数々の秀作を監督したエリア・カザンがアカデミー賞の式典で名誉賞を贈られた際、俳優のリチャード・ドレイファスやエド・ハリスがそれに反対する姿勢を見せたのは記憶に新しい。かつてカザンは、ハリウッドを含めてアメリカ中を席巻した「赤狩り」において、公聴会で同胞の名前を明かして調査に協力し、映画界から追放の憂き目に遭うのを逃れており、ドレイファスたちは仲間を売った彼が名誉賞を授与されるのはおよそ相応しくないと考えての意思表示だった もし私が以前のカザンと同じ立場ならどうしただろうか。独り身ならいざ知らず、養うべき家族がいて、外部からの強烈なプレッシャーに晒され続けたとしたら、最後まで決然とした態度を貫く…