Johannes Duns Scotus (1265/66-1308)
ドゥンス・スコトゥス。スコットランド生まれの哲学、神学者。フランシスコ会の博士。精妙博士(Doctor subtilis)。
「存在の一犠牲」や「このもの性(haecitas,haecceitas)」や「形相的区別*1」といった、難解にしてそして正に「精妙な」概念的諸規定を我々に呈示するための路の途上にて彼が早世してしまったことは、返す返すも惜しまれてならない痛恨事でさえ在りえたのであったし、おそらく今後もそのようで在り続けるのだろう、一部では。
意志の優位を主張し、イタリアで話題沸騰のトマス・アクィナスの『神学大全』とは正反対に、哲学と神学を分離した。これをジル・ドゥルーズなどのポストモダンが独自の仕方で再注目し、それに伴って日本でも、ニューアカデミズムの浅田彰たちが重要な対象として取り上げた。
*1:普通に考えば之は、distinctio formalis と訳すべきものだと想われるが、専門家は、どうやら、non-identitas formalis と言っているようである。…まあ何れにもせよ、筆者のよく預かり知りうるところではないのだが。