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ゴヤ

芸術家

フランシスコ・デ・ゴヤ・イ・ルシエンテス(1746年-1828年

ロマン主義美術を代表する芸術家の一人。

フランスダヴィッドとほぼ同年代を生きた彼は世紀の転換期のスペイン美術をほとんど一人で代表する巨人であった。

イタリア留学のあとの王室のタピスリ工場の下絵描きの職について、風俗的なテーマをロココ風の華やかな色彩と軽妙なタッチで描いたカルトン(原寸大下絵)を多数制作した。1780年代末には「王の画家」、1799年には主席宮廷画家の地位につき、強力なパトロンにも恵まれていたゴヤであったが、その芸術の本質を決定したのは宮廷芸術家としての華やかなキャリアではなく、1792年末の病気で全聾になったこととナポレオン軍による祖国の蹂躙を体験したことであった。

フランス革命勃発の頃啓蒙思想に関心を抱いたゴヤは、革命が引き起こした戦争という現実に裏切られ、全聾の悲劇に見舞われて、1799年に人間性の愚かさと虚偽を呵責なく暴いた『きまぐれ(ロス・カプリチョス)』と題する版画集を出版した。同じころ宮廷画家としては卓越した描写力を感じさせる『カルロス四世とその家族』などの肖像画、2点の『マハ』(伊達女の意)像を描いている。

ナポレオンスペイン支配の時代にゴヤは戦争の壊滅的な力を暗示した『巨人』やフランス軍に素手で立ち向かった民衆の処刑を描いた『1808年5月3日』を制作している。

戦争や侵略への憎悪は版画集『戦争の惨禍』を生んだ。公的な生活から退いた最晩年に暮らしていた家の壁に描いたいわゆる『黒い絵』の連作は、ゴヤが生涯にわたって体験した個人的社会的な悲惨を脅迫的な映像で表現した特異な作品である。

ゴヤは主観的な情熱を作品に託した点ではロマン主義美術の先駆者であり、おのれの人生の課題を制作に直接に反映させた点では芸術の近代的なありかたを示した最初の芸術家の一人といえるであろう。

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