昨年は「スピノザ」と「目的への抵抗」を読んだ。2020年の発行だが、國分功一郎の対談本が出ていた。中動態を中心に「責任」の問題を語っている。興味があったのでさっそく読んでみた。 本書は、哲学者の國分功一郎と、小児科医で当事者研究を専門とする熊谷晋一郎の対談本である。國分の「暇と退屈の倫理学」を読んで、熊谷から連絡を取り、それから二人の交流が始まったと書かれている。当事者研究とは何か。どうやらそれは、精神障害や発達障害などを抱える人々のための治療の一環として始められた活動のようだ。 そして、自閉スペクトラム症である研究者、綾屋紗月の言説や経験を通して、自己と他者との関係、自己とは何かを考えていく…