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コンクリティズム

(読書)
こんくりてぃずむ

具体詩、視覚詩(ヴィジュアル・ポエトリー)とも呼ばれ、文字や色面で表現する形象詩。文字やテキストが持つ物質性・具体性に注目し、空間的・視覚的に展開された実験的な詩およびその国際的な運動のこと。その前史を、ステファン・マラルメの「骰子一擲」の語の配列の空間性や思惟的な視覚的表現、アポリネールのカリグラム、ルイス・キャロル、ガートルド・スタイン、エズラ・パウンド、E. E. カミングス、あるいは未来派のタイポグラフィックな表現やダダのコラージュ等に見出すことができる。1950年代にドイツとブラジルでほぼ同時期に提起され、従来の内容的・意味論的な言語機能からの解放と、イメージあるいは三次元的実態としての言語の自律的かつ構造的な特性が探究された。マックス・ビルの「Konkrete Kunst」の理念の影響下にスイスの詩人オイゲン・ゴムリンガーが打ちだした「Konkrete Dichtung」に由来する。1953年にスウェーデンのオイヴィント・ファールシュトレームが単独で「manifest for konkret poesi」を出版しているが、小部数のためにほとんど目につかなかった。国際的な運動として認知されるようになったのは、1955年にノイガンドレス派のデシオ・ピニアタリがウルム造形大学にいたゴムリンガーを訪ね、Konkrete Poesieの概念を共同提唱したことによる。1950年代初頭にドイツとブラジルでほぼ同時期に提起された。1956年に、オイゲン・ゴムリンガーと、サン・パウロのノイガンドレス派の詩人たちが、コンクリート・ポエトリーと呼ぶことに同意した。
 第二次大戦以後、多彩な実験詩は、物質的な素材(言語の構成要素)への還元という共通の方向性によってグローバルな規模で変革を起こし、詩の表現とコミュニケーションの可能性を拡大した。素材には文字や音節に還元された言葉(ときには非言語的素材)が用いられるが、言葉の意味論的な性質に結びつくようなやり方で機能している。また、空間と時間の新しい関係のうちに言語的素材を構築し、読まれるよりも知覚されるようなオブジェを作ろうとした。ヴィジュアル・ポエムが絵画のように見られようとし、フォネティックもしくはサウンド・ポエムが音楽のように聴かれようとした。詩人たちは、特別な素材からオブジェもしくはサウンドの構成体をつくる努力において一体になった。ただ意味論の問題で立場が違ってくる。ある者は詩が意味論の伝達領域内に留まる必要があると主張するし、ある者は純粋に美的な情報を伝えることができると信じた。いずれの立場でも、古い文法的−一次元的な構造は、もはや今日の思考やコミュニケーションの高度なプロセスに適さないという信念をもってコンクリティズムに達し、何よりもまず視覚的、二次元的な関連において反映していくような詩として始まった。

 日本の視覚詩の出発点となったのは、北園克衛の1958年の作品「単調な空間」と、1963年に刊行された新国誠一の処女詩集『0音』である。コンクリティズムとは無縁に独自に成し遂げられたこれらを、ルイス・カルロス・ヴィニョーレスが国際的なコンクリート・ポエトリー運動に結び付けた。

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