4章「生の増大」に入っていく。 オルテガは現在の世界では過去に比べて、生が飛躍的に増大したと言う。具体的にはこういうことだ。 物はそれが作用するところに存する、という物理学の原理によるならば、私たちは今日、地球上のすべての地点に対して最大限の実質的遍在性を認めることができるだろう。遠くのものが近くになる、不在のものが現前するということが、それぞれの生の地平を信じられないほどの規模で広げた。 オルテガ『大衆の反逆』岩波文庫 p.102 そして世界は、時間的にも増大した。先史学や考古学は、歴史の中に途方もない長さの世界を発見した。少し前までは思ってもみなかった文明や帝国がそっくりそのまま、まるで新…