キネステティク

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キネステティク

きねすててぃく

キネステティク」とは何?


キネステティク=kinaesthetik(ドイツ語で「動きの感覚」といった意)とは、元々はアメリカ人によって開発されたコミュニケーションの概念でした。それが障害児教育に取り入れられ、看護に取り入れられ、やがて「介護される方の自然な動き」に着目した体位変換の考え方として応用されるようになったのです。キネステティクヨーロッパのナースには一般的なものとして知られており、特にドイツにおいてはすでに90%以上の看護学校で指導が行われていると言われます。

キネステティクの基本的な概念は、「動きはコミュニケーション」ということ。体位変換においても、介護される方の自然な、最も効率のよい動きを活用しながら、介助者はそれを「補助」することが基本です。これまでのボディメカニクスによる体位変換は、ほとんど全介助によって一気に動かしていましたが、キネステティクではその自然な動きを活用することで、動かされる方の「荷物のように動かされる不安」がなくなり、さらには自力では動けない状態なのに、あたかも「自分で動けた」かのような気持ちよさを感じさせることができるのです。


[キネステティクを行う際の注意点]


1.行う前に必ずインフォームド・コンセントをとる

断りなしに突然身体に触れられ、動かされるのは気持の良いものではありません。そこで、行うときには毎回必ず「ラクに動けるようにお手伝いしますね」と声をかけ、動かす前にも「これから右に動きますよ」「ひざを回しますよ」と一つの動作ごとに声をかけながら、動く方向に顔を向けたり、足をしっかり抑えるなど、意図的に身体に触れて相手に明確に知らせます。そうすることで介護される方は動きをはっきりと認識でき、安心して動くことができます。


2.触れるときには手の甲や手のひらを使う

指先の刺激はとても強いので、相手に触れる場合には手の甲や手のひらを使うのが原則です。腕などを持つときは指でつかまずに、手のひらでやさしく握り、頭を動かす場合は、両手の親指の付け根を頭の下に差し込み、位置を調節して、手のひらで頭を持って移動させます。


3.相手のペースで行う

自分よりも早いスピードで動かされると恐怖を感じてしまうので、移動はゆっくりと丁寧に行います。動ける方の場合、その方の動くペースに合わせ、反応や動きを待ちながらサポートします。


4.無理に動きを押しつけない

「動けるとこまで動いてみましょう」と動きを促し、相手が動きやすいように介助します。もし嫌がった場合は他の方法を用います。とくに意識のない方や意識の低下している方に対して行う場合は、動きや表情などを注意深く評価しながら行います。動かす方向と逆方向への反射を感じたり、苦痛などの表情がみられたら、力を加減して方法を変える、あるいは動作を中止します。




[キネステティクを安全に行うために]


1.実践する前に健常者を相手に十分に練習し、基本的な動きをからだで覚えてから行う

この技術を使うと簡単に動かせるために、ちょっとした不注意が怪我につながります。特に、自分より体重の重い方に行う場合は、転倒など事故を起こす危険もあるので、熟練してから行ってください。どの点に気をつけたら良いかということを知るためにも、練習では介護される役にもなってみましょう。


2.介護される方の動きを観察し、動きをアセスメントする

キネステティクは、患者さんのできない部分をお手伝いするものです。まず本人に動いてもらい、どの部分をサポートする必要があるのか、活動の程度や動ける範囲を把握します。自力で動けない方には、残っている機能を利用した自然な動きで介助し、自力で動けるようになったら動きを邪魔しないように、動きに合わせてサポートします。


3.キネステティクの説明を十分に行い、強制しない

どの方もそれぞれ自分なりのやり方やラクな動き方があります。最初からキネステティクを強制するのではなく、まず十分に説明をし、嫌がる方には行わないようにしましょう。無理に行うと協調した動きがとれず危険なばかりか、苦痛を与えかねません。タイミングを見て「こうするとラクですよ」と促すようにすると、素直に受け入れてくれる場合があるので、気楽な気持でゆっくりと指導しましょう。


4.柔らかいマットレスや滑りにくい素材のシーツ、患者さんの衣類によって行いにくい場合がある

回転と屈伸を利用する動きのため、身体が固定し安定して行えるように、柔らかいマットレスはエアマットなら空気圧を強めにしたり、動きやすくする工夫をすると良いでしょう。




[キネステティクが適応しない人]


キネステティクでの介護に同意しない人

●骨折していたり、リウマチなど関節の痛みがあるなど、痛みが強い人

医師から体動制限を受けている人など