前回を書いた後、またしても浜松の時代舎で竹内てるよのエッセイや日記も併録した詩集『美しき朝』を見つけたのである。B6判並製ながら、小倉遊亀による装幀は竹内も謝辞をしたためているように、鮮やかな紅椿が描かれ、戦時下の一冊とは思われない。版元は明治美術研究所で、昭和十八年四月初版、六月再版六千部、定価二円三十銭とあり、初版と合わせれば、刊行部数は一万部を超えているのではないだろうか。(『美しき朝』) 竹内はその「跋」で、『美しき朝』は『静かなる愛』『生命の歌』(いずれも第一書房)に続くものであり、「この集をみていたゞきますことは、わたしのよろこびとするところのもの」と記している。先のふたつの詩集は…