰国後、マリーン朝のスルタン;アブー・イナーンの命で『三大陸周遊記』(また『大旅行記』)を口述筆記。1356年に完成。

アレクサンドリヤで耳にした、税収の高いファッワーの町の高徳な修行者;アブー・アブダルラー・アル・ムルシディー長老の僧院を訪ね、スルターン親衛隊の幹部の将軍に「ビスミルラーヒ」と就寝の挨拶をしてコーランの一節;「人みな定まれる宿なきはなし」と返され、大鳥に乗る夢を見てしまう。この夢占を訊いた所、アル・ムルシディーは「あなたは無事巡礼を追えた後、更なる旅へ向かうであろう」と予言されてしまい、実際そうなってしまったのであった。

よって単なる紀行に留どまらず、象徴性や幻想性を二重に併せ持つ、極めて変奇な旅行記となっており、ある意味、ダンテの『神曲』以上に我々を輪廻転生から乖離させる“目覚め”・“気づき”を与える文学だ。勿論この背景に『千夜一夜物語』〔アラビアンナイト〕の滔々が横流れしていることは言うまでもない。