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ステンドグラス

アート

ステンドグラス

すてんどぐらす

一般的にはカットしたガラスを鉛桟(レッドケイム)に挟んで図柄を組み立て、窓などに嵌め込んだものを指す。

制作法は次の通り。

まず正確な窓の寸法を測ってデザインを作成しガラスを選ぶ。デザインを原寸図に落とし、型紙を作り、それを元にガラスをカットする。中世では焼けた鉄棒や熱したコテを当ててガラスをカットしていたが、現在は金属の回転刃(リール)の付いたカッターを用いるのが一般的だ。

カットしたガラスには必要に応じて腐食・絵付け・ステイニングを施す。腐食は被せガラス(異なる色のガラスを1枚にしたもの)の表面に蜜蝋などで保護膜を作り、地色を出したい部分をフッ化水素酸で溶かす技法。絵付けは粉末ガラス・酸化鉄・酸化銅とアラビアゴムなどの溶剤・シンナーを混合した絵具でガラスに絵を描く技法。ステイニングは硫酸銀の溶剤に接着剤と希薄材を加えたものをガラスの表面に塗り黄色いステイン(汚し)を付ける。溶剤の成分により淡いレモン色からオレンジ色までを付けることが出来る。この技法ステンドグラスの名称の起源となった。

絵付け・ステイニングしたガラスは600度〜700度の窯で焼いて顔料を染み込ませる。これを焼き付けという。

これらの工程を経たガラスピースは棒状の鉛の断面をH型に加工した鉛桟(レッドケイム)に嵌め込んで組み立てられる。鉛桟の繋ぎ目はハンダ付けによりジョイントされる。欧米では鉛桟の繋ぎ目だけがハンダ付けされるが、日本では鉛の線の美観と強度のために桟の表面全てをハンダ付けする工房もある。組み上がったパネルは鉛桟とガラスの隙間に亜麻仁油・鉛丹・テレピン油・ランプブラック・焼き石膏などから作られるセメント(パテとも言う)をブラシで詰め込み(シーリング)、余分なセメントをおがくずなどで落として仕上げられる。

鉛桟を用いる技法の他に、銅を薄いテープ状にしたもの(コパーフォイル)をガラスピースの断面に巻き、これをハンダ付けして組み立てる技法がある。19世紀末にアメリカのルイス・C・ティファニーが発明したこの技法により、より繊細で自在な表現が可能となった。セメントの入る余地が無いため、鉛桟技法のパネルより硬い仕上がりとなる。コパーフォイルの表面は全てハンダ付けし、洗浄・磨きの後パティーナ(調合された酸化液)で茶色や黒色に染めて仕上げる。

これ以外の技法に一般的ではないがモザイク式がある。鉛桟もコパーフォイルも使わずに、ガラスピースの間に直接ハンダを入れて組み立てる技法で、曲面を構成する立体作品に用いることが出来る。2008年現在、私の知る限りでは1980年代に東京代官山に在った「スタジオ・ハノン=テペ」と私の工房でのみ取り組まれている特殊な技法である。

ステンドグラスは世界最古の工芸の一つと言われ、絵画よりも古くから芸術様式としての地位を確立していたが、教会の窓としての歴史が長いために宗教的色彩から解放されたのは比較的最近のことである。現在では広く一般の公共建築や個人住宅の窓を飾り、またロマンチックなランプとなってインテリア効果を発揮している。

(上記解説はエリザベス・モリス著「ステンドグラス 神の家を演出する光の芸術」を参考にまとめました。)