◎病棟日誌・悲喜交々5/11 「ゆい先生」 朝の穿刺担当は、若手看護師のゆいちゃんだった。 「針刺しにも相性があって、看護師さんによっては、いつも痛い人、しくじる人がいたり、逆にいつも痛くない人がいるんだよ」 すると、ゆいちゃんが「私はどうですか?」と訊くので、少し過去を振り返って考えた。 「ありゃま。これまで常に痛みを感じなかった筆頭がゆいちゃんじゃないか。それなら、これからは『ゆい先生』と呼ぶことにしよう」 棟内の最若手の看護師なので、ゆいちゃんが穿刺を担当するようになったのは、ごく最近の話だ。だから慎重に、そろっと針を刺す。この時の針の角度なのか、神経にまったく当たらない。 マジでこの新…